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屋根塗装面積の係数一覧|勾配伸び率と屋根材別の塗装係数早見表

屋根塗装面積は、軒の出を含む水平投影面積×勾配伸び率で出します。1寸〜12寸の伸び率早見表と、スレート・瓦・波板・折板の塗装係数一覧、記事ごとに係数が違う理由、見積書の面積の確かめ方、塗料の缶数の出し方まで実例でまとめました。

屋根塗装面積 係数を表すイメージ図
目次

屋根に上がれなかった現地調査のあと、見上げて測った寸法で、夜に屋根の面積を出していませんか。面積を少なく見ると、塗装の途中で塗料が足りなくなり、販売店へ走ることになります。屋根塗装面積は、軒の出まで含めて真上から見た面積に、勾配の係数(伸び率)を掛ければ電卓で出せます。

4寸勾配なら係数は1.077、5寸なら1.118です。この記事の早見表と手順を使えば、外周の寸法と勾配から、屋根の塗装面積・付帯部の長さ・塗料の缶数までを一続きで出せます。現地で何を測ればよいかも決まるので、測り忘れで現場に戻ることがなくなり、見積りを翌朝に出しやすくなります。

屋根塗装面積は「真上から見た面積 × 勾配の係数」で出す

屋根塗装の面積の計算方法は、次の式1本です。

屋根の塗装面積 = 水平投影面積(軒の出・けらばの出を含む)× 勾配の係数(伸び率)

水平投影面積は、屋根を真上から見たときの影の面積です。屋根伏図なら、軒先とけらばの先端で囲まれた範囲がそれに当たります。この面積は傾きを無視しているので、勾配の分だけ割り増します。その割合が勾配係数で、伸び率とも呼びます。

水平投影面積と斜面の実面積の関係を示した三角形の断面図
水平投影面積と斜面の実面積の関係を示した三角形の断面図

係数は三平方の定理で出ます。4寸勾配は、水平に10進むと4上がる傾きです。斜辺は √(10²+4²) = √116 ≒ 10.77 なので、水平10のところを10.77塗ることになり、係数は1.077です。

たとえば水平投影面積60㎡・4寸勾配の化粧スレート(コロニアル)の屋根なら、60㎡ × 1.077 ≒ 64.62㎡ です。化粧スレートは平らな板を重ねた屋根で、塗るのは表に見えている面です。重なりの分は足さず、この64.62㎡をそのまま塗装面積にします。

折板・瓦棒など凹凸のある屋根だけ、もう1つ係数を掛ける

折板や瓦棒葺きのように表面が波打っている屋根は、同じ斜面でも塗る表面が増えます。この場合だけ、勾配の係数に加えて「展開幅 ÷ 働き幅」を掛けます。

係数 何の割増か 決まるもの
勾配の係数(伸び率) 傾きの分だけ斜面が長くなる 屋根の勾配(寸)
展開幅 ÷ 働き幅 凹凸の分だけ表面が増える 屋根材の断面の形

勾配の係数は、屋根材に関係なく勾配だけで決まります。展開の係数は、勾配に関係なく屋根材の形だけで決まります。増える理由が別なので、2つは掛け算で重ねられます。数字の出し方は、後の「凹凸のある屋根材」の節で説明します。

軒の出・けらばの出の入れ忘れは、係数の掛け忘れより大きい

屋根の水平投影は、外壁の線ではなく、軒先とけらばの先端で囲んで取ります。外壁の線で取ると、屋根のまわり一周分が丸ごと抜けます。

外壁の線が10m × 6m(60㎡)、軒の出450mm、けらばの出400mmの切妻屋根で確かめます。棟は10mの方向に通っているとします。

  • 棟の方向(桁行):10m + 0.4m × 2 = 10.8m
  • 流れの方向(梁間):6m + 0.45m × 2 = 6.9m
  • 水平投影面積:10.8 × 6.9 = 74.52㎡
  • 屋根の塗装面積:74.52 × 1.077 ≒ 80.26㎡

外壁の線の60㎡より14.52㎡、約24%大きくなります。外壁の線のまま係数を掛けた64.62㎡と比べると、差は15.64㎡です。係数の掛け忘れ(74.52㎡と80.26㎡の差)は5.74㎡なので、軒の出の入れ忘れのほうが大きく効きます。この家は、この先の付帯部と缶数の計算でも使います。

図面がない既存の建物では、次の手順で外周を押さえます。

  1. 軒先の真下の地面に、下げ振りかレーザー墨出し器で先端の位置を落とす
  2. 四隅と、けらばの先端の位置に目印を置く
  3. 目印の間をメジャーで測り、屋根伏図のスケッチに寸法を書き込む
  4. 下屋があれば、下屋の外周も同じ手順で別に測る

投影位置が隣地や植栽にかかるときは、外壁からの出を脚立で1か所測り、外壁の寸法に足す方法でも構いません。増築部分だけ軒の出が違う建物もあるので、1か所の値を全周に使う前に、目で見て出の違いを確かめてください。外壁と屋根をまとめて見積もるときの全体の流れは、塗装面積の計算の手順の記事で扱っています。

床面積や建築面積をそのまま使わない

「1階の床面積が60㎡だから屋根も60㎡」という概算では、たいてい足りません。

  • 建築面積には軒の出がほとんど入らない:建築面積は外壁(または柱)の中心線で囲んだ面積です。軒は中心線から1m以上突き出たときだけ、先端から水平に1m後退した線までが入ります。1mに満たない住宅の軒の出は入らないので、確認申請の面積ではなく、屋根伏図か実測の寸法で拾い直します。条文はe-Gov法令検索で建築基準法施行令第2条を確かめられます
  • 下屋は別に拾う:2階建てに下屋(玄関ポーチや1階の張り出し)があるときは、2階の屋根と下屋を別々に拾います。伏図を1枚として眺めて拾うと、下屋が丸ごと落ちます
  • 概算は目安まで:床面積に決まった倍率を掛ける概算は、電話での問い合わせや最初の予算感までにします。概算のまま契約すると、増えた分を自社が飲むことになります

電話で「1階が30坪くらいの家」と聞かれたときに使う、屋根塗装面積の目安です。前提は次のとおりです。

  • 総2階の切妻で、下屋はない
  • 軒の出450mm、けらばの出400mm程度
  • 軒の出込みの水平投影を、1階床面積の1.24倍と置く(この家の 74.52 ÷ 60 ≒ 1.24 から)
  • 1坪≒3.31㎡で換算し、水平投影に勾配の係数を掛けて1㎡未満を四捨五入する
1階床面積(水平投影) 3寸(1.044) 4寸(1.077) 5寸(1.118)
20坪・66.2㎡(約82.1㎡) 約86㎡ 約88㎡ 約92㎡
30坪・99.3㎡(約123.1㎡) 約129㎡ 約133㎡ 約138㎡
40坪・132.4㎡(約164.2㎡) 約171㎡ 約177㎡ 約184㎡

下屋の有無や建物の形で、面積は変わります。床面積が大きい家ほど倍率は1.24より小さくなるので、40坪では多めに出ます。この表は電話での予算感までに使い、現地調査のあとは実測の寸法で置き換えてください。

面積のずれは、そのまま缶数と手間のずれになる

塗料の量は面積から出すので、面積がずれると缶数もずれます。例として、上塗りを0.15kg/㎡で2回、16kg缶で塗る仕様にします。1缶で塗れるのは 16 ÷ 0.15 ÷ 2 ≒ 53.3㎡、2缶で106.7㎡までです。

  • 水平100㎡・4寸の屋根で係数を掛け忘れた場合:100 × 0.15 × 2 = 30.0kg → 2缶
  • 係数を掛けた場合:107.7 × 0.15 × 2 ≒ 32.3kg → 3缶

係数を掛け忘れると、現場で上塗りが1缶足りなくなります。手間も同じです。1日に塗れる面積を決めて人工を出しているなら、面積のずれはそのまま人工のずれになります。

取り違え4通りの面積と金額の差

この家(外壁の線10m × 6m、軒の出450mm、けらばの出400mm、4寸の切妻)で、取り違えたときの差を並べます。金額は、計算の例として㎡単価を仮に3,000円と置いたものです。実際の単価ではないので、自社の単価に置き換えてください。

拾い方 面積 正しい値との差 金額の差(仮に3,000円/㎡)
① 外壁の線のまま 60㎡ −20.26㎡ −60,780円
② 外壁の線 × 係数 64.62㎡ −15.64㎡ −46,920円
③ 軒の出込み・係数なし 74.52㎡ −5.74㎡ −17,220円
④ 軒の出込み × 係数(正しい) 80.26㎡ 0㎡ 0円

①のまま契約すると、仮の単価でも6万円ほどを自社が飲むことになります。差は面積に単価を掛けたものなので、㎡単価が高い仕様ほど大きくなります。

見積書の屋根面積チェックリスト

自社の見積書を出す前や、他社の見積書と比べるときは、次の点を確かめます。

  • 面積が水平投影か塗装面積か:「屋根面積」とだけ書かれていたら、どちらの数字かを確かめる
  • 勾配の係数を掛けているか:4寸なら、水平投影の約1.08倍になっているか
  • 屋根材の係数を掛けているか:折板・波板・瓦棒は展開の係数が入っているか。化粧スレートに係数があれば、どの定義かを確かめる
  • 軒の出・けらばの出を含むか:この家では、外壁の線で取ると水平投影が約2割少なくなる
  • 下屋を別に拾っているか:大屋根と下屋が1行にまとまっていたら、下屋が抜けていないかを見る
  • トップライトなど塗らない部位を差し引いているか:天窓や塗らないと決めた範囲の扱いを社内でそろえる
  • 5㎡・10㎡単位で切りがよすぎないか:80㎡・100㎡のような丸い数字だけの見積りは、実測や図面から拾っていないことがある

屋根の勾配係数(伸び率)の早見表:1寸〜12寸

屋根の勾配は、ふつう「寸勾配」で表します。水平に10進んだとき、何寸上がるかを表す数字です。4寸勾配は「水平10:垂直4」で、図面では「4/10」「4寸」のほか、直角三角形の記号に10と4を添えて書かれます。

勾配の係数 = √(10² + 寸²)÷ 10

4寸なら √(100 + 16)÷ 10 = √116 ÷ 10 ≒ 1.0770 です。電卓の√キーがあれば、早見表が手元になくてもその場で出せます。

寸勾配から勾配係数を導く三平方の定理の図解
寸勾配から勾配係数を導く三平方の定理の図解

1寸〜12寸の勾配係数早見表

屋根塗装面積の計算で使う係数は、勾配ごとに次のとおりです。角度の列は、スマートフォンなどで角度を測ったときの読み替えに使います。

寸勾配 勾配係数 角度(約) 水平100㎡のときの塗装面積
1寸 1.005 5.7度 100.5㎡
2寸 1.020 11.3度 102.0㎡
3寸 1.044 16.7度 104.4㎡
3.5寸 1.059 19.3度 105.9㎡
4寸 1.077 21.8度 107.7㎡
4.5寸 1.097 24.2度 109.7㎡
5寸 1.118 26.6度 111.8㎡
6寸 1.166 31.0度 116.6㎡
7寸 1.221 35.0度 122.1㎡
8寸 1.281 38.7度 128.1㎡
9寸 1.345 42.0度 134.5㎡
10寸 1.414 45.0度 141.4㎡
12寸 1.562 50.2度 156.2㎡

覚えておくと現場で早いのは、3寸1.044・4寸1.077・5寸1.118・6寸1.166・10寸1.414 の5つです。住宅でよく見るのは3寸から6寸なので、この範囲を覚えておけば、たいていの物件でその場で概算が出せます。10寸(45度)は√2の1.414なので、目印になります。

表を縦に見ると、係数の増え方は一定ではありません。1寸から2寸への増加は0.015ですが、9寸から10寸は0.069です。水平100㎡で比べると、3寸と4寸の差は3.3㎡、9寸と10寸の差は6.9㎡です。急な屋根ほど、勾配の読み違いが大きな差になります。

現場で勾配を確かめる3つの方法

1. 図面の勾配の書き込みを読む

矩計図や立面図に勾配が書かれています。屋根伏図に面ごとの勾配の矢印が入っている図面もあります。増改築を重ねた建物は図面と今の形が違うことがあるので、1か所は実測と突き合わせてください。

2. 勾配計や水平器を屋根面に当てる

屋根に上がれるなら、勾配計(傾斜計)を屋根面に置くのがいちばん確かです。水平器なら、端を屋根面に当てて水平に構え、100mm先で屋根面までの高さの差を測ります。差が40mmなら4寸です。

上がれないときは、地上から測ります。軒の高さはメジャーで測れることが多く、棟の高さは立面の写真にスケールを写し込んで比例で出します。高さの差を、伏図から拾った外壁の線から棟までの水平距離で割れば勾配です。高さの差1.2m、水平距離3.0mなら 1.2 ÷ 3.0 = 0.4 で4寸です。

3. スマートフォンの傾きの計測を使う

スマートフォンの水準器や計測のアプリで、角度を読む方法もあります。手軽ですが、屋根材の凹凸にじかに当てると角度がずれることがあります。瓦を何枚かまたぐように平らな板を置き、その上で測ってください。出た角度は表の「角度」の列で寸勾配に読み替えます。21.8度なら4寸、26.6度なら5寸です。

1棟の中で勾配が違う面に注意

下屋は大屋根より勾配が緩いことがあり、招き屋根は面によって勾配が違う場合があります。1棟に1つの係数で済ませず、面ごとに係数を変えます。拾い出しの表を面ごとの行で作れば、取り違えは起きにくくなります。

勾配の読み違いで変わるのは、面積と足場

水平投影100㎡の屋根で、4寸と5寸を取り違えた場合を比べます。

  • 4寸:100 × 1.077 = 107.7㎡
  • 5寸:100 × 1.118 = 111.8㎡
  • 差:4.1㎡

先ほどの上塗りの例(1缶53.3㎡)なら、107.7㎡は約32.3kg、111.8㎡は約33.5kgで、どちらも3缶です。この例では缶数は変わりませんが、使う塗料の「1缶で塗れる面積」の倍数の近くに面積が来ていないかは、毎回確かめると安全です。

勾配を読み違えると、足場の判断もずれます。勾配が急になるほど屋根の上の作業は危なくなり、屋根足場が要ります。6寸以上が屋根足場の一つの目安とされますが、何寸から組むかは会社の安全の決まりで違います。分かれ目の勾配を社内で決めておくと、見積りで足場の費用を入れ忘れません。屋根の上の作業や墜落を防ぐ決まりは労働安全衛生規則にあり、条文はe-Gov法令検索で確かめられます。足場の数量の考え方は足場の数量計算のやり方の記事で扱っています。

屋根の形ごとの拾い方

すべての面が同じ勾配なら、形が複雑でも扱いは単純です。真上から見た影を、四角と三角に分けて足し、係数を掛けます。

切妻

棟を挟んだ2面です。軒の出とけらばの出を含めた四角1つで水平投影が取れます。検算は「棟の長さ(けらばの出を含む)× 軒先から棟までの水平距離 × 2」です。

寄棟

三角形2枚と台形2枚に分かれますが、面ごとの形を計算しなくて構いません。真上から見ると4面の影は隙間なく1つの四角を埋めるので、四角1つで拾えます。同じ外形・同じ勾配なら、切妻と寄棟の屋根面積は同じです。寄棟の見積りが高くなる理由は、面積ではなく隅棟の数と役物の手間です。

片流れ・方形

片流れは1面です。軒先の出と、けらばや高い側の出を取り違えないよう、伏図のスケッチに矢印で書き込みます。方形は頂点が1点に集まる4枚の三角形で、寄棟と同じ理屈で四角1つで拾えます。

入母屋

上の切妻と下の寄棟に分けて拾います。切妻の下の三角の壁(妻壁)は壁なので、屋根面積に入れず外壁の側で拾います。上の切妻のけらばは下の屋根の上に張り出しているので、真上から見て重なる帯は、上と下の両方で数えます。入母屋は隅棟・降り棟・箕甲などの役物が多く、面積のわりに手間がかかる形です。

招き屋根・下屋・越屋根の扱い

招き屋根

棟が真ん中からずれた屋根です。2面の勾配が同じなら、四角1つで拾っても合計は合います。勾配が違うときは、長い面と短い面を別の行で拾います。片面だけの工事や、面ごとに仕様が違う工事もあるので、面ごとの内訳を残しておくと後で使えます。

差し掛け屋根・下屋

大屋根とは別に拾います。壁との取り合いには雨押えがあるので、その長さも控えておきます。下屋は面積が小さいわりに、雨押え・水切り・壁際のシーリングと手間が集まる部位です。

越屋根・ドーマー

面積は小さくても、手間は面積に比例しません。狭い場所での養生、細かい役物、屋根の上での足場の取り回しが出ます。㎡単価を掛けるだけだと赤字になりやすいので、面積とは別に「越屋根まわり 一式」で手間を入れる方法もあります。

陸屋根・バタフライ屋根・のこぎり屋根・アール屋根

陸屋根

勾配は1/50〜1/100程度なので、係数はほぼ1.0です。ただ、既存がアスファルト防水・シート防水・ウレタン防水なら、塗装ではなく防水材の数量計算になります。トップコートの塗り替えでも、材料の量はメーカーの仕様書で確かめます。

バタフライ屋根

2面が中央の谷樋に向かって下がる形です。面ごとに勾配が違うことがあります。谷まわりは板金の役物が増えるので、谷の長さを別に控えます。

のこぎり屋根

緩い面と、垂直に近い面(採光の窓が入る面)が交互に並びます。垂直に近い面を屋根と壁のどちらで扱うかは、社内で決めておきます。水平投影に係数を掛けるより、「面の数 × 1面の斜めの長さ × 桁行の長さ」で実寸から出すほうが確かです。

アール屋根

弦の長さではなく、曲面に沿った弧の長さで計算します。半径 r と中心角 θ(度)が分かれば、弧の長さ = 2 × π × r × θ ÷ 360 です。半径が分からないときは、弦の長さ c と矢高 h(弦の中央から弧までの高さ)を測り、r = (c² ÷ 4 + h²)÷(2h)で出します。現場では、曲面にメジャーを沿わせて直接測るのが早く確実です。

屋根材別の係数:凹凸のある屋根材は「展開幅 ÷ 働き幅」を掛ける

凹凸のある屋根材の係数は、次の1本の式で考えます。

展開の係数 = 展開幅 ÷ 働き幅

働き幅は、葺いたときに1枚(1山)が受け持つ幅です。展開幅は、その1枚を平らに伸ばしたときの幅で、金属屋根ならカタログに原板の幅として載っていることがあります。

屋根材 係数の考え方 目安
化粧スレート 見えている面を塗る。重なりは足さない 掛けない(1.0)
折板(88型) 原板の幅 ÷ 働き幅 914 ÷ 600 ≒ 1.52(隠れる重なりを引くと1.4前後)
瓦棒葺き・立平葺き・横葺き 見えている断面の長さ ÷ 働き幅 製品で違う(1山ぶんを測る)
波形スレート(大波・小波) 波1山の展開長 ÷ 山のピッチ 製品で違う
セメント瓦・モニエル瓦 断面の長さ ÷ 働き幅 製品で違う

原板の幅で割ると、はぜや重なりで隠れる部分まで入るので大きめに出ます。折板は隠れる重なりが小さいので原板の幅 ÷ 働き幅に近く、88型なら1.4〜1.5倍です。立平・横葺き・瓦棒は隠れる部分が大きいので、原板の幅で割ると塗る面積をかなり多く見てしまいます。見えている断面の長さ(塗る面)を1山ぶん測って、働き幅で割ります。

水平投影200㎡・2寸勾配の88型折板の屋根で確かめます。

  • 勾配の係数だけ:200 × 1.020 = 204㎡
  • 展開の係数1.52も掛ける:204 × 1.52 ≒ 310㎡
  • 隠れる重なりを引いて1.4で見る:204 × 1.4 ≒ 286㎡

展開の係数を省くと、塗る面積を82〜106㎡少なく見ることになり、塗料が大きく足りなくなります。折板では省けない係数です。金属屋根の板取りや展開幅の考え方は、次の記事で詳しく扱っています。

役物の展開幅を表すイメージ図 関連記事業務効率化・DX 役物の展開幅の出し方|コイルの取り数と注文する長さ・本数の計算 役物の展開幅は、断面の折り寸法を端から端まで足せば出せます。水切り・唐草・雨押えの例で、914mm幅のコイルから何本取れるか、何mのコイルを何本頼めば足りるかまで順に数え、コイルの不足や頼みすぎを防ぎます。 記事を読む

代表的な屋根材ごとの係数一覧

現場でよく当たる屋根材の係数の目安をまとめます。どれも製品によって山のピッチと山高が違うので、最後はカタログの断面図か、1山の実測で確かめてください。

他の記事や業者の資料では、化粧スレートを1.2前後とする一覧もよく見かけます。差が出るのは、係数の定義が違うためです。1つは、見えている重なりの小口や段差まで塗る面に含めるかどうかです。もう1つは、原板の幅で割るか、見えている面で割るかです。この記事は見えている面を基準にしているので、化粧スレートは1.0としています。

他社の見積書と比べるときは、どの定義の係数かを確かめてください。最終的には、メーカーのカタログや仕様書の値で決めます。自社で採用する係数は屋根材ごとに社内で1つに決めておくと、担当が変わっても同じ数量が出ます。

住宅の屋根材

屋根材 係数の目安 係数のもとになる寸法
化粧スレート 1.0(掛けない) 見えている面を塗る。重なりは足さない
瓦 和形(J形) 約1.2 桟瓦の湾曲した断面の長さ ÷ 働き幅
瓦 洋形(F形・平板) 約1.0〜1.1 ほぼ平らな断面
鉄板小波(32波) 約1.2 ピッチ約32mm・山高約9.5mm
鉄板大波(76波) 約1.1〜1.2 ピッチ約76mm・山高約18mm

工場・倉庫の屋根材

屋根材 係数の目安 係数のもとになる寸法
波形スレート 小波 約1.2 ピッチ約63mm・山高約18mm
波形スレート 大波 約1.15〜1.2 ピッチ約130mm・山高約34mm
折板 88型 1.4〜1.5 原板914mm ÷ 働き幅600mm ≒ 1.52
折板 150型・166型 製品で違う(88型より大きめ) カタログの原板幅 ÷ 働き幅
スレートカバー用折板(やまなみなど) 製品で違う カタログの原板幅 ÷ 働き幅

鉄板小波・鉄板大波(トタンの波板)

波の断面はほぼ円弧なので、1山の弧の長さをピッチで割ると係数になります。小波で約1.2、大波で1.1〜1.2が目安です。塗装では、フックボルトのまわりと板の重ね部から錆が出ます。錆止めをボルトまわりに刷毛で先に入れ、そのあと全体をローラーで塗ると塗り残しが減ります。倉庫や車庫のように軒の出の裏が見える建物では、裏面を塗るかどうかを見積りの段階で決めます。

波形スレート(小波・大波)

小波はピッチ約63mm・山高約18mm、大波はピッチ約130mm・山高約34mmが目安の寸法です。係数は小波で約1.2、大波で1.15〜1.2を見ます。踏むと割れることがあるので、歩み板を渡して作業します。高圧洗浄の圧を上げすぎると表面が荒れ、吸い込みが増えて塗布量も増えます。古い製品はアスベストを含むことがあり、割れの補修や差し替えを伴う工事では事前調査や届出の要否が変わります。

瓦(和形・洋形)

粘土を焼いた瓦は塗装しないのが一般的で、係数を使うのはセメント瓦やモニエル瓦です。和形(J形)は断面が大きく波打つので1.2前後、洋形の平板はほぼ平らなので1.0〜1.1にとどまります。和形は谷の部分に塗料が溜まってダレやすいので、1回で厚く塗らず、規定の回数に分けます。モニエル瓦はスラリー層を落とす手間と専用の下塗りが要るため、見分けがついた時点で仕様を組み替えます。

折板(スレートカバー用・88型・150型・166型)

88型は原板914mm ÷ 働き幅600mm ≒ 1.52で、はぜに隠れる分を引くと1.4前後です。150型・166型は山高が大きく、1山に使う鋼板が増えるので、係数は88型より大きめに出ます。スレートカバー工法に使う折板(やまなみなど)は、下地の波形スレートに合わせて働き幅が決まるため、製品ごとにカタログの原板幅と働き幅で出します。どの型でも、ボルトキャップの上を塗るか交換するか、タイトフレームや母屋の鉄部を含めるかを、屋根の面積とは別の項目で決めておきます。

折板・波板の係数を断面から出す手順

カタログに原板の幅が無いときは、1山の断面から出します。

  1. 山のピッチ(山〜山の芯々の距離)を測る
  2. 山高を測る。カタログの「山高88」などの数値でもよい
  3. 断面を「谷の平らな所」「立ち上がりの斜辺」「山の平らな所」「反対側の斜辺」に分ける
  4. 斜辺は、山高と水平の逃げ寸法から三平方の定理で出す
  5. 4つの線分を足して1山の展開長にする
  6. 展開長 ÷ ピッチで係数を出す

たとえば1山の展開長が300mm、ピッチが200mmなら、300 ÷ 200 = 1.5です。セメント瓦やモニエル瓦も同じ考え方で、カタログの断面図から1枚分の展開幅を出し、横方向の働き寸法で割ります。断面図に寸法が無いときは、現場で余りの瓦を1枚借り、断面に糸を沿わせて長さを測る方法でも近い値が出ます。

屋根に上がれないときの求め方

屋根に上がれない、または踏むと危ない屋根では、次の3つの方式を使い分けます。

方式 精度 必要な道具 使える場面
① 1山の実測 高い。その屋根の実物を測る メジャー・差し金・糸、脚立 軒先の小口に脚立で届く。余りの材が残っている
② 図面やカタログの山高・働き幅から計算 型番が合っていれば高い。違えばずれる 竣工図・カタログ・電卓 竣工図が残っている。型番が分かる
③ ドローン写真などから外形を測る 外形は取れる。山の断面は写真だけでは測りにくい ドローン、写真から寸法を出すソフト 広い屋根、劣化して踏めない屋根

③で取れるのは、主に縦横の外形です。係数は①か②で出し、③で出した面積に掛けます。ドローンを飛ばすときは、飛行の決まりを事前に確かめてください。

折板の係数は、資料によって1.2台から1.4〜1.7まで値が分かれています。原板の幅で割るか、見えている面で割るか、という定義が違うためです。型番が分かったら、メーカーのカタログで原板幅と働き幅を確かめ、自社の定義で計算し直してください。

カバー工法(重ね葺き)の屋根を塗り替えるときは、塗るのは上に載せた新しい屋根材の面です。下に残っている既存の波形スレートなどの形で係数を出すと、数量がずれます。上に載せた製品の働き幅と原板幅で係数を出します。

折板はどこまで塗るかを社内で決める

折板屋根の塗り替えは、含める範囲で数量が変わります。

  • 裏面を塗るか(軒の出の裏が見える部分だけ塗る場合もある)
  • ボルトキャップの上を塗るか、キャップを交換するか
  • タイトフレームや母屋などの鉄部を塗るか。塗るなら屋根とは別の項目にする

案件ごとに判断していると、見積りの根拠が揺れます。「88型折板は1.52を掛ける、ボルトキャップは個数で別に入れる、裏面は塗らない」のように文章で決めておくと、担当が変わっても同じ数量が出ます。

塗り替えに向かない屋根材・注意が必要な屋根材

面積と係数が正しくても、屋根材が塗装に向かなければ、見積りごと組み替えになります。

モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)

表面にスラリー層という着色の層があり、傷んだまま塗ると層ごと剥がれます。高圧洗浄でスラリー層を落とす手間と、専用の下塗りが要り、下塗りが2回になることもあります。平板の瓦に見た目が似ているので、気づかずにセメント瓦の仕様で見積もると、材料も手間も足りません。瓦の小口(切り口)がでこぼこしているのが、見分ける手がかりの一つです。

ノンアスベストの初期のスレート

アスベストを使わなくなった移行期の製品には、踏むと割れやすいものがあります。補修の分を別に見込み、枚数を仮に決めて見積りに入れ、実際の枚数で精算する形にすると、お客様との行き違いが減ります。製品名が分かれば、メーカーの情報で塗装できるかを確かめてください。

粘土瓦(いぶし瓦・釉薬瓦)

粘土を焼いた瓦は、塗装しないのが一般的です。棟の取り直し・漆喰の詰め直し・ずれた瓦の差し替えなど、補修の提案に切り替えます。

アスベストを含むおそれのある屋根材

古い波形スレートや一部の住宅用スレートには、アスベストを含む製品があります。割れの補修や差し替え、下地の処理など、工事の内容によって事前調査や届出の要否が変わります。最新の取り扱いは、厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトで確かめてください。会社として、調査する人の手配や記録の保存が要る場合があります。

付帯部(破風・鼻隠し・軒天・棟板金)の拾い方

付帯部は屋根の面積とは別に拾います。長さ(m)のまま単価を掛けるか、見付幅や展開幅を掛けて㎡に直すかのどちらかです。先ほどの家(外壁10m × 6m、軒の出450mm、けらばの出400mm、4寸の切妻)で出すと、次のとおりです。

付帯部 拾う寸法 この家の例
破風 けらばの斜めの長さ(軒先から棟まで) 3.45m × 1.077 ≒ 3.72m、4本で約14.9m
鼻隠し・軒樋 軒先の長さ(けらばの出を含む) 10.8m × 2 = 21.6m
軒天 屋根の水平投影 − 床の面積(けらばの下は伸び率を掛ける) 9.72㎡ + 4.80㎡ × 1.077 ≒ 14.89㎡
棟板金 大棟・隅棟の長さ 大棟1本で10.8m
雨押え 下屋の屋根と外壁の境の長さ 下屋があるときだけ

破風

破風の長さは、軒先から棟までの斜めの長さです。水平距離は外壁の線からではなく、軒の出を含めて取ります。この家なら 6.9m ÷ 2 = 3.45m に係数1.077を掛けて約3.72m、切妻は4本あるので約14.9mです。外壁の線から棟までの3.0mで数えると12.9mになり、約2m足りません。㎡に直すときは板の見付幅(表から見える幅)を掛けます。見付幅は現場で1か所測っておきます。0.2mなら 14.9 × 0.2 ≒ 3.0㎡ です。

軒天

「軒の出 × 外周の長さ」で出すと、どの外周を使うかで答えが変わります。この家では、屋根の外周35.4mなら 0.45 × 35.4 ≒ 15.93㎡、外壁の外周32mなら 0.45 × 32 = 14.4㎡ です。確かなのは引き算で、屋根の水平投影74.52㎡から床の60㎡を引いた14.52㎡が、軒天の水平の面積です。

このうち軒の下(10.8m × 0.45m × 2 = 9.72㎡)は水平です。けらばの下(6.0m × 0.4m × 2 = 4.80㎡)は屋根なりに傾いているので、伸び率を掛けて約5.17㎡になります。合わせて約14.89㎡です。

下屋の軒天は抜けやすい部位です。伏図に下屋を書き込んだ時点で、下屋の軒天の行も作ってください。軒天と同じ仕上げのバルコニーの天井も同じです。

棟板金・雪止め・雨押え

長さで拾うのが自然です。m単価で見積もるか、㎡に直して屋根の単価に合わせるかは、社内でそろえます。担当ごとに違うと、お客様に聞かれたときの説明が揺れます。棟板金は、塗装のほかに釘の浮きや貫板の傷みも確かめる部位です。板金の交換や貫板の樹脂化を提案するなら、塗装とは別の項目にします。

雨樋は屋根の㎡に混ぜない

軒樋と竪樋は長さ(m)で拾い、屋根の㎡に混ぜません。混ぜると、樋を交換することになったときに数量を切り分けられなくなります。㎡に直すときは樋の外側の展開幅を掛けますが、形で違うので実物で測ります。塩ビの樋は年数がたつと脆くなることがあり、塗装より交換のほうがお客様のためになる場合もあるので、傷みを写真で残しておきます。屋根面積から軒樋・竪樋の大きさを決める考え方は、雨どいのサイズの選び方の記事で扱っています。

塗料の数量の計算:必要量と缶数の出し方

面積が決まったら、塗料の数量を計算します。

必要量 = 塗装面積 × 1回あたりの塗布量 × 塗り回数 缶数 = 必要量 ÷ 1缶の量(切り上げ)

カタログの書き方を3つ確かめる

1. 単位の向き

書き方 意味 必要量の出し方
kg/㎡・L/㎡ 1㎡に何kg(何L)要るか 面積 × 書かれた値 × 回数
㎡/kg・㎡/L 1kg(1L)で何㎡塗れるか 面積 × 回数 ÷ 書かれた値

「0.15kg/㎡」と「6.7㎡/kg」はほぼ同じ意味ですが、掛けるか割るかが逆です。取り違えると数量が大きく狂います。

2. 1回あたりか、決められた回数の合計か

メーカーによって、塗布量を1回あたりで書く製品と、2回分の合計で書く製品があります。「0.30kg/㎡(2回分の合計)」を1回あたりと読んで回数を掛けると、量がちょうど2倍になります。この家の屋根80.26㎡なら、正しくは 80.26 × 0.30 ≒ 24.08kg で16kg缶2缶です。回数を掛けてしまうと約48.16kgで4缶になります。下塗りには、所要量を「1〜2回塗りの合計」で書く製品もあり、その場合は回数を掛けません。

3. 幅のどこを使うか

塗布量は「0.15〜0.3kg/㎡」のように幅で書かれていることが多く、下地が平らなら少ない方、吸い込みが多いなら多い方を使います。劣化したスレート屋根では所要量が5割以上増えることがある、とカタログに書いている塗料もあります。チョーキングが激しい屋根や表面がざらついた屋根は多い方で見て、迷うときは試し塗りで1㎡の吸い込みを確かめます。

ロスは足さない(カタログの値に入っている)

メーカーの「標準塗布量」「使用量」「所要量」は、塗装のときのロスを含んだ値です。たとえば日本ペイントは、ロスを含まない理論塗付量と、ロスを含む標準塗付量を分けて説明しています。菊水化学工業も、所要量は施工時のロスを含んだ量だとしています。そこへさらに5〜10%を足すと、ロスを二重に見ることになります。

足すのは、カタログの値がロスを含まない「塗付量」(理論上の量)と書かれているときだけです。凹凸の多い屋根材は、ロスではなく展開の係数で面積に入れます。吸い込みの多い下地は、カタログの幅の多い方の値で見ます。

計算例:この家の屋根(80.26㎡)の缶数

例として、下塗り(シーラー)を0.2kg/㎡で1回・15kg缶、上塗りを0.15kg/㎡(1回あたり)で2回・16kg缶とします。実際は、使う塗料のカタログの値に置き換えてください。

  1. 下塗り:80.26 × 0.2 ≒ 16.05kg → 15kg缶で2缶(1缶で塗れるのは75㎡まで)
  2. 上塗り:80.26 × 0.15 × 2 ≒ 24.08kg → 16kg缶で2缶(余りは約7.9kg)

下塗りと上塗りは材料が違うので、工程ごとに缶数を出します。もし軒の出を入れずに64.62㎡で見ていたら、下塗りは 64.62 × 0.2 ≒ 12.92kg で1缶の発注になります。実際に要るのは16.05kgなので、現場で約1.05kg足りません。1缶で塗れる面積をあらかじめ出しておくと、境目に近いかがすぐ分かります。

缶の端数・希釈・調色品の扱い

  • 端数は切り上げ:1.07缶でも2缶にします。余りは次の現場で使えますが、足りないと工事が止まります
  • 小缶を組み合わせる:小缶のある製品なら、上塗りの24.08kgを「16kg缶1缶+4kg缶3缶(28kg)」で組む方法もあります。倉庫で在庫を回せるかで決めます
  • 調色品は控えを考える:調色した塗料は、あとから頼むと色がずれることがあります。工程の途中で切らすと継ぎ目が出るおそれもあるので、上塗りに控えを1缶足すかを工期と相談して決めます

希釈の扱い

カタログの塗布量が、薄める前の塗料(原液)の量か、薄めた後の量かを確かめます。

  • 原液の量で書かれている場合:水やシンナーで薄めても、必要な原液の量は変わりません。缶数は塗布量のまま計算します
  • 薄めた後の量で書かれている場合:必要な原液は「塗布量 ÷(1 + 希釈率)」に減ります。0.15kg/㎡・希釈10%なら 0.15 ÷ 1.1 ≒ 0.136kg/㎡ です

どちらか分からないときは原液の量とみなして計算すれば、足りなくなる側には外れません。

縁切り・タスペーサー

化粧スレートの塗り替えでは、塗料でふさがった重なりを開ける縁切りか、タスペーサーの挿入が要ることがあります。タスペーサーは個数で拾い(スレート1枚に2個が目安)、材料費として入れます。スレートの枚数は、屋根面積をカタログの1枚の働き面積(働き幅 × 働き長さ)で割って出します。挿入の手間は別に人工で見ます。面積単価に含めてしまうと、縁切りをしない物件と単価が同じになり、内訳を説明できません。

屋根材と塗料の相性で量が変わる

セメント系の屋根

化粧スレート・セメント瓦・モニエル瓦は吸い込みが大きく、下塗りが2回要ることがあります。1回目のあとに艶が引いて素地が見えるなら、2回目を入れる判断です。見積りでは下塗り1回か2回かを決め、現場で変わるかもしれないことをお客様に伝えておきます。

金属屋根

トタン・ガルバリウム鋼板などは、ケレンと錆止めの有無で工程の数が変わります。錆止めを全面に入れたか部分にしたかを見積りに書いておくと、追加が出たときに説明できます。同じ屋根用の塗料でも、カタログでスレート屋根と金属屋根の塗布量を分けて書き、スレートの方を多くしている製品があります。

遮熱塗料

決められた膜厚がないと、日射を返す性能が出ません。塗布量はカタログの値を守る前提で組みます。

塗装の仕様は、メーカーの仕様書が最後のよりどころです。ここの数値は計算の考え方を示すための例です。塗布量・塗り回数・希釈率は製品と屋根の状態で変わるので、現場ごとにメーカーの技術資料で確かめてください。

無料の計算ツールで屋根と外壁の面積・缶数をまとめて出す

ここまでの計算は電卓でもできますが、外壁や付帯部までそろえると入力と検算に時間がかかります。サイトボード(SITE BOARD)の無料ツール「塗装面積と塗料の数量計算」は、戸建ての外壁と屋根をまとめて出すツールです。

塗装面積と塗料の数量計算 無料ツール登録なしでも使えます 塗装面積と塗料の数量計算 間口と奥行を入れるだけで、外壁・屋根の塗装面積、樋・破風・軒天・雨押えなどの付帯部、塗料の缶数、見積の下書きまで自動で計算。2階建て・下屋(四角・L型・コの字・ロの字)にも対応し、立体図と展開図で塗る所がひと目で分かります。 ツールを使う
  • 入れるもの:家の形(平屋・総2階・2階+下屋)、建物の形(四角・L字・コの字)、1階の間口と奥行(外壁の外側の寸法)。軒の高さ・軒の出・基礎の高さ・屋根の形(切妻・寄棟・片流れ)と勾配には、よくある値が「仮」で入っていて、分かっている値に直します
  • 屋根の面積:軒の出まで広げた水平の面積 × 伸び率(√(1 + 勾配²))で出します。勾配は1つ、軒の出も1つ(けらばの出は別に入れません)で、下屋も大屋根と同じ勾配として計算します
  • 付帯部:軒樋・鼻隠し・破風・軒天・雨押え・棟板金・土台の水切り・竪樋を、家の形から出します。軒天は、けらばの下だけ伸び率を掛けます
  • 塗料:メーカーのカタログの値を載せた一覧から、下塗り・上塗りと回数を選びます。屋根の上塗りは、スレート屋根用と金属屋根用を分けて載せています。「1回あたり」と「合計」の書き方の違いはツールがそろえ、ロスはカタログの値に含まれているので足しません。一覧に無い塗料だけ、1回あたりの量と1缶の量を手で入れます

このツールは屋根材の種類や展開の係数は扱いません。折板や瓦棒の屋根は、出た屋根の面積に上の表の係数(88型折板なら 914 ÷ 600 ≒ 1.5)を自分で掛けてください。下屋の勾配が大屋根と違う家や、けらばの出が軒の出と違う家も、その分は手で直します。

登録なしでも使えます(1日に使える回数には上限があります)。本登録(ご契約)の会社は、現地調査の手書きのメモや図面の写真から、寸法をAIに読み取らせて入れることもできます。葺き替えやカバー工法で、屋根材・ルーフィングの数量や、棟・ケラバなどの役物の長さを出したいときは、別のツールを使います。

屋根材の数量計算 無料ツール登録なしでも使えます 屋根材の数量計算 屋根の形をイラストから選び、図の記号の寸法と勾配を入れるだけで、屋根面積、屋根材の枚数・本数、ルーフィングの巻数、棟・隅棟・谷などの役物の長さと貫板の本数を自動で計算。複合屋根(L字・T字・コの字)・棟違い・下屋にも対応し、割付図つきで、施工の決まりごとはAIが読み取ります。 ツールを使う

ほかのツールや記事はコラム一覧から探せます。

拾い出しを面ごとの表で残す

屋根塗装の見積りの拾い出しは、計算するだけでなく、後から追える形で残すところまでが仕事です。面ごとに1行の表にしておくと、追加工事の相談や社内の引き継ぎで役立ちます。

面 寸法(水平) 勾配・係数 面積
大屋根 南面 10.8m × 3.45m 4寸・1.077 40.1㎡
大屋根 北面 10.8m × 3.45m 4寸・1.077 40.1㎡
下屋 東面 4.2m × 1.8m 3寸・1.044 7.9㎡

こうしておけば、「2階の屋根だけ塗りたい」と言われたときに、下屋の行を外すだけで見積りを出し直せます。屋根に上がれないお客様には、写真と実測のメモが説明の材料になります。

積算に取り込んで、そのまま見積りにする

サイトボードの積算では、品名・費目・数量・単価(原価)の明細を積み上げ、利率を乗せて見積り(下書き)に変換できます。場所は サイドバー「施工管理」>「積算」 です。

積算の新規作成画面。品名・費目・数量・単価(原価)の明細表に行を足していく
積算の新規作成画面。品名・費目・数量・単価(原価)の明細表に行を足していく

無料ツールの結果は、権限「積算」のある SITE BOARD の会員なら「積算に取り込む」で積算の明細にできます。仮設工事・高圧洗浄・外壁・屋根・付帯部などの数量と、数量の出し方(「根拠」の欄)が入るので、案件を選び、単価を入れれば済みます。手で入力するときは、面ごとの計算を行の「仕様・規格」に書いておくと後から追えます(見積りの「詳細」に引き継がれます)。社内だけに残したいときは「備考(社内用)」に書きます。パソコンの画面では、積算の一覧の右上の「数量計算ツール」からも、無料ツールの一覧を開けます(スマホの幅では出ません)。

明細を入れ終えたら、積算の編集画面の上部「この積算から見積りを作成」で利率を入れ、「見積り(下書き)を作成」を押すと見積りに変わります。

積算の編集画面。上部に「この積算から見積りを作成」の利率入力と「見積り(下書き)を作成」ボタン
積算の編集画面。上部に「この積算から見積りを作成」の利率入力と「見積り(下書き)を作成」ボタン

C+AIプランでは、積算の一覧の「図面からAI拾い出し」から、図面をもとに積算の下書きを作れます。図面(PDF・JPG・PNG)を選び、必要なら「拾い出しの指示(任意)」を書いて「拾い出し開始」を押します。AIポイントを使います。

図面からのAI拾い出し画面。図面ファイルの選択欄と「拾い出しの指示(任意)」、「拾い出し開始」ボタン
図面からのAI拾い出し画面。図面ファイルの選択欄と「拾い出しの指示(任意)」、「拾い出し開始」ボタン

確認の画面で案件を選び、行を確かめてから積算(下書き)を作ります。手作業の拾い出しを置き換えるものではありませんが、面の多い図面で数量の当たりを付けるのに使えます。プランごとの機能の違いは料金プラン、試すときは無料で使い始めるから進めます。

明日の現地調査から使うチェックリスト

現地で測るもの

  • 外壁の外周の寸法(間口・奥行)
  • 軒の出とけらばの出(増築部分は別に)
  • 面ごとの勾配(下屋は別に測る)
  • 屋根材の種類(スレート・金属・セメント瓦・モニエル瓦・粘土瓦)。折板・瓦棒は製品名か山の形
  • 下屋・越屋根・バルコニーの有無と寸法
  • 破風・鼻隠しの見付幅、棟と雨押えの長さ

事務所でやること

  1. 軒の出・けらばの出を含めて、面ごとに水平投影を出す
  2. 勾配の係数を掛ける(3寸1.044・4寸1.077・5寸1.118・6寸1.166)
  3. 折板・瓦棒などは、展開幅 ÷ 働き幅を掛ける。スレートは掛けない
  4. 付帯部を長さで拾う。軒天は「屋根の水平投影 − 床」で、けらばの下は伸び率を掛ける
  5. カタログの書き方(1回あたりか合計か、原液か薄めた後か)を確かめ、面積 × 塗布量 × 回数 ÷ 1缶の量を切り上げる。ロスは足さない

社内で決めておくこと

  • 付帯部を㎡に直すルール(破風の見付幅、棟板金をmで拾うか㎡に直すか)
  • 折板・瓦棒に掛ける係数と、どこまで塗るか
  • 缶の端数の扱いと、調色品の控えを何缶にするか

この3点が担当ごとに違うと、同じ建物でも見積額が変わります。紙1枚でも書いて残す値打ちがあります。まずは手元の図面を1棟分、今までの手計算とこの手順で比べてみてください。差が軒の出なのか、係数なのか、塗布量の読み方なのかが分かれば、自社の拾い出しの癖が見えます。勾配の係数だけを見直したいときは、伸び率の早見表をまとめた記事も使えます。

屋根 伸び率を表すイメージ図 関連記事業務効率化・DX 屋根の伸び率早見表|4寸1.077・5寸1.118と計算式・隅棟伸び率 屋根の伸び率(勾配係数)とは、水平投影面積に掛けて実際の屋根面積を出す係数で、4寸1.077・5寸1.118・6寸1.166です。早見表と屋根の伸び率の計算式、隅棟伸び率、図面がないときの勾配の測り方を寄棟の例題で示します。 記事を読む
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