目次
- 拾い出しのやり方は「図面確認→3種類で拾う→割増→集計」の4段階
- 出す数字は「設計数量」と「所要数量」の2つ
- 独学で迷わないための順番
- 拾い出しの前に用意するものと図面の見方
- 図面の種類ごとに拾うものと単位
- 特記仕様書・凡例・分担の境界を先に読む
- マーカーの色分けと集計表の書式
- 面積・長さ・個数の拾い方を1つの部屋で追う
- 面積の拾い方|床・天井9.94㎡、壁は開口を引いて27.22㎡
- 長さの拾い方|周長12.74m、巾木は扉の幅を引いて11.94m
- 個数の拾い方|記号を数えて凡例と照らす
- 割増(ロス)の考え方と計算例
- 所要数量=設計数量×(1+割増率)
- 材料ごとの割増率の目安と確かめ方
- 定尺・梱包単位への切り上げ
- 拾い漏れ・二重計上を防ぐチェックリスト
- 漏れやすい場所と間違えやすい計算
- 集計前と提出前に見る項目の一覧
- 工種ごとの拾い方の違いと、部位別の計算記事
- 内装は面積から枚数・本数・巾数へ
- 屋根・外壁・板金・足場は伸び率と掛け面積
- 鉄筋・型枠・電気設備は重さ・接する面積・延長と台数
- 拾った数量を見積書に写し直す二度手間を減らす
- サイトボードの「積算」に原価で入れて、見積り(下書き)に変える
- 「資材費マスタ」で単価を使い回す
- 原価が見える画面なので、見せる相手を決めておく
- 図面からのAI拾い出し(積算のAI)で任せてよいところ
- AIが数量を出す3つの方法と「根拠」の欄
- AIの結果で人が必ず確かめること
- 明日から試すなら、1部屋を手で拾って時間を測る
図面を前に、どこから数えればいいか迷ったまま夜遅くまで事務所に残っていませんか。材料の拾い出しのやり方は、順番と集計表の書き方を決めておけば、一人でも迷わずに進められます。ここでは洋室1部屋を例にして、面積・長さ・個数の拾い方、割増(ロス)の計算、見直しのチェックリストを順に追います。拾った数量を見積書へ写し直す手間を減らす方法と、AIに任せてよい範囲も紹介します。明日の拾い出しから、そのまま試せる内容です。
拾い出しのやり方は「図面確認→3種類で拾う→割増→集計」の4段階
拾い出しのやり方は、図面と決まりごとの確認、面積・長さ・個数の拾い、割増、集計表での確認の4段階です。拾い出しとは、図面から材料と手間の数量を出し、見積り・発注・実行予算の土台を作る作業を指します。
- 図面と決まりごとの確認:使う図面をそろえ、どこまでが自社の工事かを決めます
- 面積・長さ・個数に分けて拾う:㎡・m・箇所の3種類に分け、施工の順に数えます
- 割増を掛ける:切り無駄や継ぎ手の分を、材料ごとの率で足します
- 集計表にまとめて確認する:合計を見直し、塗り残しや単位の誤りを探します

ここからは、内法3,640×2,730mm・天井高2,400mmの洋室1部屋を通しの例にします。扉は800×2,000mm、窓は1,600×1,100mmが1か所ずつです。最後まで同じ数字で追うので、手元の図面に置き換えながら読んでください。
工事費は「数量×単価」で決まります。そのため、数量の誤りはそのまま金額の誤りになります。たとえば壁クロスを開口を引かずに30.58㎡で拾うと、正しい27.22㎡より3.36㎡多くなります。仮に㎡単価が1,000円なら、1部屋で3,360円の上乗せです。
出す数字は「設計数量」と「所要数量」の2つ
設計数量は、図面の寸法どおりに出した正味の数量です。所要数量は、定尺材の切り無駄や継ぎ手、施工中のやむを得ない損耗を見込んだ、実際に必要な数量を指します。
見積りの数量と発注の数量がずれるのは、この違いがあるからです。例の部屋の巾木は、設計数量で11.94mになります。ところが4m材で買うと、4本・16mを発注することになります。見積書に11.94m、発注書に4本と書いてあっても、どちらかが間違いとは限りません。
この2つの言葉は、国土交通省が公開している「公共建築数量積算基準」で定義されています。基準は改定されることがあるため、国土交通省のWebサイトで最新版の本文を確かめてください。
独学で迷わないための順番
先輩に聞けない夜でも、次の順番を守れば抜けに気づきやすくなります。
- 最初に図面全体と特記仕様書を見る:工事の範囲と自社の分担を決めてから拾い始めます
- 施工の順に拾う:下地→仕上げ、床→壁→天井の順にそろえると、「下地を拾ったのに仕上げがない」といった抜けが目に付きます
- 1部屋・1工種を拾い切ってから次へ進む:途中で別の工種に飛ぶと、どこまで拾ったか分からなくなります
- 最後に集計表で合計を見直す:別の人か、翌朝の自分がもう一度確かめます
拾い出しの前に用意するものと図面の見方
拾い出しの前には、平面図・展開図・矩計図・仕上表・設備図と、特記仕様書・凡例をそろえます。図面の縮尺を確かめ、色マーカー・電卓・集計表を手元に置けば準備は終わりです。
縮尺は表題欄の「S=1/50」などで確かめます。1/50の図面なら、図面上の1cmは実際の50cmです。ただし縮小コピーした図面は、この関係が崩れます。A2の図面をA3に縮小すると、1/50の図面は約1/70になります。そのため、寸法線に数字が書いてある所は、定規で測るより数字を優先します。
拾った箇所は、図面上でマーカーを引いて消し込みます。どこまで拾ったかが一目で分かり、見直しも塗り残しを探すだけで済むからです。
図面の種類ごとに拾うものと単位
図面の種類によって、拾うものと単位が変わります。
| 図面 | 主に拾うもの | 単位 |
|---|---|---|
| 意匠図(平面図・展開図・仕上表など) | 床・壁・天井の仕上げ、建具 | ㎡、箇所 |
| 構造図 | コンクリート、鉄筋、型枠 | ㎥、t・kg、㎡ |
| 設備図(電気・給排水など) | 配管・配線の延長、器具 | m、台・個 |
| 仮設計画図 | 足場、養生、仮囲い、仮設の期間 | ㎡、m、日 |
同じ材料でも、見積りと発注で単位が変わる点に注意してください。石膏ボードは見積りでは㎡ですが、発注では枚です。巾木は見積りがmで、発注は本になります。拾い出しの段階では、設計数量をまず図面の単位で出し、発注の単位には割増のあとで直します。
仕上表と平面図で記載が食い違う場合もあります。たとえば仕上表では「クロス」なのに、展開図に「塗装」と書いてあるような場合です。このときは自分で決めずに、拾う前に設計者か元請に確認します。
特記仕様書・凡例・分担の境界を先に読む
特記仕様書には、図面に描かれない材料の指定が書かれています。下地合板の厚み、防火認定品の指定、別途工事の範囲などです。ここを読み飛ばすと、拾い漏れか拾いすぎのどちらかが起きやすくなります。
設備との取り合いも、拾う前に決めておきます。
- 手すりや吊戸棚の下地補強は、大工工事で拾うのか内装工事で拾うのか
- 換気扇や点検口の開口補強は、どの業者の範囲か
- 「別途工事」と書かれた部分の境目は、どの線までか
凡例の記号は、拾う前に一覧で目を通します。コンセントの記号は、口数や接地極の有無で形が少しずつ違います。似た記号を数え間違えると、器具の種類ごとの数がずれてしまいます。
マーカーの色分けと集計表の書式
マーカーは、面積は黄・長さは青・個数は赤のように色を決め、拾った面や線、記号を塗りつぶします。色を固定すると、図面を見ただけで何を拾ったかが分かります。
集計表には、次の6つの列を用意します。名称、規格、計算式(寸法)、数量、単位、拾った図面と場所です。例の部屋を書くと、次のようになります(列をまとめて4列にしています)。
| 名称・規格 | 計算式(寸法) | 数量・単位 | 図面と場所 |
|---|---|---|---|
| 床 フローリング | 3.64×2.73 | 9.94㎡ | 平面図・洋室1 |
| 壁 クロス(開口控除あり) | 12.74×2.4−3.36 | 27.22㎡ | 展開図・洋室1 |
| 巾木 | 12.74−0.8 | 11.94m | 平面図・洋室1 |
| コンセント | 記号を数える | 3箇所 | 電気設備図・洋室1 |
計算式を残すのは、あとで数量の根拠を聞かれたときに説明できるからです。間違いを探すときも、式があれば1行ずつ追えます。Excelで作るなら1行1部位にして、工種ごとに小計を出すと見直しやすくなります。
面積・長さ・個数の拾い方を1つの部屋で追う
面積・長さ・個数は、図面のmmの寸法をmに直してから掛け算します。例の洋室は、内法3,640×2,730mm・天井高2,400mm・扉800×2,000mm・窓1,600×1,100mmです。

mmのまま掛けると桁を間違えます。3,640×2,730をそのまま掛けると9,937,200になり、これは㎟の数字です。3.64m×2.73mと先にmへ直せば、9.9372㎡がそのまま出ます。
平面図の寸法が通り芯の寸法(芯々)の場合は、壁の厚みの分を引いて内法に直してから拾います。仕上げ材は、実際に貼る内側の寸法で拾うためです。
面積の拾い方|床・天井9.94㎡、壁は開口を引いて27.22㎡
床と天井は、平面図の内法寸法を掛けて出します。
- 床:3.64m×2.73m=9.9372㎡で、約9.94㎡
- 天井:床と同じ形なら同じく約9.94㎡(下がり天井があれば分けて拾います)
壁は、周長×天井高で出し、開口を引きます。
- 周長:(3.64+2.73)×2=12.74m
- 壁の全面積:12.74m×2.4m=30.576㎡
- 扉:0.8m×2.0m=1.6㎡
- 窓:1.6m×1.1m=1.76㎡
- 開口の合計:1.6+1.76=3.36㎡
- 壁の面積:30.576−3.36=27.216㎡で、約27.22㎡
開口を引くかどうかは、材料や会社の決まりで異なります。小さな開口は引かないという決まりの会社もあります。集計表には「開口控除あり」「控除なし」のどちらかを書いておきます。
坪や畳に直すときは、9.9372㎡×0.3025≒3.0坪です。畳は9.9372㎡÷1.65≒6.0で、約6畳になります(×0.606でも同じです)。ただし畳の大きさは地域や建物で違うので、この換算は目安にとどめてください。
長さの拾い方|周長12.74m、巾木は扉の幅を引いて11.94m
長さは、部屋の周長から出すものと、図面上で測るものに分かれます。
- 廻り縁:天井と壁の取り合いを一周するので、周長12.74mをそのまま使います
- 巾木:扉の部分には付かないので、12.74−0.8=11.94mです
- 窓の下の巾木:床から窓までが壁なら巾木は付くため、窓の幅は引きません
配線や配管のように寸法が書かれていない長さは、縮尺を使って図面上で測ります。1/50の図面で12cmなら、実際は12×50=600cm、つまり6mです。測った数量は、集計表の計算式の欄に「1/50で実測」と書いておきます。寸法から出した数字と区別しておけば、見直しのときに疑うべき行がすぐ分かります。
長さの材料は、4m材などの定尺に置き換えるときに切り無駄が出ます。巾木の11.94mも、そのまま発注できる数字ではありません。この扱いは、次の割増の節で計算します。
個数の拾い方|記号を数えて凡例と照らす
個数は、図面の記号を種類ごとに数えます。例の部屋では、照明1・スイッチ1・コンセント3・扉1・窓1です。
数えた記号は、赤のマーカーで1つずつ消し込みます。数え終わった記号と、まだの記号を見分けるためです。電卓で数えながら塗ると、二重に数える間違いが減ります。
平面図・設備図・器具表の3つで、数が合うかも確かめます。器具表ではコンセント2、設備図の記号は3という食い違いはよく起こります。このとき、器具表だけを正しいと決めないでください。どちらが最新かを設計者か元請に確認します。
金物・ビスなどの付属品は、本体を拾うときに一緒に拾います。扉1か所なら、蝶番・レバーハンドル・戸当たりが付いてきます。蝶番の枚数は扉の大きさや仕様で変わるので、建具表かメーカーの資料で確かめます。
割増(ロス)の考え方と計算例
割増とは、切断の端材・継ぎ手・施工中の破損などで、正味より多く必要になる分を見込むことです。所要数量は「設計数量×(1+割増率)」で出します。
見積書に設計数量を載せるか、割増込みの所要数量を載せるかは、元請の指定や会社のやり方によって異なります。公共工事では数量の出し方が基準で決まっている場合があります。民間工事では、見積りは設計数量、発注は所要数量と分けている会社も多いです。迷ったら、元請の見積要領か過去の見積書で確かめてください。
割増を「何となく1割」で済ませると、担当者ごとに数量がばらつきます。材料ごとに率を決め、集計表に「割増5%」のように書いておけば、誰が拾っても同じ数字になります。
所要数量=設計数量×(1+割増率)
割増率5%なら、設計数量×1.05が所要数量です。
- 巾木の例:11.94m×1.05=12.537m
- 鉄筋の例:設計数量1,250kg×1.04=1,300kg
割増は、集計の最後に1回だけ掛けます。部位ごとに5%を掛け、合計にもう一度5%を掛けると、約10%増しの二重計上になります。集計表では、割増率の列を1か所に決めておくと二重に掛けずに済みます。
材料ごとの割増率の目安と確かめ方
よく目安として挙がる割増率は、次のとおりです。
| 材料 | 割増の目安 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 鉄筋 | +4%前後 | 公共建築数量積算基準・自社の実績 |
| 鋼管 | +5% | 公共建築数量積算基準・自社の実績 |
| 木材 | +5% | 自社の実績・大工の意見 |
公共工事の数量は、国土交通省の公共建築数量積算基準に率が決められている項目があります。使う前に、最新版を国土交通省のWebサイトで確かめてください。
民間工事では、会社ごと・職人ごとの実績で率が違います。自社の率は、過去の工事の発注量と設計数量を比べて出せます。設計数量100mに対して108m発注していたなら、108÷100−1=0.08で、割増率は8%です。似た工事を数件比べ、ばらつきが大きい材料は職人に理由を聞いて率を決めます。
定尺・梱包単位への切り上げ
割増を掛けた数量は、最後に定尺の本数や梱包の単位に切り上げます。
巾木を4m材で買う場合、割増なしなら11.94÷4=2.985で、3本で足りそうに見えます。ところが例の部屋の壁は、3.64mが2面、2.73mが2面です。3.64mの壁に4m材を1本ずつ使うと、端材は0.36mずつしか残りません。2.73mの壁にも1本使うと、残る1.93m(2.73−0.8)を端材3本でつなぐ計算になります。継ぎ目だらけになり、切り口の分で足りなくなりやすいです。
割増込みで計算すると、12.537÷4=3.13…で、切り上げて4本です。この1本の差が、現場で「足りない」と電話が来るかどうかの差になります。
ボード・クロス・塗料のように、枚・巾・缶で切り上げる材料は、部位別の記事で計算例を確かめてください。定尺の長さや1ケースの入り数は製品ごとに違うため、カタログか仕入先の単位で確かめてから切り上げます。
拾い漏れ・二重計上を防ぐチェックリスト
拾い漏れと二重計上は、拾った直後と集計後の2回に分けて確かめると防げます。拾い漏れは原価を圧迫し、拾いすぎは見積額が上がって失注につながるため、どちらの方向の誤りも探します。
1回目は、1部屋・1工種を拾い終えた直後に行います。図面にマーカーの塗り残しがないかだけを見る、短い確認です。2回目は全部を集計したあとに、合計と単位を表で見直します。疲れた夜に一度で全部を見ようとすると、見落としが増えます。2回に分ければ、1回あたりの確認は数分で済みます。
見直しを別の人に頼めない場合は、翌朝の自分に頼みます。翌朝は計算をやり直さず、図面のマーカーの塗り残しだけを端から見てください。前の晩に見えなかった記号や開口が、意外と目に入ります。
漏れやすい場所と間違えやすい計算
拾い漏れや二重計上が起きやすいのは、次の4つです。
- 図面に描かれないもの:特記仕様書だけに書かれた材料、別途工事との境界、下地補強のような見えない部材
- 控除と計上の重なり:開口の控除を壁と建具の両方でしてしまう二重控除。逆に、2つの部屋の境の壁を両方の部屋で拾う二重計上
- 平面図だけでは寸法が分かりにくい所:階段、吹抜け、収納の中、天井の下がり壁。展開図や矩計図で高さを確かめます
- 単位と桁:mとmmの取り違え、㎡と坪の換算の誤り、小数点の位置のずれ
二重控除は気づきにくい誤りです。たとえば壁クロスで開口3.36㎡を引き、さらに建具工事でも「壁の開口分」として何かを引くと、同じ開口を2回引くことになります。控除は、どの工種で引いたかを集計表に書いておきます。
集計前と提出前に見る項目の一覧
集計前と提出前は、次の表を上から順に確かめます。
| 確認項目 | 見る場所 | よくある間違い |
|---|---|---|
| 図面に塗り残しはないか | 図面のマーカー | 収納の中や小さな記号の拾い忘れ |
| 部屋数が合っているか | 仕上表と集計表 | トイレや廊下を1室ぶん落とす |
| 器具の数が合っているか | 設備図と器具表 | 記号の数と器具表の数が違う |
| 開口を引いたか、引いていないか | 集計表の計算式 | 二重控除、控除のし忘れ |
| 割増を掛けたか | 集計表の割増率の列 | 掛け忘れ、二重の割増 |
| 単位が合っているか | 見積書と発注先の単位 | ㎡で拾い、枚に直していない |
| 桁が大きく違う項目はないか | 前回の似た工事の数量 | mmのまま掛けた1,000倍の誤り |
最後の行は、前回の数字と比べるだけの確認です。6畳の洋室の壁クロスが270㎡になっていれば、桁の誤りにすぐ気づけます。過去の集計表を工事ごとに残しておくと、この比較が楽になります。
工種ごとの拾い方の違いと、部位別の計算記事
拾い出しの4段階は、どの工種でも同じです。ただし工種によって、拾う単位と割増の考え方が違います。内装は面積から枚数へ、屋根・外壁・足場は伸び率や掛け面積へ、鉄筋は重さへと直していきます。
全体の手順はこの記事で押さえてください。部位ごとの細かい計算は、コラム一覧の各記事で確かめる流れが効率的です。全部を一度に覚える必要はありません。自分がよく担当する工種を1つ選び、その計算記事で例の数字を手で計算してみてください。1つの工種で拾い方が身に付くと、ほかの工種でも同じ考え方が使えます。
内装は面積から枚数・本数・巾数へ
内装は、面積を拾ってから材料の単位に直します。
- 石膏ボード:壁・天井の面積から、ボード1枚の面積で割って枚数を出します
- 軽天(LGS):スタッドの間隔と壁の長さから本数を出し、ランナーは長さで拾います
- クロス:壁の高さと巾から必要な巾数を出し、メーター数に直します
例の部屋の壁27.22㎡・天井9.94㎡は、そのまま部位別の記事の計算に使えます。コラムの「石膏ボードの枚数の出し方」「軽天(LGS)の拾い出し」「クロスの必要メーター数の出し方」で、同じ数字から枚数やメーター数へ進めてください。
屋根・外壁・板金・足場は伸び率と掛け面積
屋根は、平面図の面積に勾配の伸び率を掛けて実面積を出します。4寸勾配の伸び率は約1.077なので、平面100㎡なら約107.7㎡です。
足場は、建物の外周に離れを足した長さと、足場の高さを掛けて掛け面積を出します。長方形の建物で四方に同じ離れを取るなら、外周に離れ×8を足した長さです。離れの寸法は、会社や足場の種類によって異なります。
詳しくは、コラムの「屋根の伸び率早見表」「塗装面積の計算手順」「足場の数量計算」「役物の展開幅の出し方」で確かめてください。
鉄筋・型枠・電気設備は重さ・接する面積・延長と台数
- 鉄筋:径ごとに長さを拾い、単位長さあたりの重さを掛けてkgやtにします。D13なら1mあたり約0.995kgで、1,000m拾えば約995kgです
- 型枠:コンクリートが接する面の面積を拾います。打設する量(㎥)とは別に数えます
- 電気設備:配線・配管の延長(m)と器具の台数を分けて拾い、器具表と照らし合わせます
詳しい拾い方は、図面の描き方や会社の基準で異なります。公共工事では、公共建築数量積算基準の決まりを確かめてから拾ってください。
拾った数量を見積書に写し直す二度手間を減らす
拾った数量を見積書に写し直す二度手間は、拾い出しと見積りを同じ明細で続けて作れば減らせます。Excelの集計表から見積書へ数字を写すとき、写し間違いや行の抜けが起きやすいからです。
夜の作業が延びる原因は、転記だけではありません。同じ材料の単価を、毎回過去の見積書や仕入先の請求書から探していると、それだけで時間がかかります。拾った数量を原価で積み上げ、そのまま見積りに変えられる仕組みがあれば、転記も単価の探し直しも要らなくなります。その方法の1つとして、SITE BOARD(サイトボード)の「積算」の使い方を紹介します。
サイトボードの「積算」に原価で入れて、見積り(下書き)に変える
SITE BOARD では、サイドバー「施工管理」>「積算」で「+ 新規作成」を押して積算を作ります。

上の画面のとおり、まず「案件」を選びます。案件を選ばないと保存できません。諸経費率は初期値が10%です。
明細には、名称・規格・費目・数量・単位・単価(原価)を入れます。費目は「材料費」「労務費」「外注費」「経費」から選びます。金額は数量×単価で自動計算されます。例の部屋なら、見出し行に「内装工事」、明細行に「壁クロス 27.22㎡」「巾木 11.94m」と入れ、最後に小計行を置きます。見出し行と小計行で、工種ごとにまとめられます。
明細の下では、直接工事費に諸経費を足した「積算合計(工事原価)」を確かめます。新規作成は「登録する」、直したあとは「更新する」で保存してください。見積りに引き継がれるのは保存済みの内容です。

保存したら、編集画面上部の「利率」を入れて「見積り(下書き)を作成」を押します。提出単価は原価×(1+利率)で作られ、原価1,000円・利率20%なら1,200円です。積算の状況は自動で「見積作成」になります。ただし小計行は見積りに引き継がれないため、必要なら見積り側で入れ直します。
積算から見積りを作成する手順|案件登録で拾い出しの二度手間をなくす
拾い出しはエクセル、見積書は別ソフトで二度手間になっていませんか。SITE BOARD(サイトボード)で案件を登録し、積算から見積りを作成して見積書のPDFを出すまでの操作を、画面の順番どおりに説明します。資材費マスタの使い方も。
記事を読む
「資材費マスタ」で単価を使い回す
単価を毎回探さないために、サイドバー「マスタ」>「資材費」に、資材名・規格・単位・仕入単価・提出単価を登録しておきます。

登録しておくと、積算の名称欄に入力したときに「資材」の候補が出ます。選ぶと、マスタの仕入単価が原価単価として入ります。
仕入先の品名と社内の呼び方が違う資材には、「項目名」を書いておきます。資材名が「構造用合板 12mm」でも、項目名に「コンパネ 12mm」とあれば、その呼び方で候補に出ます。仕入れは個数で積算は㎡のように、単位が違う資材は「単位を換えた単価」も登録できます。登録の詳しい手順は、コラムの「資材費マスタの登録手順」を見てください。
原価が見える画面なので、見せる相手を決めておく
積算と資材費マスタは、仕入単価がそのまま見える画面です。権限を配る相手は、原価を見せてよい人に限ってください。
権限は「設定」>「ユーザー管理」で配ります。権限のひな形「事務・経理」は、この理由で「積算」を外した状態になっています。使えるプランや料金は、料金プランで確かめてください。
図面からのAI拾い出し(積算のAI)で任せてよいところ
図面からのAI拾い出しは、数量の下書きを早く作るための道具です。数量の確認と割増の判断は人が行います。
SITE BOARD(サイトボード)では、C+AIプランで、積算一覧右上の「図面からAI拾い出し」から使えます。この記事の手順を覚えておくと、AIの結果のどこを見ればよいかが分かります。AIの出した数字も、面積・長さ・個数の考え方で確かめられるからです。
AIが数量を出す3つの方法と「根拠」の欄
図面(PDF・JPG・PNG、10個まで)を選び、必要なら「拾い出しの指示(任意)」に工事の目的やほしい項目を書きます。

この画面で「ファイルを確かめる」を押すと、AIが図面かどうかや縮尺などを確かめます。「読み取りを始める前の確認」で気をつけることを見てから、「この内容で読み取りを始める」を押します。細かい図面ほど時間がかかり、数分〜10分ほどかかる場合があります。
AIの数量の出し方は3つで、手で拾うときと同じ考え方です。
| 出し方 | 手で拾うときに当たる作業 | 根拠の欄の例 |
|---|---|---|
| 書いてある数・記号を数える | 個数の拾い | 凡例の記号を数えた数 |
| 寸法を掛け算・足し算する | 面積・長さの拾い | 「3640×2730の部屋(計算: 3.64×2.73)」 |
| 縮尺で図面上を測る | 配線・配管の実測 | 「縮尺1/100で実測」 |
計算した数量の根拠には、計算式が付きます。計算はAIではなくシステムが行うので、掛け算の間違いは入りません。縮尺も寸法も分からず測れない数量は、推測で埋めずに空欄のまま残ります。確認画面で自分で入れてください。
確認画面で「案件」を選び、取り込まない行は「取込」のチェックを外します。「この内容で積算(下書き)を作成」を押すと、「下書き」の積算ができます。単価(原価)はそのあとで入れます。
AIの結果で人が必ず確かめること
AIの結果は、次の4点を人が確かめてから使います。
- 縮尺と寸法:縮尺が正しく読まれているか、寸法の書いてある線の数字と測った数量が合うか
- 図面の記号に出ない材料:特記仕様書だけに書かれた材料や分担の境界は、記号から拾えない場合があるので自分で足します
- 割増と切り上げ:割増を掛けるか、定尺に切り上げるかは自社の決まりで判断し、数量を直します
- まとめ方と単位:直したいときは「AIで調整する」に指示を書き、「この指示でAIに調整させる」を押します
「AIで調整する」は図面を読み直さず、最初の結果をもとに直します。図面を見ないと分からない数量、たとえば新しい部位の寸法は出せません。その場合は図面から拾い直してください。
明日から試すなら、1部屋を手で拾って時間を測る
まず手元の図面の1部屋を、この記事の集計表の書式で拾ってみてください。面積・長さ・個数に分け、計算式と拾った図面の場所まで書きます。
そのときに、拾い出しにかかった時間と、見積書への転記にかかった時間を分けて記録します。たとえば拾い出しに40分、転記と単価探しに20分なら、減らすべきは後半だと分かります。拾い出しにかかる時間は図面の量と慣れで大きく変わるため、ほかの人の目安より自分の記録を基準にしてください。
記録してみて転記の手間を減らしたいと感じたら、無料で使い始めるから、積算と見積りの流れを1件だけ試せます。同じ部屋の数量を入れ、見積り(下書き)ができるまでの時間を、手で写したときと比べてみてください。
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