目次
- 建設業の日報は「10項目を事実と数字で」書けば足ります
- 日報に書く10項目と記入例の一覧表
- 監督が朝に書く項目、作業員が夕方に書く項目
- 作業日報は義務か、どれくらい保管すればよいか
- 安全と労務の記録として残しておきたい項目
- 保管期間の考え方
- 項目ごとの書き方:作業内容・人数・天候・使用材料・翌日予定
- 作業内容と進捗は「場所・作業・数量」で書く
- 人数・作業時間・天候の書き方と人工の計算例
- 使用材料・搬入・残材と翌日予定の書き方
- 工種別の作業日報の記入例(内装・設備・足場)
- 内装工事の記入例(軽天・石膏ボード)
- 設備工事の記入例(給排水配管)
- 足場工事の記入例(雨で途中中止した日)
- 悪い例と良い例:作業員に書き直しを頼むときの基準
- 同じ日の日報を悪い例と良い例で並べる
- ヒヤリハットと連絡事項は事実で書く
- 書式は基本型・時系列型・簡易型から選ぶ
- 紙・LINE・Excelで集めた日報のまとめ直しに時間がかかる理由
- 1日の流れで見る:送信→確認→転記→集計
- 紙・LINE・Excel・アプリの比較表
- アプリにしなくても今日からできる手間の減らし方
- 日報アプリで現場から送ってもらう流れ(SITE BOARDの例)
- 監督は工程表の「日報」タブで予定を先に書いておく
- 作業員は作業員アプリから実績を追記する
- 事務所は「日報」一覧で絞り込み、案件ごとに確かめる
- 明日の現場から日報をそろえるためにやること
夕方、現場からLINEで届いた日報が「ボード張り。順調」だけで、どの部屋を何枚張ったのか電話で聞き直したことはありませんか。建設業の日報の書き方は、書く項目と記入例を先に決めておけば、作業員も監督も迷わなくなります。ここでは内装・設備・足場の記入例をそのまま使える形で載せます。あわせて、紙やLINEで届いた日報を毎晩・毎朝まとめ直す手間の減らし方まで、順に説明します。
建設業の日報は「10項目を事実と数字で」書けば足ります
建設業の日報は、次の10項目を、感想ではなく「場所」と「数量」で書けば足ります。項目を増やすより、1つずつの中身を具体的にするほうが、読む側の手間は減ります。
- 日付
- 現場名(階・部屋まで)
- 天候
- 作業内容と進捗
- 人数
- 作業時間
- 使用材料
- 機械
- 安全とヒヤリハット
- 翌日予定
「ボード張り。順調」で電話が必要になるのは、どこで・どれだけ進んだかが抜けているからです。「2階LDK 北面・東面 石膏ボード24枚張り、北面完了・東面7割」とあれば、監督は電話をかけずに翌日の人数と材料を決められます。
この記事を読み終えると、次の3つができるようになります。
- 記入例をコピーし、現場名だけ書き換えて作業員に渡せる
- 「数量・場所・翌日に要るもの」の3点で、書き直しを頼む基準ができる
- 紙やLINEで届いた日報を、夜や翌朝にまとめ直す時間を減らす手順が分かる
日報に書く10項目と記入例の一覧表
10項目の書く内容と記入例を、次の表にまとめました。記入例は、後の節で使う内装工事の例(山田様邸 2階LDK、4名)にそろえています。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 | 誰が書くか |
|---|---|---|---|
| 日付 | 年月日と曜日 | ◯月◯日(◯) | 監督(朝) |
| 現場名 | 現場名と階・部屋 | 山田様邸 2階LDK | 監督(朝) |
| 天候 | 天気、変わった時刻、気温 | 晴れ、最高気温31℃ | 監督が朝に予報、作業員が実際に直す |
| 作業内容と進捗 | 場所・作業・数量・結果 | 北面・東面 石膏ボード12.5mm(3×6)24枚張り、北面完了・東面7割 | 作業員 |
| 人数 | 合計と内訳 | 4名(自社2・協力会社2) | 作業員 |
| 作業時間 | 開始・終了・休憩の時刻 | 8:00〜17:00、休憩12:00〜13:00 | 作業員 |
| 使用材料 | 品名・規格・数量・残り | 石膏ボード12.5mm 3×6 24枚使用、残り8枚 | 作業員 |
| 機械 | 使った機械・工具と台数 | 丸ノコ1台、インパクトドライバー4台 | 作業員 |
| 安全とヒヤリハット | 朝の注意と、起きかけたこと | 脚立上でインパクトを落としかけ、落下防止コードを付けた | 朝は監督、夕方は作業員 |
| 翌日予定 | 作業・場所・人数・必要な物 | 東面の残りとジョイント処理、3名、ビス1箱追加 | 作業員(監督が確認) |
項目を書くか迷ったときは、「翌日にこの日報を読んだ人が、電話をせずに分かるか」で判断してください。分からない項目は書き足し、誰も読まない項目は省いてかまいません。
監督が朝に書く項目、作業員が夕方に書く項目
日報は1人で全部書くより、監督と作業員で半分ずつ書くほうが漏れが減ります。分け方は次のとおりです。
- 監督(管理者)が朝の段取りで先に書く:日付、現場名、予定作業、安全上の注意、搬入予定
- 作業員(職長)が作業終了前に書く:実際の作業内容と数量、人数、作業時間、使った材料、ヒヤリハット、翌日に必要なもの
たとえば監督が朝7時半に、次のように書いておきます。
山田様邸 2階LDK/予定:北面・東面 石膏ボード張り/注意:脚立の天板に乗らない/搬入:石膏ボード12.5mm 3×6 32枚 8:30着
夕方、作業員は「24枚張り、北面完了・東面7割、残り8枚、4名、明日3名・ビス1箱追加」を足すだけで済みます。現場名や日付の書き忘れがなくなり、「どの現場の日報か分からない」という確認も起きにくくなります。
書く時刻は、作業終了の15〜30分前に決めておきます。17時に終わる現場なら、16時30分から16時45分の間です。片付けが終わってからだと、車に乗って忘れてしまい、帰宅後や翌朝に回りがちです。手が止まる片付け前の数分を日報の時間として、朝礼で伝えておくと定着しやすくなります。

作業日報は義務か、どれくらい保管すればよいか
作業日報の作成そのものを、すべての建設会社に一律で義務づけた法令上の様式はありません。多くの会社は、自社で決めた書式で日報を付けています。
ただし、日報は後から「その日、誰が、どこで、何をしていたか」を説明する材料になります。安全・労務・技術者の配置について元請や行政から確認を受けたとき、日報に書いてあれば説明が早く済みます。書いていないと、記憶や別の書類をたどって答えることになり、その日の作業が止まります。
法令の条文や保存期間の細部は、改正されることがあります。自社に当てはまる決まりは、国土交通省や厚生労働省の公式情報で確かめてください。元請から日報の様式や提出を指定されている現場では、その指定に合わせます。
安全と労務の記録として残しておきたい項目
日報に書いておくと、後で困らない項目は次のとおりです。
- 労働時間と休憩の時刻:「8:00〜17:00、休憩12:00〜13:00」のように時刻で書きます。残業した人がいれば「うち1名18:30まで」と足します。
- 危険を伴う作業に就いた人:高所作業や重機作業は、作業名と担当者の名前を書きます。資格が要る作業では、資格を持つ人が就いた記録にもなります。
- 元請が下請の作業員にした安全の指示:労働安全衛生法第29条は、元方事業者(元請)が関係請負人とその作業員に、法令違反がないよう指導や指示をすることを定めています。日報には、指示の内容と相手を書きます。例は「8:10 元請◯◯より協力会社△△の職長へ、2階開口部の手すりを外さないよう指示」です。
- 主任技術者・監理技術者がいたか:その日に現場にいた時間を書きます。CCUS(建設キャリアアップシステム)のカードリーダーで就業履歴を付けている現場では、タッチした人数と日報の人数が合っているかも見ます。差があれば、その日のうちに確認しておくと楽です。
- 産業廃棄物の搬出量と搬出先:「石膏ボード端材 2t車1台、◯◯処理場へ」のように書きます。後でマニフェスト(産業廃棄物管理票)と数量を照らし合わせるときに使えます。
保管期間の考え方
日報の保管期間を5年とする説明はよく見かけます。その根拠は、建設業法で帳簿の保存期間が決められていることです。ただし、日報そのものがその帳簿の対象になるかは、会社の状況によって異なります。工事の種類によって期間の扱いが違う場合もあるため、細かい点は国土交通省の公式情報で確認してください。
迷う場合は、帳簿や工事の記録と同じ期間を社内ルールとして決めておく方法があります。期間がそろっていれば、捨ててよいかどうかで毎年悩まずに済みます。
保管では、あとで探し出す手間まで考えます。
- 紙:現場ごと・月ごとに綴じ、背表紙に「現場名・年月」を書きます。
- データ:案件と月で探せる形で残します。ファイル名なら「年月_現場名_日報」のように順番を決めます。
- LINEで届いた写真:トークに置いたままにせず、月末に案件ごとのフォルダへ移します。
項目ごとの書き方:作業内容・人数・天候・使用材料・翌日予定
日報のどの項目も、「場所・作業・数量・結果」の順で書くと読む人が迷いません。順番が毎日同じなら、読む側は目で追う位置が決まり、確認が速くなります。
作業の記録では5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)がよく挙げられます。ただ、現場の日報で6つ全部を書こうとすると長くなり、続きません。日付は欄にあるので、毎日書くのは「どこで・何を・どれだけ・誰が」の4つで足ります。「なぜ」「どのように」は、予定と違うことが起きた日だけ連絡事項に書きます。
作業内容と進捗は「場所・作業・数量」で書く
作業内容は、場所・作業・数量の順に書きます。
| 記入例 | |
|---|---|
| 悪い書き方 | ボード張り |
| 良い書き方 | 2階LDK 北面・東面 石膏ボード12.5mm(3×6)24枚張り、北面完了・東面7割 |
進捗は「完了」「◯割」「残り◯枚」のように、翌日の段取りに使える形で書きます。「だいたい終わった」では、翌日に何人呼べばよいか決まりません。
複数日にまたがる作業は、毎日の分を書きます。そのうえで、作業を始める日に全体量も書いておきます。たとえばボード張りの初日に「北面・東面 計28枚の予定」と書いておけば、その日に24枚張った時点で残りが4枚と分かります(28−24=4)。
人数・作業時間・天候の書き方と人工の計算例
人数は「4名(自社2・協力会社2)」のように内訳まで書きます。途中で帰った人がいれば「うち1名12時まで」と足してください。合計だけだと、半日の人がいたことが後から分かりません。
作業時間は「8:00〜17:00、休憩12:00〜13:00」と時刻で書きます。「8時間」とだけ書くと、残業や遅い開始が読み取れません。
天候は「晴れのち雨(14時〜)、最高気温31℃」のように、変わった時刻まで書きます。雨天中止や熱中症対策の判断をした記録になります。暑さ指数(WBGT)を測っている現場は、その値も書いておくと判断の根拠が残ります。
日報の人数は、人工(にんく:1人が1日働いた量)の集計に使えます。次は仮の数字で、山田様邸の内装工事5日間の例です。
| 日 | 主な作業 | 人数 |
|---|---|---|
| 1日目 | 天井・壁の軽天下地 | 3名 |
| 2日目 | 軽天下地の続き | 4名 |
| 3日目 | 南面の軽天、北面・東面のボード張り24枚 | 4名 |
| 4日目 | 東面のボード残り、ジョイント処理 | 3名 |
| 5日目 | ジョイント仕上げ、清掃 | 2名 |
5日間の人数を足すと延べ16人工です。検算すると、3+4=7、7+4=11、11+3=14、14+2=16となります。
仮に見積りで18人工を予定していたなら、2人工少なく済んだことになります(18−16=2)。日報の人数を案件ごとに残しておけば、次に似た広さの内装を見積るときの根拠になります。見積書の内訳の組み方は、次の記事で詳しく説明しています。
内装工事の見積書の内訳|石膏ボード・軽天・クロスの㎡単価と記入例
石膏ボード・軽天・クロスの拾い出し数量を、内装工事の見積書の内訳にどう書くかを6帖の記入例で解説。枚数や本数を㎡単価に直す計算、材工共と材工分離の書き分け、ロスと諸経費の載せ方、毎回Excelで組み直さない単価の持ち方まで分かります。
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使用材料・搬入・残材と翌日予定の書き方
使用材料は、品名・規格・数量の順で書き、残りも添えます。例は「石膏ボード12.5mm 3×6 24枚使用、残り8枚」です。残りが書いてあれば、事務所は追加発注が要るかを現場に聞かずに判断できます。
搬入があった日は、届いた材料と時刻、不足や破損を書きます。
8:30 石膏ボード12.5mm 3×6 32枚着、破損なし。ビスは未着、明日朝までに1箱必要
この一文があれば、発注担当はそのまま追加手配に動けます。32枚届いて24枚使い、8枚残った計算も合っています(24+8=32)。
翌日予定は「作業・場所・人数・必要な材料や機械」の4つで書きます。例は「明日 東面の残りとジョイント処理、3名、ビス1箱追加」です。
翌日予定が抜けていると、監督は夜8時を過ぎてから現場ごとに「明日何人?」「材料足りてる?」と電話をかけることになります。3現場を見ている監督なら、それだけで3本です。日報に4つが書いてあれば、電話は予定と違う現場の分だけで済みます。
工種別の作業日報の記入例(内装・設備・足場)
工務店・リフォーム会社・専門工事業でよくある内装・設備・足場の3工種で、作業日報の記入例を示します。どの例も同じ10項目の順に並べ、必要な日だけ連絡事項を足しています。自社の現場名と数字に書き換えれば、そのまま作業員に渡せます。
内装工事の記入例(軽天・石膏ボード)
内装の例は、山田様邸の5日間のうち3日目(4名)の日報です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日付 | ◯月◯日(◯) |
| 現場名 | 山田様邸 2階LDK |
| 天候 | 晴れ、最高気温31℃ |
| 作業内容と進捗 | 南面 軽天スタッド建込み完了/北面・東面 石膏ボード12.5mm(3×6)24枚張り、北面完了・東面7割(残り4枚) |
| 人数 | 4名(自社2・協力会社2) |
| 作業時間 | 8:00〜17:00、休憩12:00〜13:00 |
| 使用材料 | 石膏ボード12.5mm 3×6 24枚使用、残り8枚/ビス残り少 |
| 機械 | 丸ノコ1台、インパクトドライバー4台、可搬式作業台2台 |
| 安全とヒヤリハット | 14時頃、北面上部で脚立上からインパクトドライバーを落としかけた。落下防止コードを付けて再開 |
| 翌日予定 | 東面の残りとジョイント処理、3名、ビス1箱追加 |
| 連絡事項 | 北面コンセント位置が図面と10cm違うため施主確認待ち。監督が明日中に施主へ確認 |
連絡事項は、誰の判断を待っているかを書くのがコツです。「コンセント位置ずれ」だけだと、誰が動くのか決まらず、翌日もそのままになります。
設備工事の記入例(給排水配管)
設備の例は、1階の浴室・洗面の給水・給湯配管をした日です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日付 | ◯月◯日(◯) |
| 現場名 | 佐藤様邸 1階浴室・洗面 |
| 天候 | 曇り、最高気温26℃ |
| 作業内容と進捗 | 浴室・洗面の給水・給湯配管(ヘッダーから浴室水栓・洗面水栓まで)完了。給水・給湯の水圧試験を実施、漏れなし |
| 人数 | 2名(自社2) |
| 作業時間 | 8:30〜17:00、休憩12:00〜13:00 |
| 使用材料 | 架橋ポリエチレン管13A 給水12m・給湯10m、継手 計14個 |
| 機械 | 水圧テストポンプ1台 |
| 安全とヒヤリハット | 床下点検口の縁でつまずきかけた。開口部の周りにコーンを置いた |
| 翌日予定 | 浴室・洗面の排水配管、2名、排水用継手の追加分を朝に搬入 |
| 連絡事項 | 大工さんへ:床下点検口は洗面所側で確定。床張りは明日の排水配管が終わってからお願いします |
水圧試験をした日は、実施した事実と結果を日報に書きます。試験圧力や保持時間は、試験記録に別に残し、日報と照合できるようにしておきます。日報の1行に数字を詰め込むと、書き間違えたときにどちらが正しいか分からなくなるためです。
他業者との取り合いは、相手と順番を書きます。床張りと配管の順番が日報に残っていれば、大工さんが先に床を張ってしまう手戻りを防ぎやすくなります。
足場工事の記入例(雨で途中中止した日)
足場の例は、くさび式足場を組んでいて、14時からの雨で中止した日です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日付 | ◯月◯日(◯) |
| 現場名 | 鈴木様邸 外壁塗装工事の足場 |
| 天候 | 曇りのち雨(14時〜)、最高気温24℃ |
| 作業内容と進捗 | くさび式足場組立。南面完了、東面は約半分。14:00 雨のため中止 |
| 人数 | 5名(自社3・協力会社2) |
| 作業時間 | 8:00〜14:30(14:00中止、片付けと養生30分)、休憩12:00〜13:00 |
| 使用材料 | 残りの部材は敷地東側にまとめてシート掛け |
| 機械 | 2tトラック1台 |
| 安全とヒヤリハット | 組み途中の東面に立入禁止の表示とコーン、昇降口にバーを設置 |
| 翌日予定 | 天候次第で西面組立、5名。朝7時に雨が残っていれば元請へ連絡して判断 |
| 連絡事項 | 元請◯◯様へ:東面の組立が半日遅れ。残りの完了見込みは◯日 |
中止した日は、中止の時刻・理由・どこまで組んだか・養生や立入禁止の措置の4つをそろえます。翌日予定は「天候次第で」と条件付きで書いて構いません。この表の内容は、元請への報告にもそのまま使えます。
悪い例と良い例:作業員に書き直しを頼むときの基準
作業員に日報の書き直しを頼むときは、「数量」「場所」「翌日に要るもの」の3点だけを指摘すれば足ります。全部を細かく直させると、作業員は次から日報を出すこと自体を面倒に感じます。頼む側の監督も、3点だけ見ればよいなら確認は1現場1分ほどで終わります。
書式の型を現場の忙しさに合わせて選べば、長文を求めずに済みます。型の選び方は、この節の最後で説明します。
同じ日の日報を悪い例と良い例で並べる
山田様邸 2階LDKの同じ日を、悪い例と良い例で並べます。
| 項目 | 悪い例 | 良い例 |
|---|---|---|
| 作業内容 | ボード張り。順調 | 北面・東面 石膏ボード24枚張り、北面完了・東面7割 |
| 人数 | 4人 | 4名(自社2・協力会社2) |
| 材料 | (なし) | ボード残り8枚、ビス残り少 |
| 翌日予定 | 明日も同じ | 東面残りとジョイント処理、3名、ビス1箱追加 |
悪い例を読んだ監督は、「どの面まで張った?」「材料は足りる?」「明日何人?」と3つ電話で聞くことになります。「順調」「頑張った」のような感想は、後から誰も判断に使えません。順調かどうかは、数量と予定を比べれば読む側が分かります。
良い例も、長さは5〜6行で済みます。
山田様邸 2階LDK/晴れ 最高31℃/8:00〜17:00(休憩12〜13) 北面・東面 石膏ボード12.5mm(3×6)24枚張り。北面完了、東面7割(残り4枚) 4名(自社2・協力会社2) ボード残り8枚、ビス残り少 ヒヤリ:脚立上でインパクトを落としかけ、落下防止コードを付けた 明日:東面残り+ジョイント処理、3名、ビス1箱追加
ヒヤリハットと連絡事項は事実で書く
ヒヤリハットは「いつ・どこで・何が起きかけたか・その場でした対策」の順で書きます。例は「14時頃、北面上部の脚立上でインパクトドライバーを落としかけた。落下防止コードを付けた」です。
「◯◯さんが不注意だった」のように、誰かを責める書き方はしません。責められると、次から書かれなくなります。翌朝の朝礼で「昨日こういうことがあったので、コードを付けてから上がりましょう」と話せる形で書くのがよい書き方です。
連絡事項は「誰に・何を・いつまでに」を書きます。
- 悪い例:コンセント位置違う
- 良い例:監督へ。北面コンセント位置が図面と10cm違う。明日昼までに施主確認をお願いします
宛先のない連絡は、誰も動かないまま残りがちです。宛先を書くだけで、読んだ人が自分の仕事だと分かります。
書式は基本型・時系列型・簡易型から選ぶ
日報の書式は、現場に合わせて次の3つの型から選びます。
| 型 | 書き方 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| 基本型 | 10項目を欄で埋める | 元請への提出や記録が多い現場 |
| 時系列型 | 8:00〜17:00を時刻ごとに書く | 作業が入れ替わる日、待ち時間を残したい日 |
| 簡易型 | 箇条書きで5行程度 | 小規模リフォームで、毎日同じ職人が入る現場 |
時系列型は、たとえば「10:00〜11:30 材料待ち」のように待ち時間が残るため、手待ちの多い現場の改善に使えます。
会社で1つの型に決めなくても困りません。現場ごとに型を決めておけば、集める側はその現場の型で読めばよいだけです。迷ったら簡易型から始め、元請から求められたら基本型に広げるやり方が続けやすいです。
紙・LINE・Excelで集めた日報のまとめ直しに時間がかかる理由
日報で時間がかかるのは、書く作業よりも、届いたあとの確認・聞き直し・転記・集計です。作業員が書くのは1日数分でも、集める側は現場の数だけ確認し、同じ内容を打ち直しています。
ここでは、紙を写真に撮ってLINEで送る運用を例に、どこで時間がかかるかを1日の流れで見ます。そのあとで、今の運用のままできる工夫と、仕組みを変える場合の比較を分けて説明します。
1日の流れで見る:送信→確認→転記→集計
紙とLINEで日報を集める会社の1日は、次のように進むことが多いです。
- 17時過ぎ(送信):作業員が紙の日報を写真に撮るか、短い文でLINEに送ります。トークが現場ごと・人ごとに分かれ、監督はどれがどの現場の分かを探します。
- 夜(確認):監督が日報を読み、人数や翌日予定が抜けている作業員に個別に聞き直します。
- 翌朝(転記):事務がLINEの写真を見ながらExcelへ打ち直します。読めない字や人数の抜けがあると、また現場に電話します。
- 月末(集計):事務がExcelの人数を足して人工を出し、出面や請求の根拠と照らし合わせます。
紙からLINE、LINEからExcelへと、転記した回数だけ間違いの入り口があります。時間がかかる場所をまとめると、次の3つです。
- どの現場の日報か分からない
- 数字が抜けている
- 同じ内容を2回打つ

紙・LINE・Excel・アプリの比較表
日報を集める方法ごとの違いは、次のとおりです。
| 方法 | 書く手間 | 集める手間 | 集計のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 紙 | 少ない。現場で書きやすい | 多い。回収と打ち直しが要る | 低い。打ち直してから集計 |
| LINE | 少ない。送るのは早い | 多い。形式がばらばらで探しにくい | 低い。写真や文を拾い直す |
| Excel | 中くらい。スマホでは打ちにくい | 中くらい。最新版のファイルが分からなくなる | 高い。ただし同時に書けない |
| アプリ | 少ない。スマホで書ける | 少ない。現場と事務所が同じ1枚を見る | 高い。転記が要らない |
どれが合うかは、現場数と作業員の人数で変わります。目安として、同時に動く現場が1〜2か所で作業員が5人前後なら、LINEの定型文でも回ることが多いです。同時に3か所以上が動く、協力会社の職人が入れ替わる、月末の人工集計に半日かかっている、のどれかに当てはまるなら、集める場所を1つにすることを検討する時期です。
アプリにしなくても今日からできる手間の減らし方
今の紙やLINEの運用を変えずに、次の工夫から始められます。
定型文を作って毎回コピーしてもらう
現場名: 天候: 作業と数量: 人数(内訳): 材料(使用・残り): 翌日予定(作業・人数・必要な物):
この定型文をLINEグループのノートに保存しておき、作業員にはコピーして空欄を埋めてもらいます。項目が決まっているので、数字の抜けが目で見て分かります。
1現場1グループにして、トーク名を現場名にする
「山田様邸 内装」のようにトーク名を現場名にすると、どの現場の日報かを探す手間がなくなります。現場が終わったら、グループを残したまま名前の頭に「済」を付けると、進行中の現場と区別できます。
送る時刻を決め、届いていない現場だけ声をかける
作業終了の15〜30分前を送る時刻にします。監督は17時に届いていない現場だけに連絡すれば済みます。
ただし、ここまで工夫しても、事務がExcelへ打ち直す手間と月末の集計は残ります。書く場所と集める場所が別々である限り、この2つは減りません。減らすには、現場が書いたものを事務所がそのまま見られる形にする必要があります。
日報アプリで現場から送ってもらう流れ(SITE BOARDの例)
日報アプリを使うと、現場が書いた日報を事務所がそのまま見られるため、紙やLINEからの転記が要らなくなります。ここではSITE BOARD(サイトボード)を例に、作業員が現場から送り、監督が確認し、事務が集める流れを説明します。
SITE BOARDの日報は、工程ごとに1日1枚で、「作業内容」「人数(現場の合計)」「備考」と経費(名目・金額・メモ)を書く形です。事務所の「日報」ページ、工程表の「日報」タブ、作業員アプリの「日報」は、どれも同じ1枚を読み書きします。
上の図のとおり、どこから開いても同じ日報なので、写し替える作業がありません。
天候・使用材料・翌日予定には専用の欄がありません。そのため、社内で書き方を決めておきます。
- 「作業内容」の1行目に天候、2行目以降に作業と数量・人数の内訳・作業時間・使用材料・ヒヤリハット
- 「人数(現場の合計)」に合計の人数(例:4)
- 「備考」に翌日予定と連絡事項
日報はBプラン以上の機能で、ユーザーごとに「日報」の権限が要ります。プランの内容と料金は料金プランで確かめてください。
監督は工程表の「日報」タブで予定を先に書いておく
監督は、朝の段取りのときに工程表から日報の前半を書いておきます。
- サイドバー「施工管理」>「工程表」で、その日の工程バーを押します。
- 開いた編集画面で「日報」タブを押します。
- 「日付」を確かめます(はじめは今日)。
- 「作業内容」に、予定作業と安全上の注意、搬入予定を書きます。
- 「日報を登録する」を押します。
その日の日報がまだないときは「この日の日報は未作成(保存で作成されます)」と表示され、登録すると新しく作られます。すでにある日は「保存する」で上書きします。

この画面の下には「この工程の日報」として、その工程の日報が新しい順に並びます。日付を切り替えれば前の日の日報も見返せるため、昨日の翌日予定を確かめてから今日の予定を書けます。「監督が朝に書く項目」をここに書いておくと、作業員は実績を足すだけになります。
作業員は作業員アプリから実績を追記する
作業員は、作業員アプリの「工程」でその日の工程を開き、「日報」を選びます。事務所が先に書いた内容が表示され、その続きを書く形になります。
書く内容は、記入例と同じです。作業内容と数量、「人数(現場の合計)」、備考に翌日予定を書きます。高速代などの経費があれば、名目・金額・メモを足してください。人数の欄は合計の数字1つなので、「自社2・協力会社2」の内訳は作業内容の中に書きます。
同じ工程・同じ日の日報は1枚だけです。監督と作業員が別々に書いて2枚になり、内容が食い違うことは起きません。アプリで保存した日報は、事務所の「日報」ページと工程の「日報」タブにすぐ表示されます。17時過ぎにLINEのトークを探す代わりに、事務所の一覧を見れば届いたかどうかが分かります。
事務所は「日報」一覧で絞り込み、案件ごとに確かめる
事務所では、サイドバー「施工管理」>「日報」で一覧を開きます。「年」「月」「案件で絞り込み」「登録者」を選ぶと、一覧がすぐに切り替わります。

一覧の登録者の名前の左には、パソコンかスマホの絵が付きます。パソコンは事務所の画面で書いた人、スマホは作業員アプリで書いた作業員です。作業員が実績を足したかどうかを、ここで見分けられます。
案件の画面の「日報・経費」タブでは、案件ごとの日報と経費の合計、名目ごとの内訳を見られます。人数は延べ人工として数えられ、金額にはなりません。山田様邸の5日間に3・4・4・3・2と入れておけば、手で足し算をしなくても延べ人工として数えられます。
人件費は、日報ではなく出勤表から案件に入ります。サイドバー「経理管理」>「出勤」で、現場名の欄の右端の「+」を押し、その日の工程から選んだ出勤が案件の人件費に入る仕組みです。手で打った現場名は人件費に入りません。

この画面のように、午前と午後で別の現場に行った日は複数の工程を選べます。日報は「何をしたか」、出勤は「誰がどの現場に出たか」と役割を分けて考えると整理しやすくなります。
協力会社と工程を共有している場合、作業内容・人数・備考は相手の会社にも見えます。経費は「自社の経費を共有相手にも表示する」を付けた分だけが相手に見えます。相手に見せたくない社内向けのメモは、備考に書かないでください。
明日の現場から日報をそろえるためにやること
明日から日報をそろえるには、記入例を1つ選んで渡し、書く時刻と確認の基準を決めます。準備は夕方の30分ほどで終わります。
- 記入例を1つ選んで渡す:内装・設備・足場の記入例から、自社の工種に近いものを1つ選びます。現場名だけ書き換え、紙なら印刷して、LINEならノートに保存して作業員に渡します。
- 書く時刻と、声をかける人を決める:書く時刻は作業終了の15〜30分前です。届かなかったとき誰が声をかけるか(監督か職長か)も決め、朝礼で伝えます。
- 書き直しを頼む基準を3点に絞る:「数量・場所・翌日に要るもの」の3点だけを見ます。足りなければその点だけ聞き、ほかは目をつぶります。監督の確認は1現場1分ほどで済むようになります。
- 1週間後に見直す:電話で聞き直した回数を数えておき、減っていなければ記入例の項目を見直します。
まとめ直しの手間をもっと減らしたいときは、1つの現場・1つの工程だけでアプリからの日報を試します。同じ週にLINEで集めている現場と比べれば、転記と聞き直しの差が自社の数字で分かります。
試す場合、SITE BOARDは無料で使い始められます。工程表や現場写真など、ほかの施工管理の記事はコラム一覧で読めます。