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役物を折っている途中でコイルが足りなくなり、材料屋さんへ走ったことはありませんか。逆に、多めに頼んだコイルの残りが置き場にたまっていくのも困りものです。役物の展開幅が分かれば、914mm幅のコイルから何本取れるか、何mのコイルを何本頼めば足りるかまで、注文の前に数えられます。水切り・唐草・雨押えの例で、夜の拾い出しでも電卓で追える順に並べました。
役物の展開幅とは
役物の展開幅は、鋼板を折り曲げる前の、平らな板の幅です。「展開寸法」と呼ぶこともあります。
板金役物は、コイルや定尺板から細長い帯を切り出し、折り曲げ機で折って作ります。この帯の幅が展開幅です。展開幅が決まらないと、材料を何m用意すればよいかも決まりません。拾い出しは、役物ごとの展開幅・長さ・本数をそろえるところから始めます。
役物の展開幅の出し方
断面の図に書いた各辺の寸法(折り寸法)を、片方の端からもう片方の端まで足します。
水切りの例
上の端から、斜めの返し・立ち上がり・水平の辺・斜めに下がる辺・先端の辺の順に、折り寸法が書かれた水切りです。
| 辺 | 折り寸法 |
|---|---|
| 上端の返し(斜め) | 10mm |
| 立ち上がり | 50mm |
| 水平の辺 | 50mm |
| 斜めに下がる辺 | 10mm |
| 先端の辺 | 10mm |
| 展開幅 | 130mm |
10+50+50+10+10=130mm で、展開幅は130mmです。図に「W=130」「L=2700」「4本」と書いておくと、材料を拾うときに読み違えにくくなります。
足し忘れやすい辺
- ハゼや折り返し(ヘミング)の辺も1辺として足します。図の上で線が重なっていても、板の幅は使います
- 左右の端の短い返しも足します
- 同じ形の役物でも、現場によって辺の寸法が変わります。役物ごとに図を描き、寸法を書いておきます
板厚による伸び縮み
折り曲げた所では、板厚の分だけ寸法がずれることがあります。薄い鋼板では小さな差ですが、「曲げ1か所につき何mm引く」といった会社や職人の決まりがあれば、その決まりで足し引きした展開幅を使ってください。
コイルから何本取れるか(取り数)

展開幅が分かったら、コイルの幅から横に何本取れるか(取り数)を出します。
- 取り数 = コイルの使える幅 ÷ 展開幅(小数点以下は切り捨て)
- 余りの幅 = コイルの使える幅 − 展開幅 × 取り数
914mm幅のコイルから展開幅130mmの水切りなら、914 ÷ 130 = 7.03 なので7本取りで、幅は4mm余ります。
| 展開幅 | 914mm幅 | 1,000mm幅 | 1,219mm幅 |
|---|---|---|---|
| 100mm | 9本(余り14mm) | 10本(余り0mm) | 12本(余り19mm) |
| 130mm | 7本(余り4mm) | 7本(余り90mm) | 9本(余り49mm) |
| 200mm | 4本(余り114mm) | 5本(余り0mm) | 6本(余り19mm) |
ガルバリウム鋼板の標準の幅は、JIS G 3321・G 3322 で 762・914・1,000・1,219mm(コイルは610mmも)です。規格は日本規格協会のJIS G 3321のページで確かめられます。コイルの端(耳)を切りそろえてから割く場合は、落とす幅を引いた「使える幅」で割ってください。
水切り・唐草・ケラバなどの展開幅・長さ・本数を入れると、板取りと注文するコイルの本数まで自動で計算できます。役物の図を撮ると、SITE BOARD(サイトボード)の会員はAIに寸法を読み取らせることもできます。
役物の板取り・コイル計算
水切り・唐草・ケラバなどの役物の展開幅・長さ・本数から、コイルからの板取り、何mのコイルを何本注文すればよいか、鋼板の重さまで自動で計算。ガルバリウム鋼板・銅板・ステンレスに対応し、手書きの役物の図はAIが読み取ります。
ツールを使う
何mのコイルを何本注文すればよいか
長さや展開幅の違う役物をまとめて作るときは、次の順に数えると材料のむだが減ります。
1. 1回に切り出す長さを決める(板取り)
長い役物から順に、コイルの幅いっぱいに並べます。1回に切り出す長さは、その中でいちばん長い役物の長さです。短い役物は、先に割いた列の残りの長さにも入れられます。
914mm幅のガルバリウム鋼板のコイルで、次の3種類を作る例です。
| 役物 | 展開幅 | 長さ | 本数 |
|---|---|---|---|
| 水切り | 130mm | 2,700mm | 4本 |
| 唐草 | 100mm | 3,000mm | 12本 |
| 雨押え | 200mm | 1,820mm | 10本 |
長い順に並べると、切り出しは次の5回です。
| 取り方 | 1回の長さ | 回数 | 並べ方 |
|---|---|---|---|
| A | 3,000mm | 1回 | 唐草100mm×9列(余りの幅14mm) |
| B | 3,000mm | 1回 | 唐草100mm×3列と水切り130mm×4列(余りの幅94mm。水切りの列は300mmずつ余る) |
| C | 1,820mm | 2回 | 雨押え200mm×4列(余りの幅114mm) |
| D | 1,820mm | 1回 | 雨押え200mm×2列(余りの幅514mm) |
2. 必要なコイルの長さを出す
1回に切り出す長さを全部足すと、必要なコイルの長さです。この例では 3,000mm×2回+1,820mm×3回 = 11.46m。このうち役物になる面積は8.64㎡で、使うコイルの面積(11.46m×0.914m=10.47㎡)の82.5%です。残りの17.5%は端材になります。
3. コイルの長さごとに本数を数える
1回に切り出す長さは、2本のコイルにまたがって取れません。なので「必要な長さ÷コイルの長さ」の切り上げでは足りないことがあります。長い取り方から順に、入るコイルに入れて数えます。
| 注文するコイル | 合計の長さ | 余り | 入れ方 |
|---|---|---|---|
| 20m×1本 | 20m | 8.54m | 1本にA・B・C×2・Dをすべて |
| 10m×2本 | 20m | 8.54m | 1本目にA・B・C×2(9.64m)、2本目にD(1.82m) |
| 30m×1本 | 30m | 18.54m | 1本にすべて |
同じ20mでも、20m×1本と10m×2本では、置き場所や運びやすさ、残りの使い道が変わります。お店で注文できる長さを並べて選んでください。長さを指定して切ってもらえるお店なら、0.1m単位で切り上げた11.5mで頼む方法もあります。
切断の失敗や巻き始め・巻き終わりの傷みに備えて、予備(ロス)を見ることもあります。何%見るかは会社や現場の決まりによります。予備を見るときは、必要な長さに割合を足した長さで、コイルの本数を数え直してください。
鋼板の重さもあわせて確かめる
荷揚げや運搬の段取りには重さも要ります。重さは「面積×単位質量(1㎡あたりの重さ)」です。ガルバリウム鋼板0.35mm(めっき付着量AZ150)の単位質量は2.948kg/㎡で、JIS G 3321・G 3322 の計算方法で出した値です。日鉄鋼板の単位質量表にも同じ値が載っています。
- 上の例の役物は8.64㎡なので、8.64×2.948=約25.5kgです
- 914mm幅のコイルは1mあたり 2.948×0.914=約2.69kg。20mのコイル1本は、1mあたりの重さを丸めずに 2.948×0.914×20=約53.9kg です
JISの手順では、1mあたりを2.69kgに丸めてから掛け、kgの整数に丸めるので、2.69×20=53.8→約54kgです。差はわずかなので、段取りにはどちらを使ってもかまいません。塗膜の重さは含みません。計算の手順はガルバリウム鋼板の重さの記事にまとめています。
無料ツールでまとめて計算する
役物の板取り・コイル計算
水切り・唐草・ケラバなどの役物の展開幅・長さ・本数から、コイルからの板取り、何mのコイルを何本注文すればよいか、鋼板の重さまで自動で計算。ガルバリウム鋼板・銅板・ステンレスに対応し、手書きの役物の図はAIが読み取ります。
ツールを使う
役物の種類が多いと、板取りやコイルの本数を手で数えるのは手間です。SITE BOARD(サイトボード)の無料ツール「役物の板取り・コイル計算」は、役物ごとの展開幅・長さ・本数を入れて使います。板材・板厚・コイルの幅と、お店で注文できるコイルの長さを選ぶと、次の内容が出ます。
- 展開幅ごとの取り数と、コイルから切り出す板取り図
- 必要なコイルの長さと、何mのコイルを何本頼めばよいか(いくつかの注文のしかた)
- 役物と注文するコイルの重さ
注文できる長さを10m・20m・30mにして(最初から選ばれている50mは外して)上の例を入れると、この記事と同じ11.46mと3つの注文のしかた(20mのコイルなら約53.9kg)が出ます。ガルバリウム鋼板のほか、銅板・ステンレスも選べます。SITE BOARD の会員は役物の図を撮ってAIに寸法を読み取らせることもでき、権限「積算」がある方は選んだ注文のしかたで積算に取り込めます。屋根の面積や役物の長さは「屋根材の数量計算」で出せます。ほかのツールは無料ツールの一覧にあります。
よくある質問
914mm幅と1,219mm幅は、どちらを選べばよいですか?
取り数と余りの幅で比べます。展開幅130mmなら、914mm幅は7本取りで余り4mm、1,219mm幅は9本取りで余り49mmです。コイルの幅に対する余りは、914mm幅が約0.4%、1,219mm幅が約4%で、914mm幅のほうが端材が少なくなります。折り曲げ機の長さや置き場所、手配しやすさもあわせて考えてください。
定尺板(914×1,829mmなど)でも同じ考え方で数えられますか?
数えられます。板の長さを「1本のコイルの長さ」と考え、1回に切り出す長さが板に入るかで枚数を数えます。板より長い役物は、その板からは取れません。
短い役物は、コイルの幅の向きに取ってもよいですか?
役物の長さがコイルの幅より短ければ、幅の向きに取ることもできます。取り方が変わるので、長さの向きをそろえて数えたときより、必要なコイルの長さが短くなることがあります。
注文の前に確かめること
- 役物の図に、ハゼや返しまで全部の辺の寸法が入っているか
- 耳を落とすなら、使える幅で取り数を出したか
- 1回に切り出す長さが、2本のコイルにまたがっていないか
- お店で注文できるコイルの長さと、切り売りの単位を確かめたか
- 荷揚げに使う重さを、コイル1本ずつで出したか
計算した数量は概算です。発注の前に、現場の実測とお店の取り扱いを確かめてください。