目次
- 屋根の伸び率の基本(早見表1寸〜10寸)
- 寸勾配と角度・%・屋根の伸び率の対応表
- 陸屋根・緩い勾配は屋根の伸び率をほぼ1として扱える
- 隅棟の伸び率は2通りの表し方がある
- 水平投影面積と実面積の違い・図面での拾い方
- 屋根の伸び率の計算はどうする?表に無い勾配の出し方
- 寸勾配と角度・分数の読み替え
- 係数を掛けてよいのは流れ方向だけ
- 垂木の長さは(棟までの水平長+軒の出)×伸び率
- 屋根の勾配は何寸が多い?屋根材ごとの確かめ方
- 図面がないとき屋根の勾配はどう調べる?
- ①勾配計・スマホの傾斜計で測る
- ②水平器とメジャーで立ち上がりを測る
- ③妻側の外壁・破風の写真から比を出す
- 屋根面積の計算は形ごとにどうする?
- 寄棟でも「全体の投影面積×伸び率」でよい理由
- 軒の出・けらばの出と、軒天・破風の拾い方
- 例題:寄棟11,200×8,200mm・4寸を最後まで拾う
- 屋根の伸び率を掛け忘れるとどうなる?
- 屋根の伸び率の計算を無料ツールで確かめる
- 開発者から見たポイント
- 明日の拾い出しの前に確かめる6つのこと
- よくある質問
- 伸び率と勾配係数は同じ?
- 勾配係数は屋根のどこに掛ける?
- 一般的な住宅の屋根は何寸で、伸び率はいくつ?
- 伸び率1.1は何寸相当?
- 隅棟伸び率は何に掛ける?
- 陸屋根の伸び率はいくつ?
- 屋根の伸び率の計算に関数電卓は要る?
- 寸勾配と角度はどう換算する?
- 4/12勾配は何寸?
- 外壁塗装の屋根面積にも伸び率を掛ける?
- まとめ
屋根の伸び率(勾配係数)とは、図面の水平投影面積に掛けて実際の屋根面積を出す係数で、3寸1.044・4寸1.077・5寸1.118・6寸1.166です。この記事では、屋根の伸び率の早見表(%・分数・隅棟伸び率つき)、表に無い勾配での屋根の伸び率の計算、寸勾配と角度の換算、形ごとの屋根面積の計算、図面がないときの勾配の調べ方を、寄棟の例題で示します。屋根工事・板金・塗装の見積りで、屋根面積の計算をする方に向けた記事です。
屋根の伸び率の基本(早見表1寸〜10寸)
屋根の伸び率は、勾配のある屋根面の長さが水平長の何倍になるかを表す係数です。勾配係数を屋根の水平投影面積に掛ければ、屋根面積の計算は次の1行で済みます。
実面積(㎡)= 水平投影面積(㎡)× 屋根の伸び率(勾配係数)
図面から拾えるのは、真上から見た水平投影面積です。屋根は傾いている分だけ面が長くなるので、勾配に応じた屋根の伸び率を掛けて実面積に直します。現場では「伸び率」「勾配係数」「のび」とも呼びます。勾配係数を屋根の伸び率と呼ぶこともあり、呼び方が違うだけで同じ値です。
住宅でよく使う屋根の伸び率は、次の5つです。
- 3寸 = 1.044
- 4寸 = 1.077
- 4.5寸 = 1.097
- 5寸 = 1.118
- 6寸 = 1.166
0.5寸刻みの勾配で屋根の伸び率を計算するときは、上下の係数の平均で出さないでください。4寸(1.077)と5寸(1.118)の平均は1.0975ですが、4.5寸の正しい係数は1.0966です。差は投影100㎡で0.09㎡ほどですが、次の章の屋根の伸び率の計算式なら一度で正しい値が出ます。
屋根の伸び率は、小数第3位まで使えば見積りには十分です。1.08に丸めると、屋根面積の計算で投影100㎡あたり0.3㎡ほど多くなります。屋根の伸び率の計算では、勾配係数は小数第3位、屋根面積は最後に小数第2位で丸めると扱いやすくなります。

寸勾配と角度・%・屋根の伸び率の対応表
寸勾配と角度、%・分数、屋根の伸び率を1つの表で引けます。緩い勾配と0.5寸刻みも載せています。隅棟伸び率は、平面上の流れの水平長に掛けて隅棟の実長を出す係数です。
| 寸勾配 | 分数(○/10) | % | 角度(度) | 伸び率(勾配係数) | 隅棟伸び率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1/100(0.1寸) | 0.1/10 | 1% | 約0.57 | 1.00005 | 1.414 |
| 1/50(0.2寸) | 0.2/10 | 2% | 約1.15 | 1.0002 | 1.414 |
| 0.5寸(1/20) | 0.5/10 | 5% | 約2.86 | 1.001 | 1.415 |
| 1寸 | 1/10 | 10% | 約5.71 | 1.005 | 1.418 |
| 2寸 | 2/10 | 20% | 約11.31 | 1.020 | 1.428 |
| 2.5寸 | 2.5/10 | 25% | 約14.04 | 1.031 | 1.436 |
| 3寸 | 3/10 | 30% | 約16.70 | 1.044 | 1.446 |
| 3.5寸 | 3.5/10 | 35% | 約19.29 | 1.059 | 1.457 |
| 4寸 | 4/10 | 40% | 約21.80 | 1.077 | 1.470 |
| 4.5寸 | 4.5/10 | 45% | 約24.23 | 1.097 | 1.484 |
| 5寸 | 5/10 | 50% | 約26.57 | 1.118 | 1.500 |
| 5.5寸 | 5.5/10 | 55% | 約28.81 | 1.141 | 1.517 |
| 6寸 | 6/10 | 60% | 約30.96 | 1.166 | 1.536 |
| 6.5寸 | 6.5/10 | 65% | 約33.02 | 1.193 | 1.556 |
| 7寸 | 7/10 | 70% | 約34.99 | 1.221 | 1.578 |
| 7.5寸 | 7.5/10 | 75% | 約36.87 | 1.250 | 1.601 |
| 8寸 | 8/10 | 80% | 約38.66 | 1.281 | 1.625 |
| 9寸 | 9/10 | 90% | 約41.99 | 1.345 | 1.676 |
| 10寸 | 10/10 | 100% | 45.00 | 1.414 | 1.732 |
出典: SITE BOARD(サイトボード)編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。伸び率=√(1+(勾配÷10)²)、隅棟伸び率=√(2+(勾配÷10)²)、角度=tan⁻¹(勾配÷10))
10寸は水平10に対して垂直10、45度の「矩(かね)勾配」です。直角二等辺三角形の斜辺なので、屋根の伸び率はちょうど√2=1.414になります。住宅で10寸を超えることはまれなので、屋根の伸び率は1.0〜1.414に収まると覚えておくと検算に使えます。急勾配の屋根では、足場や墜落制止用器具の使い方が作業の前提になります。安全の基準は厚生労働省の情報で確かめてください。
陸屋根・緩い勾配は屋根の伸び率をほぼ1として扱える
陸屋根や1/50・1/100の水勾配では、屋根の伸び率は1.0002・1.00005で、ほぼ1として扱えます。勾配係数を屋根面積の計算に掛けても、投影100㎡で差は0.02㎡以下です。防水の面積は、パラペットなどの立上りを別に拾って足してください。
隅棟の伸び率は2通りの表し方がある
隅棟伸び率は、資料によって掛ける相手が違います。値が違って見えても、出てくる長さは同じです。
| 表し方 | 式 | 4寸の値 | 掛ける相手 |
|---|---|---|---|
| 従来の隅棟伸び率 | √(2+(勾配÷10)²) | 1.470 | 流れの水平長 |
| 対角線に掛ける係数 | √(1+(勾配÷10)²÷2) | 1.039 | 水平投影上の対角線 |
後で出てくる寄棟の例題(流れの水平長4.1m・4寸)で検算します。
- 流れの水平長に掛ける:4.1 × 1.470 = 6.03m
- 対角線に掛ける:4.1 × 1.414 = 5.80m、5.80 × 1.039 = 6.03m
ほかの資料で1.47と1.039を見かけたら、掛ける相手を確かめてください。断面図や矩計図に勾配なりの寸法があれば、計算値よりそちらを優先します。
水平投影面積と実面積の違い・図面での拾い方
水平投影面積は屋根を真上から見たときの面積、実面積は勾配なりに傾いた屋根面そのものの面積です。真上から日が当たったときの影の面積と考えると分かりやすくなります。この2つの差を埋めるのが屋根の伸び率です。
図面では、次の場所から拾えます。
- 屋根伏図:屋根を真上から見た図で、軒先の位置まで寸法が入っていることが多く、いちばん拾いやすい図面です
- 平面図・配置図:外壁の通り芯と、軒の出の寸法が入っています
- 建築確認申請の求積図:建築面積は、軒やひさしの出が一定以上あると先端から後退した線で算定するので、屋根の拾いにそのまま使えないことがあります。算定の決まりはe-Gov法令検索で建築基準法施行令の本文を確かめてください
気をつけたいのは、屋根伏図に勾配なりの実寸法が書かれている場合です。この寸法に屋根の伸び率を掛けると二重になり、4寸で7.7%多く拾います。棟から軒先までの寸法が、平面図の同じ位置の寸法と一致すれば投影、少し長ければ勾配なりです。
もう1つは、軒の出とけらばの出です。屋根材は軒先まで葺くので、投影面積は先端まで含めて取ります。外壁芯で屋根面積の計算をすると、この記事の例(外壁芯10×7m・軒とけらばの出600mm)では約24%足りません。差は建物の大きさと軒の出で変わり、外壁芯15×10mで出450mmなら約13%です。
屋根の伸び率の計算はどうする?表に無い勾配の出し方
早見表に無い勾配でも、屋根の伸び率の計算は次の式ですぐできます。
屋根の伸び率 = √(1 + (勾配 ÷ 10)²)
「勾配」には寸勾配の数字をそのまま入れます。寸勾配は、水平に10進んだときに垂直に何寸上がるかを表します。4寸なら水平1,000mmに対して垂直400mmで、寸でもmmでも比は同じです。屋根の伸び率の計算は、底辺1・高さ0.4の直角三角形の斜辺を、三平方の定理で出しているだけです。
4寸勾配で、屋根の伸び率の計算を一般的な電卓で行う手順です。
0.4×0.4=と押す → 0.16+1=と押す → 1.16√を押す → 1.0770329…
小数第3位までで1.077です。7.5寸なら 0.75×0.75=0.5625、+1=1.5625、√ で1.250ちょうど。2.5寸なら同じ屋根の伸び率の計算で1.0308、つまり1.031です。
角度が分かっている場合、勾配係数は屋根の角度から 1 ÷ cos(角度) で出せます。21.8度なら cos が0.92849で、1÷0.92849=1.0770。意匠図に角度しか書かれていないときは、この方法で屋根の伸び率を計算します。
寸勾配と角度・分数の読み替え
同じ勾配が、図面によって寸勾配と角度・分数など違う書き方になることがあります。
| 表記 | 読み方 | 寸勾配に直すと |
|---|---|---|
| 4/10、4:10 | 水平10に対し垂直4 | 4寸 |
| 40% | 勾配の比を百分率にしたもの | 4寸 |
| 10% | 勾配の比を百分率にしたもの | 1寸 |
| 4寸5分 | 4.5寸のこと | 4.5寸 |
| 4/12 | 水平12に対し垂直4 | 約3.33寸 |
| 1/12 | 水平12に対し垂直1 | 約0.83寸 |
| 1/20 | 水平20に対し垂直1 | 0.5寸 |
分母が12の行に注意してください。海外メーカーやアスファルトシングルの資料では、分母が12の表記が使われることがあります。4/12を4寸と読むと、屋根の伸び率が1.077と1.054でずれ、面積が2%ほど違います。分母が10でないときは 4÷12×10 で寸勾配に直してから、屋根の伸び率を計算します。
寸勾配と角度の換算は、tan(角度)× 10 = 寸勾配 です。30度なら tan30°=0.5774、×10で約5.8寸です。寸勾配から角度に戻すときは、tan⁻¹(寸勾配÷10)で出します。寸勾配と角度の組み合わせは、上の早見表でも引けます。
係数を掛けてよいのは流れ方向だけ
勾配係数を屋根に掛けるのは、流れ方向(軒先から棟へ向かう方向)の長さだけです。桁行方向(棟と平行な方向)は傾いていないので掛けません。
投影で流れ4.0m、桁行10.0m、4寸勾配の屋根面なら次のとおりです。
- 流れ方向の実長:4.0 × 1.077 = 4.31m
- 桁行方向の長さ:10.0m のまま
- 面積:4.31 × 10.0 = 約43.1㎡(投影40㎡ × 1.077 = 43.08㎡と同じ)
桁行にも屋根の伸び率を掛けると46.4㎡になり、7.7%多く拾ってしまいます。隅棟や谷の長さには、面の勾配係数を屋根の役物にそのまま使えません。隅棟は前の章の隅棟伸び率で出します。
屋根面積の計算が怪しいと感じたら、実面積 ÷ 投影面積 を出します。1.0〜1.42を外れていたら、どこかで掛け違えています。1.0未満なら係数で割った、1.42超なら二重に掛けた可能性が高いです。
垂木の長さは(棟までの水平長+軒の出)×伸び率
垂木の長さは、外壁芯から棟までの水平長に軒の出を足し、屋根の伸び率を掛けて出します。例題の寄棟なら、棟まで3.5m+軒の出0.6m=4.1mで、4.1 × 1.077 = 4.42mです。継手や切り代は、この長さとは別に足してください。
屋根の勾配は何寸が多い?屋根材ごとの確かめ方
住宅の屋根では3〜5寸の勾配が多く、屋根の伸び率は1.044〜1.118です。最低勾配は製品・下葺材・流れの長さ・積雪で変わるため、製品名で施工説明書を確かめてから屋根の伸び率の計算に進みます。スレート屋根の勾配を調べている場合も、製品名から施工説明書を引くのが確実です。
図面がないとき屋根の勾配はどう調べる?
図面がないときは、屋根面の角度か、水平と立ち上がりの比を測って寸勾配に直します。屋根に上る作業は墜落の危険があるので、安全の基準を守り、はしごや地上から測れる方法を優先してください。
①勾配計・スマホの傾斜計で測る
- 勾配計やスマホの傾斜計を、屋根面か破風に沿わせて角度を読む
- tan(角度)× 10 で寸勾配に戻す(21.8度なら4寸。寸勾配と角度は早見表でも引けます)
- 早見表で屋根の伸び率を引く
②水平器とメジャーで立ち上がりを測る
- 水平器の一端を屋根面に当て、水平に保つ
- 当てた点から水平100mmの位置で、屋根面までの高さを測る
- 高さ(mm)÷ 10 = 寸勾配(40mmなら4寸)
③妻側の外壁・破風の写真から比を出す
- 妻側をなるべく正面から撮る
- 写真の上で、破風の水平方向の長さと高さを測る
- 高さ ÷ 水平の長さ × 10 = 寸勾配
写真は斜めから撮るとずれるので、①か②の値で確かめると安心です。寸勾配が分かれば、あとは早見表か式で屋根の伸び率を計算するだけです。屋根材から見当をつけるときは、前の章の屋根材ごとの確かめ方も参考にしてください。
屋根面積の計算は形ごとにどうする?
勾配が1つなら、屋根の形が変わっても屋根面積の計算は「投影面積 × 屋根の伸び率」で同じです。
片流れは1面だけです。桁行10.0m、投影の流れ5.0m、4寸なら 10.0 × 5.0 × 1.077 = 53.85㎡。流れを実長5.385mに直してから桁行を掛けても同じです。
切妻は同じ勾配の2面なので、勾配係数を屋根全体の投影面積に1回掛ければ済みます。軒先まで10.0×8.0mの切妻で4寸なら、80㎡ × 1.077 = 86.16㎡です。
入母屋・招き屋根・段違い屋根は、面ごとに勾配が違うことがあります。その場合は勾配ごとに投影面積を分け、それぞれに屋根の伸び率を掛けてから足します。
屋根面積の計算で足し忘れが多いのは、下屋・庇・ドーマーです。1間×2間(1,820×3,640mm)の下屋なら投影6.62㎡、3寸勾配で実面積約6.92㎡(6.6248×1.044)。屋根伏図に色を塗りながら1つずつ消し込むと、漏れが減ります。
寄棟でも「全体の投影面積×伸び率」でよい理由
寄棟の4面は台形と三角形ですが、真上から見ると4面の投影が建物の輪郭(長方形)にぴったり収まります。各面の実面積は「その面の投影面積×勾配係数」で、勾配係数は屋根の全面で共通です。なので合計も「全体の投影面積×屋根の伸び率」になります。

ただし、この近道が使えるのは屋根面積の計算だけです。隅棟の長さは、隅棟伸び率で別に出します。
勾配の違う面が混ざる屋根では、面ごとの投影寸法・勾配・係数・実面積をメモに残してください。元請や施主に数量の根拠を聞かれても、屋根の伸び率の計算をやり直さずに答えられます。
軒の出・けらばの出と、軒天・破風の拾い方
外壁芯10,000×7,000mm(70.00㎡)で、軒の出・けらばの出がともに600mmの場合です。
- 屋根の投影:(10,000 + 600×2)×(7,000 + 600×2)= 11,200 × 8,200mm = 91.84㎡
- 4寸の実面積:91.84 × 1.077 = 98.91㎡
- 外壁芯だけで拾うと:70.00 × 1.077 = 75.39㎡(23.52㎡、約24%足りない)
軒天・破風・鼻隠しは、屋根面積とは別に拾います。
| 部材 | 拾い方 | 伸び率 |
|---|---|---|
| 破風板 | けらばの長さ(m) | 流れ方向なので掛ける |
| 鼻隠し | 軒先の長さ(m) | 桁行方向なので掛けない |
| 軒天 | 面積(㎡)。下の説明を参照 | 軒の下は水平なので掛けない。ケラバの下は屋根なりに傾くことが多く、その分は掛ける |
軒天の面積は「先端まで広げた屋根の投影面積 − 外壁芯で囲んだ面積」で、この例では91.84 − 70.00 = **21.84㎡**です。屋根材を葺く範囲は、軒樋を吊る一般的な納まりなら軒先水切りの先端まで、パラペットや軒ゼロの納まりなら外壁の外面までです。
例題:寄棟11,200×8,200mm・4寸を最後まで拾う
上の寸法で、4面とも4寸の寄棟を、屋根面積の計算から隅棟まで通して拾います。
- 投影面積:11.2 × 8.2 = 91.84㎡
- 実面積:91.84 × 1.077 = 98.91㎡
- 面ごとの内訳:台形2面(軒11.2m・棟3.0m・流れの投影4.1m)は投影 (11.2+3.0)÷2×4.1 = 29.11㎡、実面積31.35㎡ずつ。三角形2面(軒8.2m・流れの投影4.1m)は投影 8.2×4.1÷2 = 16.81㎡、実面積18.10㎡ずつ。投影を足すと91.84㎡で、1と一致します
- 棟の長さ:11.2 − 8.2 = 3.0m(水平)
- 隅棟:4.1 × 1.470 = 6.03m(対角線5.80m × 1.039でも同じ)。4本で約24.1m
- 軒先の長さ:(11.2 + 8.2)× 2 = 38.8m
| 拾う項目 | 数量 | 伸び率を掛けるか |
|---|---|---|
| 屋根材・ルーフィング・野地 | 98.91㎡ | 掛ける(1.077) |
| 棟包み | 3.0m | 掛けない(水平) |
| 隅棟包み | 24.1m | 掛ける(流れの水平長4.1m×隅棟伸び率1.470、または対角線5.80m×1.039) |
| 軒先水切り・鼻隠し | 38.8m | 掛けない(水平) |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算)
寄棟にはけらばが無いので、ケラバ水切りと破風板は0です。同じ建物が切妻なら、けらばが流れ方向に4本出るので、破風板には屋根の伸び率を掛けます。
屋根の伸び率を掛け忘れるとどうなる?
屋根の伸び率を掛け忘れると、4寸の屋根で必要量の約7%の材料が足りなくなります。投影100㎡なら、必要な107.7㎡に対して100㎡分しか頼まず、7.7㎡足りません。追加の手配と職人の手待ちが出ます。
勾配が変わると、屋根面積の計算もやり直しです。例題の寄棟(投影91.84㎡)は、勾配と屋根の伸び率だけで実面積が次のように変わります。
| 勾配 | 実面積 | 4寸との差 |
|---|---|---|
| 3寸 | 95.88㎡ | −3.03㎡ |
| 4寸 | 98.91㎡ | — |
| 5寸 | 102.68㎡ | +3.77㎡ |
| 6寸 | 107.09㎡ | +8.18㎡ |
出典: SITE BOARD 編集部 調べ(2026年10月、本文の式で計算。投影91.84㎡×各勾配の伸び率)
屋根材の枚数や役物の数え方は、役物の展開幅とコイルの取り数の記事で説明しています。
屋根の伸び率の計算を無料ツールで確かめる
屋根材の数量計算
屋根の形をイラストから選び、図の記号の寸法と勾配を入れるだけで、屋根面積、屋根材の枚数・本数、ルーフィングの巻数、棟・隅棟・谷などの役物の長さと貫板の本数を自動で計算。複合屋根(L字・T字・コの字)・棟違い・下屋にも対応し、割付図つきで、施工の決まりごとはAIが読み取ります。
ツールを使う
SITE BOARD の公開ページにある無料ツールです。屋根の形と寸法・勾配を入れると、屋根の伸び率・水平投影・屋根面積がその場で表示され、割付図と屋根材の枚数も出ます。登録なしで使えます。数量は概算なので、現場の実測とメーカーの施工説明書で確かめてから発注や見積りに使ってください。
開発者から見たポイント
「屋根材の数量計算」を作るときに重視したのは、屋根の伸び率を正しい相手にだけ掛けることと、出し方を後から説明できることです。
- 伸び率は面と流れ方向にだけ掛け、隅棟・谷は勾配なりの実長を別に出す:共通の勾配係数を屋根の役物にまで掛けると、棟や軒先が多く出て、隅棟は合わなくなるためです
- 屋根の伸び率・水平投影・屋根面積を並べて表示する:実面積÷投影面積が1.0〜1.42に収まっているかを、その場で検算できるようにしました。掛け忘れと二重掛けの両方に気づけます
- 割付図を出し、一律のロス率に頼らない:葺き方や屋根の形で切り落としが変わるため、割付図で数字を見せるようにしました
- 数量の出し方を残す:屋根の伸び率まで含めた出し方が残るので、担当者が替わっても拾い直さずに説明できます
明日の拾い出しの前に確かめる6つのこと
係数そのものより、掛ける相手を間違えるほうが材料の過不足につながります。屋根面積の計算を始める前に、次の6つを順に見てください。
- 図面の寸法は水平投影か、勾配なりか:流れ方向の寸法を平面図と見比べます。勾配なりの寸法に屋根の伸び率を掛けると、4寸で7.7%、6寸で16.6%多くなります
- 勾配の表記を寸勾配に直したか:角度・%・4/12などは、寸勾配と角度の換算や読み替え表で寸勾配にしてから屋根の伸び率を計算します
- 勾配が面ごとに違わないか:1面でも違えば、勾配ごとに投影面積を分けます
- 軒の出・けらばの出・下屋・庇を拾ったか:外壁芯で拾うと、例題では約24%足りません
- 実面積 ÷ 投影面積が1.0〜1.42に収まるか:外れたら、割ったか二重に掛けた可能性があります
- 隅棟伸び率の掛ける相手は合っているか:流れの水平長なら1.470(4寸)、対角線なら1.039です
よくある質問
伸び率と勾配係数は同じ?
同じものです。勾配係数も屋根の伸び率も、水平投影の長さや面積に掛けて勾配なりの値に直す係数で、4寸なら1.077です。隅棟に使う隅棟伸び率だけは別の値になります。
勾配係数は屋根のどこに掛ける?
勾配係数は、屋根の水平投影面積と流れ方向の長さに掛けます。桁行方向の長さ・棟・軒先には掛けません。
一般的な住宅の屋根は何寸で、伸び率はいくつ?
住宅の屋根は3〜5寸が多く、屋根の伸び率は3寸1.044・4寸1.077・5寸1.118です。使える勾配は屋根材ごとに違うので、メーカーの施工説明書で最低勾配を確かめてください。
伸び率1.1は何寸相当?
屋根の伸び率1.1は、約4.6寸に相当します。例題の投影91.84㎡に1.1を掛けると101.02㎡で、3寸の屋根(95.88㎡)なら約5%多く、6寸の屋根(107.09㎡)なら約6%少なく出ます。概算には使えますが、勾配が分かれば早見表の値を使ってください。
隅棟伸び率は何に掛ける?
従来の隅棟伸び率(4寸で1.470)は、流れの水平長に掛けます。対角線に掛ける係数(4寸で1.039)と表し方が違うだけで、出てくる隅棟の長さは同じです。
陸屋根の伸び率はいくつ?
陸屋根の伸び率は、1/50の水勾配で1.0002、1/100で1.00005で、ほぼ1です。防水の面積は、立上りを別に拾って足します。
屋根の伸び率の計算に関数電卓は要る?
要りません。√キーのある一般的な電卓で、勾配÷10を2乗して1を足し、√を押せば屋根の伸び率の計算ができます。
寸勾配と角度はどう換算する?
寸勾配と角度は、tan(角度)×10で寸勾配に、tan⁻¹(寸勾配÷10)で角度になります。4寸なら約21.8度です。
4/12勾配は何寸?
4/12勾配は約3.33寸で、屋根の伸び率は1.054です。4÷12×10で寸勾配に直してから係数を出します。
外壁塗装の屋根面積にも伸び率を掛ける?
掛けます。塗る面は傾いた屋根面そのものなので、水平投影面積に屋根の伸び率を掛けた実面積で拾います。図面に勾配なりの寸法が書かれているときは、二重に掛けないよう注意してください。
まとめ
屋根の伸び率は、水平投影面積と流れ方向の長さにだけ掛けます。4寸1.077・5寸1.118を控えておけば、屋根面積の計算をすぐ検算できます。表に無い勾配は√(1+(勾配÷10)²)で屋根の伸び率を計算し、角度で書かれた勾配は寸勾配と角度の換算で直します。隅棟は隅棟伸び率で、軒の出や下屋は別に拾ってください。
条件が何度も変わる屋根は、SITE BOARD の無料ツール「屋根材の数量計算」で、屋根の伸び率から屋根材の枚数までをまとめて確かめられます。SITE BOARD は無料で使い始めることができるので、次の屋根の見積りで試してみてください。