目次
屋根面積の計算は、真上から見た面積(水平投影面積)に、勾配の伸び率√(1+勾配²)を掛けて求めます(4寸勾配なら×1.077)。この記事では、屋根面積の計算式と勾配ごとの伸び率の早見表、寄棟の屋根面積の計算、屋根面積の計算に使う図面の読み方、図面がないときの求め方を紹介します。屋根工事・板金工事の会社で、見積や発注のために屋根面積を拾う積算担当・現場担当の方に向けた記事です。
SITE BOARD(サイトボード)の無料の屋根面積計算ツールでは、屋根の形を選んで寸法と勾配を入れるだけで屋根面積を計算できます。屋根材の枚数、ルーフィングの巻数、役物の長さまで一度に出せます。
屋根面積の計算の基本(水平投影面積×伸び率)
屋根面積の計算の基本は「水平投影面積×伸び率」という1本の式です。すべての面が同じ勾配なら、切妻でも寄棟でも、この屋根面積の計算式で屋根全体の面積が出ます。
屋根面積 = 水平投影面積 × 伸び率
伸び率 = √(1 + 勾配²)(4寸勾配は 勾配=0.4)
たとえば横10m・縦7m(軒の出を含む)の屋根で4寸勾配なら、70.00㎡ × 1.077 = 75.39㎡です。屋根面積の計算に使う水平投影面積は、軒の出とケラバの出を含めた屋根の外形で出します。
水平投影と勾配なりの実長の違い
屋根面積の計算で迷いやすいのは、図面の寸法(水平)と屋根の上の長さ(実長)の違いです。横10m・縦7m・4寸勾配の切妻を、横から見た断面で比べます。
| 項目 | 水平投影(屋根面積の計算に使う図面の寸法) | 勾配なりの実長(4寸) |
|---|---|---|
| 片側の流れ | 3,500mm | 3,770mm |
| 屋根全体の面積 | 70.00㎡ | 75.39㎡ |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。横10m・縦7m、軒の出を含む外形、全面4寸勾配)
図面の寸法で屋根面積の計算をするときは、必ず勾配の伸び率を掛けて実長に直します。
屋根面積と床面積・建築面積の違い
屋根面積は、床面積や建築面積より大きくなります。理由は次の2つです。
- 建築面積は、外壁や柱の中心線で囲まれた水平投影の面積で、一般的な住宅の軒の出は含まない
- 屋根面積は、軒の出・ケラバの出を足した外形に、勾配の伸び率を掛けた実際の面積
外壁の中心で10m×7mの総2階の家に、軒の出・ケラバの出450mm・4寸勾配の屋根を載せた例で比べます。
| 面積の種類 | 計算 | 面積 |
|---|---|---|
| 建築面積(1階床面積) | 10.0m × 7.0m | 70.00㎡ |
| 屋根の水平投影面積 | 10.9m × 7.9m | 86.11㎡ |
| 屋根面積(4寸勾配) | 86.11㎡ × 1.077 | 92.74㎡ |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。外壁中心10m×7mの総2階、軒の出・ケラバの出450mm、全面4寸勾配)
床面積70㎡の家でも、屋根面積の計算では約1.32倍の92.74㎡になります。施主に「坪数より屋根が広い」理由を説明するときにも使えます。
軒の出・ケラバの出の確かめ方
軒の出は、屋根面積の計算で最も入れ忘れやすい寸法です。確かめ方は次のとおりです。
- 屋根面積の計算に使う図面では、屋根伏図の外形寸法か、矩計図に書かれた軒の出の寸法を読む
- 現場では、外壁面から軒先(鼻隠し)の外側までを水平に測る
- ケラバの出も同じく、妻側の外壁面から破風の外側までを測る
軒の出の寸法は設計によって違います。決まった値を当てはめず、図面か現場の実測で必ず確かめてください。軒の出を入れ忘れたとき、屋根面積の計算結果がどれだけ小さく出るかを外壁10m×7mの例で計算しました。
| 軒の出・ケラバの出 | 正しい水平投影面積 | 入れ忘れた水平投影面積 | 小さく出る割合 |
|---|---|---|---|
| 300mm | 80.56㎡ | 70.00㎡ | 13.1% |
| 450mm | 86.11㎡ | 70.00㎡ | 18.7% |
| 600mm | 91.84㎡ | 70.00㎡ | 23.8% |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。外壁中心10m×7m、軒の出とケラバの出は同じ寸法)
勾配が全面同じなら、伸び率を掛けたあとも小さく出る割合は変わりません。
屋根面積の計算は勾配でどれだけ変わる?(伸び率早見表)
屋根面積の計算では勾配が急になるほど伸び率が上がり、4寸で約7.7%、6寸で約16.6%面積が増えます。屋根面積の計算に使う勾配ごとの伸び率と隅の係数は、次の早見表で確かめてください。
| 勾配 | 角度 | 伸び率 | 隅の係数 |
|---|---|---|---|
| 1寸 | 5.71° | 1.005 | 1.418 |
| 1.5寸 | 8.53° | 1.011 | 1.422 |
| 2寸 | 11.31° | 1.020 | 1.428 |
| 2.5寸 | 14.04° | 1.031 | 1.436 |
| 3寸 | 16.70° | 1.044 | 1.446 |
| 3.5寸 | 19.29° | 1.059 | 1.457 |
| 4寸 | 21.80° | 1.077 | 1.470 |
| 4.5寸 | 24.23° | 1.097 | 1.484 |
| 5寸 | 26.57° | 1.118 | 1.500 |
| 5.5寸 | 28.81° | 1.141 | 1.517 |
| 6寸 | 30.96° | 1.166 | 1.536 |
| 6.5寸 | 33.02° | 1.193 | 1.556 |
| 7寸 | 34.99° | 1.221 | 1.578 |
| 7.5寸 | 36.87° | 1.250 | 1.601 |
| 8寸 | 38.66° | 1.281 | 1.625 |
| 8.5寸 | 40.36° | 1.312 | 1.650 |
| 9寸 | 41.99° | 1.345 | 1.676 |
| 9.5寸 | 43.53° | 1.379 | 1.704 |
| 10寸(矩勾配) | 45.00° | 1.414 | 1.732 |
出典: SITE BOARD 編集部 算出(2026年10月、伸び率=√(1+勾配²)・隅の係数=√(2+勾配²)から小数第4位を四捨五入)
隅棟・谷の実長は、平側の水平距離 × 隅の係数で出します。
屋根面積の計算で勾配が分からないときの調べ方
図面や航空写真の水平寸法しか無いときは、勾配が分からないと屋根面積の計算が進みません。次の順に勾配を調べます。
- 屋根面積の計算に使う図面のうち、矩計図・立面図にある勾配の表記(「4/10」「4寸」など)を読む
- 表記が無ければ、立面図で屋根の高さ÷水平距離を出す(高さ1,400mm÷水平3,500mm=0.4なら4寸)
- 現場では、勾配計やスマートフォンの傾斜計アプリを屋根面や破風に当てて角度を読み、早見表で寸に直す
- 屋根材から当たりを付ける。スレート・金属横葺き・立平葺きは製品ごとに最小勾配があるので、メーカーのカタログで確かめる
屋根の上で実測した長さを使うなら、勾配が分からなくても屋根面積の計算はできます。実測の長さはすでに勾配なりの長さ(実長)なので、伸び率を掛けずにそのまま使います。
寄棟の屋根面積の計算はどうする?
寄棟の屋根面積の計算は、4面が同じ勾配なら「水平投影面積×伸び率」だけで済みます。面ごとに台形と三角形に分けて足しても、同じ値になります。
台形と三角形に分けて寄棟の屋根面積の計算を確かめる
寄棟は、長辺側の2面が台形、短辺側の2面が三角形です。横10,000・縦7,000mm(軒の出を含む)・4寸勾配で、寄棟の屋根面積の計算を確かめます。
- 流れの実長を出す:縦の半分3,500mm × 1.077 = 3,770mm
- 台形(下辺10,000・上辺3,000・高さ3,770mm):24.50㎡ × 2面
- 三角形(底辺7,000・高さ3,770mm):13.19㎡ × 2面
- 合計:75.39㎡(70.00㎡ × 1.077 と一致)
寄棟の屋根面積の計算を面ごとに行うのは、屋根材の枚数を面ごとに拾いたいときです。面積だけなら、水平投影面積×伸び率で十分です。
寄棟の屋根面積の計算に使う棟と隅棟の長さ
4面が同じ勾配なら、隅棟は真上から見て45°に入ります。
- 棟の長さ = 横 − 縦(10,000 − 7,000 = 3,000mm)
- 隅棟の実長 = 縦の半分 × 隅の係数(3,500 × 1.470 = 5,144mm)
面によって勾配が違う寄棟の屋根面積の計算
平側と妻側で勾配が違う寄棟は、面ごとに屋根面積を計算して足します。水平投影面積×伸び率では出ません。
屋根の高さはどの面も同じです。そのため、もう一方の勾配は「入れた勾配 × 入れた面の流れ ÷ もう一方の面の流れ」で出します。流れは軒から棟までの水平距離で、広い面は縦の半分、狭い面は(横 − 棟)の半分です。たとえば棟4,000mm・広い面4寸なら、狭い面は 4 × 3,500 ÷ 3,000 = 4.67寸、隅棟の実長は4,818mmです。
切妻・片流れ・入母屋の屋根面積はどう計算する?
すべての面が同じ勾配なら、どの形でも屋根面積の計算は「水平投影面積×伸び率」です。形ごとに違うのは、面の分かれ方と、棟・隅棟・谷の入り方です。
切妻屋根・片流れ屋根
切妻は、軒の長さ × 片側の流れ長さ × 2 です。片流れは、軒の長さ × 流れ長さです。流れ長さは、軒先から棟(水上)までの水平距離に伸び率を掛けた長さです。
半切妻・入母屋・越屋根
- 半切妻:切妻の妻側の上を斜めに切り落とした形。長い2面は六角形、妻側の上の2面は小さな三角形になる
- 入母屋:下は四方に流れる寄棟、上は妻壁のある切妻。妻側の面は台形で、上の辺は壁際(ルーフィングを立ち上げる)になる
- 越屋根:大屋根の棟の上に壁を立てて小さな屋根をのせた形。越屋根の軒の出の下にも大屋根があるので、大屋根と越屋根の面積を足す
半切妻・入母屋で妻側の勾配が違うときは、寄棟の屋根面積の計算と同じく、流れの比でもう一方の勾配を出し、面ごとに足します。
棟違い屋根(招き屋根)
2つの片流れが向かい合い、高い方の水上が低い方の壁より上に出ている形です。面積は2つの片流れの合計です。高い方の屋根が低い方の上に張り出している分も、屋根材を張るので流れに含めます。
複合屋根(L字型・T字型・コの字型)
母屋に張り出しが付いた形です。寄棟の複合屋根は、外の角から45°の隅棟、内側の角から45°の谷が入ります。面の形は複雑でも、すべての面が同じ勾配なら、寄棟の屋根面積の計算と同じく水平投影面積×伸び率です。
L字型寄棟の谷の実長は、下の軒と左の軒の短いほうの半分に隅の係数を掛けて出します。面ごとに勾配が違うときは、面ごとに「水平投影 × その面の伸び率」で出して足します。
下屋(四角形・L型・コの字型・ロの字型)
下屋は2階の壁に当たる片流れの屋根で、水上は壁際(雨押え)になります。面積は、下屋の平面の面積(水平投影)× 伸び率です。建物の角を回るL型・コの字型では、外の角に隅棟が入ります。
形ごとの屋根面積の計算例
| 屋根の形 | 寸法(軒の出を含む外形) | 勾配 | 水平投影面積 | 伸び率 | 屋根面積 | 隅棟・谷の実長 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 寄棟 | 10,000×7,000mm | 4寸 | 70.00㎡ | 1.077 | 75.39㎡ | 隅棟 5,144mm |
| L字型寄棟 | 8,600×14,100mm から 1,800×4,550mm を除く | 4寸 | 113.07㎡ | 1.077 | 121.78㎡ | 谷 4,997mm |
| T字型 | 母屋12,000×6,000mm+張り出し5,000×5,000mm | 4寸 | 97.00㎡ | 1.077 | 104.47㎡ | — |
| 切妻 | 9,000×7,000mm | 5寸 | 63.00㎡ | 1.118 | 70.43㎡ | — |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。寸法は軒の出を含む外形寸法、すべての面が同じ勾配として計算)
屋根面積の計算で図面はどこを読む?
屋根面積の計算で図面を使うときは、屋根伏図で軒の出を含む外形寸法を読み、矩計図や立面図で勾配を読みます。あとは水平投影面積に伸び率を掛け、下屋を足せば終わりです。
- 屋根伏図(無ければ平面図)で、軒の出・ケラバの出を含む外形寸法を読む
- 矩計図・立面図で勾配(4/10など)を読む
- 外形寸法から水平投影面積を出す
- 早見表の伸び率を掛ける
- 下屋・越屋根があれば、同じ手順で出して足す
切妻1棟で、屋根面積の計算に図面を使った例です。寄棟の屋根面積の計算に図面を使うときも、手順は同じです。
| 手順 | 屋根面積の計算で図面から読む値・計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ① 伏図の外形寸法 | 軒方向9,000mm × 妻方向7,000mm(軒の出・ケラバの出を含む) | — |
| ② 矩計図の勾配 | 5/10 | 5寸 |
| ③ 水平投影面積 | 9.0m × 7.0m | 63.00㎡ |
| ④ 伸び率を掛ける | 63.00㎡ × 1.118 | 70.43㎡ |
| ⑤ 下屋を足す | 下屋なしの例 | 70.43㎡ |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算)
屋根面積の計算に使う図面で、注意する点は次の2つです。
- 平面図の外壁寸法には軒の出が入っていない。平面図しか無いときは、矩計図の軒の出を外周に足す
- 図面の寸法は水平距離なので、必ず伸び率を掛ける(屋根の上の実測とは扱いが違う)
会員の方は、図面を撮ってアップロードすると、AIが寸法を読み取って屋根面積を計算します(使い方は「屋根面積計算ツールはどう使う?」の節)。
図面がないときの屋根面積の計算方法は?
図面がないときは、Googleマップの航空写真で屋根の外形を測り、伸び率を掛けて屋根面積を概算します。床面積に倍率を掛ける方法や、既存の瓦の枚数から逆算する方法もあります。
航空写真で外形寸法を測る
Googleマップを航空写真に切り替え、屋根の角で右クリックして「距離を測定」を選びます。屋根の外周の辺を順にクリックすると、長さが出ます。写真に写っているのは軒先の外形なので、測った寸法には軒の出が含まれます。
投影面積に伸び率を掛ける
測った外形寸法から水平投影面積を出し、早見表の伸び率を掛けます。屋根面積計算ツールなら、屋根の形を選び、測った長辺・短辺を記号A・Bの欄に入れて勾配を選べば計算できます。4面が同じ勾配なら、寄棟の屋根面積の計算も長辺・短辺の2つの寸法で済みます。勾配は、現地で傾斜計を当てるか、屋根材の種類から当たりを付けます。
航空写真の数値の誤差と注意点
- 写真は軒先の外形だけで、外壁の位置は分からない
- 下屋は、大屋根の陰や庭木に隠れて見落としやすい
- 撮影の角度や解像度で、外形がずれて見えることがある
- 精度は概算レベル。初回の見積までに使い、発注の前は必ず実測する
床面積から屋根面積を概算する
1階の床面積に、軒の出と勾配に応じた倍率を掛けると、屋根面積の目安が出ます。外壁10m×7m(1階床面積70㎡)の総2階で計算した倍率です。
| 軒の出・ケラバの出 | 3寸勾配 | 4寸勾配 | 5寸勾配 | 6寸勾配 |
|---|---|---|---|---|
| 300mm | 1.20倍(84.10㎡) | 1.24倍(86.76㎡) | 1.29倍(90.07㎡) | 1.34倍(93.93㎡) |
| 450mm | 1.28倍(89.90㎡) | 1.32倍(92.74㎡) | 1.38倍(96.27㎡) | 1.43倍(100.40㎡) |
| 600mm | 1.37倍(95.88㎡) | 1.41倍(98.91㎡) | 1.47倍(102.68㎡) | 1.53倍(107.09㎡) |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。1階が外壁中心10m×7mの総2階、全面同じ勾配、軒の出とケラバの出は同じ寸法)
全面同じ勾配なら、切妻でも寄棟でも屋根面積の計算結果は同じなので、倍率も同じです。下屋のある家は軒の周りが長くなるため、倍率は表より上がります。建物の大きさや形でも倍率は変わるので、あくまで目安です。
既存の瓦の枚数から逆算する
瓦屋根の葺き替えでは、瓦の枚数を1㎡あたりの葺き枚数で割ると、おおよその屋根面積が出ます。J形の53判は、1㎡あたり16枚(53枚/坪)が目安です。働き長さが短い製品は、18枚や20枚/㎡になるものもあります。軒瓦・袖瓦などの役瓦の数え方でも誤差が出るので、概算として使います。
折板屋根の屋根面積はどう計算する?
折板屋根の屋根面積の計算には、投影面積と展開面積の2つがあります。投影面積は働き幅×枚数×長さ、展開面積は山の形に沿った面積(投影面積×係数)です。
- 葺き替え・カバー工法の材料:働き幅で割り付けた投影面積で枚数を出す
- 塗装:山の表面を塗るので、展開面積を使う
- 係数:山の高さ・ピッチで変わるので、メーカーの資料で確かめる
この屋根面積計算ツールは、折板の展開面積は計算しません。投影面積に伸び率を掛けた屋根面積は、「屋根の一面を計算」の長方形で出せます。
屋根面積の計算結果を使うときの注意点は?
屋根面積の計算結果は概算なので、発注の前に現場の実測とメーカーの施工説明書で確かめます。ほかに次の点に注意します。
- 換気棟や天窓などの開口、下屋との取り合いで、必要な量は変わる
- 屋根面積の計算で使った勾配が製品の最小勾配を下回る場合、その製品は使えないことがある(画面に注意を表示する)
- ルーフィングの巻数は、重ね幅を基準の最小値で見た目安。棟・谷の増し張りなど、数値の示されていない納まりの分は含まない
屋根面積が業者や用途で違う理由
同じ屋根でも、屋根面積の計算の前提によって見積の数字は変わります。
| 違いが出るところ | 数字への影響 | 見積での考え方 |
|---|---|---|
| 軒の出を入れるか | 450mmの出で約19%違う(外壁10m×7mの例) | 屋根面積には軒の出を入れる |
| 伸び率の丸め方 | 4寸を1.08で計算すると、1.077より約0.3%大きい | 丸め方を根拠と一緒に書く |
| 塗装の屋根材係数 | スレート・瓦・金属の凹凸で、塗る面積は屋根面積より増える | 係数は塗料メーカーの仕様で確かめ、塗装面積として書き分ける |
| ロス率 | 材料の数量は屋根面積より多くなる | 屋根面積と発注数量を別の行に書く |
見積書には、屋根面積(実面積)とその根拠(水平投影面積・勾配)を書きます。材料はロスを含めた数量で別に書くと、施主や元請けに説明しやすくなります。
屋根面積計算ツールはどう使う?
屋根面積計算ツールは、屋根の形を選び、図の記号の寸法と勾配を入れると、屋根面積から屋根材の数量までを出します。屋根面積は寸法を入れた時点で、回数を使わずに出ます。
1. 屋根の形を選び、寸法を入れる
「屋根の種類から計算」で、切妻・寄棟・入母屋・複合屋根・下屋など18種類の形から選びます。伏図の記号(A・B・C…)の欄に、軒の出とケラバの出を含めた外形寸法を入れます。下屋は「+ 下屋・別の屋根を足す」で、屋根を最大6つまで足せます。
2. 勾配を選ぶ
寸勾配か角度を選ぶと、伸び率を掛けた屋根面積と面ごとの流れ長さが出ます。屋根の上で実測した長さなら、勾配は空欄のままにします。寄棟の屋根面積の計算で面ごとに勾配が違うときは、棟の長さを入れると、もう一方の勾配を計算します。
3. 屋根材とルーフィングを選ぶ
一覧から製品を選ぶか、働きを手入力して、縦張りか横張りかを選びます。ルーフィング(下葺き材)は、主要メーカーの製品から選びます。
4. 施工の決まりごとを書く(任意)
「ロスは5%見る」のようにふだんの言葉で書くと、AIが計算条件に置き換えます。結果の画面で、反映された内容を確かめてください。
5. 割付図と数量を確かめる
面ごとの割付図で、切り物・継手・半端の位置を確かめます。結果は印刷やPDFにでき、結果のリンクから開き直せます。
形が合わないとき・図面から計算するとき
種類で選べない形は「屋根の一面を計算」で、長方形・台形・三角形などの面に分けて足します。高さが測れない面は、斜めの辺の長さで入れられます。会員の方は、手書きやCADの図面を撮ってアップロードすると、AIが寸法を読み取って屋根面積を計算します(写真とPDFを合わせて6つまで)。屋根面積計算ツールは読めなかった寸法を推測で埋めずに赤枠で残すので、屋根面積の計算に使う図面と見比べて入れてください。
現場では、形ごとの「現場記入シート(PDF)」に記号ごとの寸法と勾配を書き込み、事務所で同じ記号の欄に入れます。シートは登録なしでダウンロードでき、QRコードからその形を選んだ状態で開けます。
利用回数と保存
- 割付図と数量は1日1回(登録なし・無料期間中)、5回(本登録の会社)まで
- 会員は結果を保存し、「積算に取り込む」で SITE BOARD の積算に明細と数量を入れられる(AIによる図面からの拾い出しも利用可)
開発者から見たポイント
SITE BOARD の屋根面積計算ツールを作るときに、とくに気を付けたのは次の3点です。
- 図面の水平寸法と屋根上の実測の取り違えを防ぐ。取り違えると4寸勾配で7.7%ずれるため、勾配が空欄なら入れた寸法を実長として計算し、結果に「入れた寸法を実長として計算(勾配なし・伸び率なし)」と注記を出す設計にした。注記は役物の長さや積算の明細、印刷・PDFにも入る
- ルーフィングの巻数の公式な計算方法は、メーカーや団体から示されていない。そのため、瑕疵保険の設計施工基準と日本防水材料協会の施工要領の重ね幅から、このツール独自に組み立てた
- 現場では高さ(C)に巻尺を当てられない面が多い。そこで、辺に沿って測れる斜めの辺の長さからも高さを出して計算できるようにした
屋根面積の計算で取り違えたときのずれは、勾配が急なほど大きくなります。
| 勾配 | 伸び率 | 図面寸法と実測を取り違えたときのずれ |
|---|---|---|
| 3寸 | 1.044 | 4.4% |
| 4寸 | 1.077 | 7.7% |
| 5寸 | 1.118 | 11.8% |
| 6寸 | 1.166 | 16.6% |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。ずれ=伸び率−1)
屋根面積を計算する前のチェックリスト
見積の屋根面積が妥当かを確かめるときにも使えます。
- □ 屋根面積の計算に使う寸法は、軒の出・ケラバの出を含めたか
- □ 図面の水平寸法か、屋根上の実測かを確認したか(実測なら伸び率は掛けない)
- □ 屋根面積の計算に使う勾配は、図面・立面図・傾斜計のどれで確かめたか
- □ 寄棟の屋根面積の計算で、面ごとの勾配が同じか確かめたか(違えば面ごとに計算して足す)
- □ 下屋・越屋根を足したか
- □ 換気棟・天窓の開口を確認したか
- □ 航空写真や床面積からの概算なら、発注前に実測する予定を入れたか
- □ 見積書に水平投影面積・勾配・伸び率の根拠を書いたか
- □ 屋根面積と発注数量(ロス込み)を別の行に分けたか
よくある質問
屋根面積の計算で、勾配は掛けないといけませんか?
図面の寸法(真上から見た寸法)から屋根面積を計算する場合は、勾配の伸び率を掛けます。屋根の上で実測した長さを使う場合は、すでに勾配なりの長さなので掛けません。
寄棟の屋根面積も「水平投影面積×伸び率」で計算できますか?
すべての面が同じ勾配なら計算できます。寄棟の屋根面積の計算は、面ごとに台形と三角形に分けて足した値と一致します。面によって勾配が違うときは、面ごとに計算して足します。
寄棟の屋根面積の計算で、隅棟の長さはどう出しますか?
4面が同じ勾配なら、縦の半分に隅の係数を掛けて出します。横10m・縦7m・4寸勾配なら、3,500mm × 1.470 = 5,144mmです。
軒の出は屋根面積に含めますか?
含めます。屋根面積の計算は、軒の出・ケラバの出を含めた外形で行います。450mmの軒の出を入れ忘れると、外壁10m×7mの例で約19%小さく出ます。
延床面積(建坪)から屋根面積の目安は出せますか?
出せます。総2階なら1階床面積に、軒の出と勾配に応じた倍率(軒の出450mm・4寸で約1.32倍)を掛けます。たとえば延床30坪の総2階は1階が15坪(約49.59㎡)なので、49.59㎡ × 1.32 ≒ 65㎡が目安です。
屋根面積を坪で出すには?
㎡を3.306で割ります。たとえば屋根面積92.74㎡なら、92.74 ÷ 3.306 ≒ 28.05坪です。
屋根面積の計算で、図面のどこから寸法を読めばいいですか?
屋根伏図の外形寸法(軒の出・ケラバの出を含む)を読みます。勾配は矩計図や立面図の「4/10」などの表記で読みます。平面図の外壁寸法には軒の出が入っていないので注意してください。
Googleマップで屋根面積は測れますか?
航空写真の「距離を測定」で外形を測り、伸び率を掛ければ概算できます。写っているのは軒先の外形で、下屋を見落としやすいので、発注前は実測してください。
屋根の勾配が分からないときは?
図面の勾配表記か、立面図の高さ÷水平距離で調べ、現場では傾斜計アプリで角度を測ります。屋根の上で実測した長さなら、屋根面積計算ツールの勾配の欄を空欄にして、伸び率を掛けずに計算できます。
折板屋根の屋根面積はどう計算しますか?
材料の枚数は投影面積(働き幅×枚数×長さ)で、塗装は山の形に沿った展開面積で出します。展開面積の係数は山の高さ・ピッチで変わるので、メーカーの資料で確かめてください。
複合屋根や下屋も屋根面積計算ツールで計算できますか?
計算できます。「屋根の種類から計算」で18種類の形から選び、下屋は「+ 下屋・別の屋根を足す」で足します。種類で選べない形は「屋根の一面を計算」で面ごとに足すか、会員の方は図面をAIに読み取らせて計算できます。
屋根面積が出たあとの数量の拾い方
屋根材の数量は、屋根面積の計算で出した流れ長さと軒の長さを、屋根材の働きで割って出します。ここでは、屋根面積計算ツールが出す数量の考え方を短くまとめます。
横葺きの枚数
段数は、流れ長さ÷縦の働き(働き幅)を切り上げて出します。枚数は、段ごとに必要な長さを合計して横の働き(働き長さ)で割ります。寄棟の台形や三角形の面は上の段ほど短いので、長方形として計算すると多めに出ます。
立平葺き・瓦棒葺きの本数
列の数は、軒の長さ÷横の働き(1列の幅)です。1本の長さは、その列の流れ長さに、軒先のつかみ代や棟側の立ち上げなどの余長を足します。寄棟の隅にかかる列は斜めに切るので、列ごとに長さが変わります。
役物の長さとロス
軒先・ケラバ・棟・隅棟・谷・壁際・水上の長さは、勾配なりの実長の合計で出します。重ね代や定尺への割り付けは含まないので、本数は定尺と重ねに合わせて出してください。ロスの割合は製品・屋根の形・会社で違い、たとえばアイジー工業はスーパーガルテクトの積算方法で切妻10%、寄棟15%を示しています。
ルーフィングの巻数
ルーフィングは上下100mm以上・左右200mm以上重ねて張るので(住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準)、1m×20m巻で覆えるのは0.9m×19.8m=17.82㎡です。棟・谷・壁際・隅棟・水上の重ねや折り返しの分(同基準、日本防水材料協会の屋根下葺材施工要領)も足して巻数を出します。製品ごとの1巻の寸法は次の一覧で確かめてください。
| メーカー | 製品 | 種類 | 1巻の寸法 |
|---|---|---|---|
| 田島ルーフィング | Pカラー/PカラーM | アスファルトルーフィング940 | 1m×21m |
| 田島ルーフィング | PカラーNEXT | アスファルトルーフィング | 1m×18m |
| 田島ルーフィング | PカラーEX+ | 改質アスファルト | 1m×18m |
| 田島ルーフィング | マスタールーフィング | 改質アスファルト | 1m×20m |
| 田島ルーフィング | ニューライナールーフィング | 改質アスファルト | 1m×20m |
| 田島ルーフィング | タディス セルフ | 粘着(遅延粘着型) | 1m×16m |
| 田島ルーフィング | タディス セルフ カバー | — | 1m×20m |
| 田島ルーフィング | アンダーガムロンK | 粘着層付(緩勾配屋根用) | 1m×16m |
| 日新工業 | カラールーフィング | アスファルトルーフィング940 | 1m×21m |
| 日新工業 | カッパ23 | 改質アスファルト | 1m×21m |
| 日新工業 | カッパルーフ2号 | 改質アスファルト | 1m×20m |
| 日新工業 | カスタムルーフS | 粘着層付改質アスファルト | 1m×16m |
| 日新工業 | カスタムライト | 粘着層付改質アスファルト | 1m×16m |
| 静岡瀝青工業 | 彩 | アスファルトルーフィング940 | 1m×21m |
| 静岡瀝青工業 | 雅 | 改質アスファルト | 1m×20m |
| 静岡瀝青工業 | 匠 | 改質アスファルト | 1m×21m |
| 静岡瀝青工業 | プロタイト | 粘着層付改質アスファルト | 1m×16m |
| 七王工業 | エコタック | 粘着層付の下葺用改質アスファルト | 1m×16m |
| ガムスター | ハイグリップカラールーフィング | アスファルトルーフィング940 | 1m×21m |
| ガムスター | ニュースタンダード | 改質アスファルト | 1m×20m |
| ガムスター | SEタック2 | 粘着層付き改質アスファルト | 1m×18m |
2026年9月13日に各メーカーの製品ページ・カタログで確認した寸法です。「—」はメーカーのページに明記が無いものです。記載の製品名は各社の商標または登録商標です。
金属屋根材の働き幅
働き幅は、重ねたあとに実際に屋根を覆う幅です。横張りでは流れ方向、縦張り・瓦棒では軒方向の寸法で、メーカーの公式資料に明記された値だけを載せています(2026年9月13日時点)。発注の前に、最新の施工説明書で確認してください。
横張り
| 製品(メーカー) | 働き幅 | 働き長さ | 最小勾配 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| スーパーガルテクト/同 フッ素(アイジー工業) | 265mm | 2,960mm | 2.5寸以上 | 商品ページ・ 施工説明書 P13・ 積算方法 P46 |
| スーパーガルテクトC(アイジー工業) | 265mm | 1,820mm | 2.5寸以上 | 商品ページ・ 施工説明書 P13 |
| 横暖ルーフαプレミアムS/αS(ニチハ) | 260mm | 2,960mm | 2.5寸以上(3.5寸未満は防水強化仕様) | 商品ページ・ 納まり詳細図 P232 |
| 横暖ルーフS/プレミアムS(ニチハ) | 260mm | 3,030mm | 2.5寸以上(3.5寸未満は防水強化仕様) | 商品ページ・ 納まり詳細図 P250 |
| 横暖ルーフS1820(ニチハ) | 260mm | 1,820mm | 2.5寸以上(3.5寸未満は防水強化仕様) | 商品ページ |
| スマートメタル(ケイミュー) | 270mm | 2,400mm | 2寸以上(地域・勾配による条件あり) | 商品ページ・ 特長PDF p.1 |
横張り(長尺)
| 製品(メーカー) | 働き幅 | 働き長さ | 最小勾配 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| エバールーフ横葺1型(日鉄鋼板) | 190mm | 長尺 | 25/100以上(一般地域) | 商品ページ |
| エバールーフ横葺2型(日鉄鋼板) | 300mm | 長尺 | 25/100以上(一般地域) | 商品ページ |
縦張り
| 製品(メーカー) | 働き幅 | 働き長さ | 最小勾配 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| スタンビー TL-455(稲垣商事) | 455mm | 長尺 | 5/100以上 | 住宅用屋根材ページ |
| スタンビー TL-333(稲垣商事) | 333mm | 長尺 | 5/100以上 | 住宅用屋根材ページ |
| エバールーフたてひら2型(日鉄鋼板) | 350mm | 長尺 | 5/100以上 | 商品ページ・ 施工マニュアル P20 |
| エバールーフたてひら1型(日鉄鋼板) | 360mm | 長尺 | 5/100以上 | 商品ページ・ 施工マニュアル P20 |
| ジョイント立平(JFE鋼板) | 333mm | 2,000mm | 5/100以上 | 商品ページ |
| 立平ロック25型(セキノ興産) | 333mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| かん合立平葺YK-333(淀工業) | 333mm | 長尺 | 5/100以上(現場の状況と雨量を考慮) | 製品ページ |
| 立平455 H31型(働き幅455)(小池弥太郎商店) | 455mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| 立平455 H31型(働き幅335)(小池弥太郎商店) | 335mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
瓦棒
| 製品(メーカー) | 働き幅 | 働き長さ | 最小勾配 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| キャップエース455(稲垣商事) | 455mm | 長尺 | 5/100以上 | 住宅用屋根材ページ |
| 芯木なし瓦棒・丸はぜ式瓦棒(働き巾303)(セキノ興産) | 303mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| 芯木なし瓦棒・丸はぜ式瓦棒(働き巾418)(セキノ興産) | 418mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| 芯木なし瓦棒・丸はぜ式瓦棒(働き巾455)(セキノ興産) | 455mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| A号瓦棒葺(働き巾321)(三晃金属工業) | 321mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| A号瓦棒葺(働き巾364)(三晃金属工業) | 364mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
| A号瓦棒葺(働き巾418)(三晃金属工業) | 418mm | 長尺 | 5/100以上 | 製品ページ |
まとめ
屋根面積の計算は、軒の出を含む水平投影面積に勾配の伸び率を掛けるのが基本です。寄棟の屋根面積の計算や複合屋根も、全面が同じ勾配なら同じ式で出せます。下屋は別に出して足します。図面があれば伏図と矩計図から、図面がなければ航空写真や床面積の倍率から概算します。一番の注意点は、図面寸法と実測の取り違えと、軒の出の入れ忘れです。
屋根面積が出たあとは、屋根材・ルーフィング・役物の数量を拾い、見積書に落とし込む作業が続きます。SITE BOARD の会員なら、この屋根面積計算ツールの結果をそのまま積算に取り込み、見積書・発注書まで進められます。30日間はすべての機能を無料で試せる(クレジットカード不要)ので、まずは手元の現場の屋根で計算してみてください。