目次
- 足場の数量計算は「掛け面積」と「部材の数」の2段階で考える
- 掛け面積が見積りの金額を決める
- 部材の数まで出すのは、自社で組むとき
- 掛け面積の計算方法:国の基準は「外壁から1.0mの線」で数える
- 具体例:間口10m×奥行8mの切妻の住宅
- 高さの取り方だけで、㎡数はこれだけ変わる
- 面積計算でつまずきやすい5つの点
- くさび式足場の部材を拾い出す手順(本足場)
- スパンの割付
- 作業床の段数と支柱の長さ
- 支柱の位置は、内側と外側で数え方が違う
- 部材ごとの数と重さ(A型・4面とも本足場・作業床3段)
- 重さとトラックの台数
- 拾い出しを検算する3つの見かた
- 足場材一覧:部材の役割と数える単位
- メッシュシートは割付で数える
- 安全部材と養生材の拾い忘れを防ぐ
- 余裕の見方と、レンタル・在庫の数え方
- 単管足場・枠組足場との数え方の違い
- 枠組足場の数え方
- 単管足場の数え方
- 数量を決める前に確かめる法令と現場条件
- 無料の「足場材の数量計算」で割付・部材表・掛け面積を出す
- 積算に入れて見積りまでつなげる
- 積算から見積りを作る
- 図面から拾い出しを始める場合
- 明日からできること:足場の数え方を社内で1枚にそろえる
塗装や屋根の見積りに足場代を入れるとき、足場屋さんから届いた㎡数が自分の数量計算と合わず、どちらを信じればいいか迷ったことはありませんか。自社で足場を持っている会社なら、前の晩に部材を数え、当日の朝に「踏板が足りない」と気づいた経験もあると思います。
足場の数量計算は、見積りに使う「掛け面積」と、積み込みに使う「部材の数」の2つに分けると迷いません。この記事では、国の公共建築数量積算基準の掛け面積の数え方(外周+8m)と高さの取り方、くさび式の本足場の部材の数え方を、間口10m×奥行8mの住宅で順に追います。読み終えると、見積りの㎡数を自分で確かめられ、積み込みの前に部材の数と重さを出せるようになります。
足場の数量計算は「掛け面積」と「部材の数」の2段階で考える
同じ「数量」でも、使う相手で単位が違います。元請や施主に出す見積りは㎡、倉庫で積み込む職人は本と枚です。この2つを混ぜると、面積は出たのに材料が足りない、材料はそろったのに金額の根拠を説明できない、ということが起きます。
| 段階 | 出すもの | 使う場面 |
|---|---|---|
| 掛け面積 | 架面積(㎡) | 見積りの数量、足場屋さんへの発注、届いた見積りの確かめ |
| 部材の数 | 支柱・布材・踏板などの本数・枚数 | 自社倉庫からの積み込み、レンタルの手配 |
順番は「掛け面積 → 割付 → 作業床の段数 → 部材」です。面積は図面の外周と高さで出せますが、部材は割付と段数が決まらないと数が決まりません。この記事で扱うのは、戸建てや低層の建物に使うくさび式足場が中心です。吊り足場や大規模な足場は、計画の届出や強度の計算が絡むので扱いません。
掛け面積が見積りの金額を決める
足場の単価は㎡で出ることが多く、面積のずれはそのまま金額のずれになります。300㎡の現場で20㎡違えば、仮に㎡800円なら16,000円です。塗装の一式見積りに足場を含めるなら、このずれは自社の粗利から出ていきます。
費目は、面積で決まるものとそうでないものに分けておくと、工期が延びたときや追加の養生を頼まれたときに説明が楽です。
- 面積で決まる:足場の架け払い、メッシュシート
- 箇所数で決まる:昇降階段、開口部の補強、朝顔(落下物の防護)
- 現場ごとに決まる:運搬、駐車場代、近隣へのあいさつ、道路使用の許可の申請
部材の数まで出すのは、自社で組むとき
自社で足場材を持っている会社は、部材の数が出ないと、トラックを何台出すか、何をどこから借りるかが決まりません。
- 拾い出した数を部材ごとに一覧にする
- その期間に倉庫で空いている数と突き合わせる(ほかの現場に出ている分は引く)
- 足りない分だけレンタル会社に頼み、返す予定日も一緒に伝える
部材の数は、メーカーと製品で変わります。布材の長さ、支柱のコマの間隔、踏板の幅が違えば、同じ建物でも数は一致しません。自社の部材に合わせて数え方を決めてください。
掛け面積の計算方法:国の基準は「外壁から1.0mの線」で数える
見積書では、掛け面積を「掛㎡」「架㎡」「掛m2」と書いたり、口頭で「足場の平米」と呼んだりします。どれも、足場を架ける面の面積(㎡)のことです。
国土交通省の公共建築数量積算基準(令和5年改定)は、外部の本足場の数量を次のように決めています。
- 数量は「足場の中心の水平長さ」×「構築物等の上部までの高さ」の面積
- 足場の中心は、作業の幅を考えて、外壁面から1.0mの位置を標準とする
- いちばん上の安全手すりは、足場の水平長さ(m)で別に数える
- 一側足場は外壁面から0.5mの位置で、高さは上部までの高さに1.0mを足す
四角い建物なら、各面の足場の中心の線は両端で1.0mずつ長くなります。1面で2m、4面で8mなので、水平長さは「外周+8m」です。一側足場なら「外周+4m」です。
掛け面積(㎡・平米) =(外周 + 8m)× 高さ(四角い建物で、4面とも本足場のとき)
この+8mは、余裕を見た目安ではなく、基準の決まりどおりの数字です。実際の住宅の足場と比べると、離れ0.3m・梁間0.6mなら、内側の支柱の線は外周+2.4m、外側の支柱の線は外周+7.2mです。基準の線は、外側の支柱より少し外にあります。公共工事の基準なので民間の住宅で必ず使うものではありませんが、数え方をそろえる物差しとして役に立ちます。
高さは「構築物等の上部まで」です。住宅に当てはめると、軒側は軒の高さ、妻側は三角の部分の上まで、と面ごとに見るのが素直な読み方です。ただ、民間の見積りでの高さの取り方は、会社や元請によって違います。

具体例:間口10m×奥行8mの切妻の住宅
外壁は間口10m・奥行8m、軒の高さ6.5m、切妻屋根(4寸勾配)で、棟は10mの面と平行とします。妻側は8mの面です。棟の高さは、外壁から棟までの水平の距離4.0m(奥行8mの半分)に勾配0.4を掛けて、6.5 + 4.0 × 0.4 = 8.1m です。
手順1:足場の中心の長さを出す
- 軒側:10 + 1.0 × 2 = 12m(2面)
- 妻側:8 + 1.0 × 2 = 10m(2面)
- 合計:12 × 2 + 10 × 2 = 44m(外周36m + 8m)
手順2:面ごとに高さを掛ける
妻側は、四角い部分と三角の部分に分けると簡単です。三角は底辺8m・高さ1.6m(8.1 − 6.5)です。
| 面 | 計算 | 面積 |
|---|---|---|
| 軒側(2面) | 12m × 6.5m × 2 | 156.0㎡ |
| 妻側(2面) | (10m × 6.5m + 8m × 1.6m ÷ 2)× 2 | 142.8㎡ |
| 合計 | — | 298.8㎡ |
手順3:金額に置き換える
仮に架け払いが㎡800円なら、298.8㎡ × 800円 = 239,040円です。単価は地域・時期・工法で変わるので、自社の実際の単価に置き換えてください。基準どおりに数えるなら、いちばん上の手すり44mを別の行にします。メッシュシート・運搬・階段も、別の行で足していきます。
高さの取り方だけで、㎡数はこれだけ変わる
同じ家でも、高さをどこで取るかで掛け面積は大きく変わります。長さはどれも基準の44m(軒側12m・妻側10m)です。
| 高さの取り方 | 計算 | 掛け面積 |
|---|---|---|
| 軒側は軒の高さ、妻側は三角の上まで | 上の表のとおり | 298.8㎡ |
| 妻側の三角を入れ忘れた | 44m × 6.5m | 286.0㎡ |
| いちばん高い支柱で取る(軒側7.2m・妻側9.0m) | 12 × 7.2 × 2 + 10 × 9.0 × 2 | 352.8㎡ |
3つ目は、支柱を1.8m刻みで継ぎ、軒と棟の上まで手すりを出したときの高さで、面全体を数えた場合です。298.8㎡より54.0㎡多く、㎡800円なら43,200円の差になります。
足場屋さんの見積りと自分の計算が合わないときは、どちらが間違いと決める前に「どの線の長さで、どの高さで数えていますか」と聞いてください。相見積りを比べるときも、長さと高さの取り方をそろえてから並べます。内側の支柱の線(この例なら外周+2.4m)で数えた㎡数と、基準の線で数えた㎡数は、混ぜないでください。
面積計算でつまずきやすい5つの点
- 張り出しを外周に入れ忘れる:下屋・出窓・玄関ポーチ・バルコニーは、平面図で外周をペンでなぞると見落としが減ります
- 一側足場の面を本足場と同じに数える:一側は外壁から0.5mの線で、高さに1.0mを足します
- 足場を建てられない面を、そのまま引く:隣地が狭い面を別の方法にするなら、引いた分を別の費目で拾うかを先に決めます
- 屋根の作業を忘れる:屋根の工事(屋根足場)があるなら、外側の支柱を軒先から約0.9m上まで伸ばして手すりを付ける分、足場は高くなります。この家なら、軒側の高さを6.5mではなく7.2m(支柱の上端)で数えるかどうかを、見積りの相手と先に決めます。屋根の面の上に置く足場を別の行で数えるかは、国土交通省の公共建築数量積算基準の本文で確かめてください
- 工種を聞かずに出す:外壁の塗装・屋根の工事・外壁の張り替えで、要る高さと作業床の敷き方が変わります。「どの面の、どの高さで、誰が何をするか」を先に聞きます
くさび式足場の部材を拾い出す手順(本足場)
この例は、4面とも本足場(支柱が内側と外側の2列)で数えます。令和6年4月1日からは、幅が1m以上の場所で足場を使うときは、原則として本足場を使うことになりました。一側足場(支柱が1列)を使えるのは、原則として幅1m未満の場所です。住宅でも、本足場を前提に拾っておくと安全です。
くさび式足場には、コマ(くさびを打ち込む所)の間隔が450mmで1層1.8mのA型と、475mmで1層1.9mのB型があり、部材の互換はありません。ここではA型で、梁間(内側と外側の支柱の間)0.6m、離れ(外壁から内側の支柱まで)0.3m、1スパンに400幅の踏板1枚として数えます。拾い出しは次の順で進めます。
- 面ごとのスパンを割り付ける
- 作業床の段数と支柱の長さを決める
- 支柱の位置を数える(内側・外側・角)
- スパン×段で数える部材を出す
- 階段・メッシュシート・壁つなぎなどを足す
- 余裕を足して、重さとトラックを出す

スパンの割付
内側の支柱の線の長さは、外壁の長さに、両端の離れを足した長さです。これを1.8mのスパンを多く使い、その長さ以上でいちばん近い組み合わせで埋めます。
- 軒側:10 + 0.3 × 2 = 10.6m → 1.8m × 6 = 10.8m(6スパン)
- 妻側:8 + 0.3 × 2 = 8.6m → 1.8m × 4 + 1.5m = 8.7m(5スパン)
はみ出した0.2m・0.1mの分は、角の離れが少し広くなるだけです。割付は方眼紙に長方形を1つ描き、面ごとに「1.8×6」「1.8×4+1.5」と書き込めば十分です。この1枚が残っていれば、あとで数の根拠を説明できます。
作業床の段数と支柱の長さ
足場で「段数」と言うときは、①層(支柱のコマで決まる1.8m刻みの高さの区切り)、②作業床の段(踏板を敷く段)、③手すりの段(1つの作業床に付ける手すりの本数)の3つがあり、拾い出しではどれを数えるかを先に決めます。作業床の段数は、(軒の高さ − 1.8m)÷ 1.8m の小数を切り捨て、1を足すと出ます。この家なら(6.5 − 1.8)÷ 1.8 = 2.6 → 2、+1で3段です。
式のとおり、最上段の作業床を軒の1.8m下(6.5 − 1.8 = 4.7m)に置き、1.8mずつ下げます。3段の高さは4.7m・2.9m・1.1mです(後で紹介する無料ツールも同じ考え方で、下げる幅はA型1.8m・B型1.9mです)。コマの位置に合わせるため、ジャッキで0.2m上げます。支柱は、最上段の作業床に手すりと中桟を付けられる高さ(4.7 + 0.9 = 5.6m)までとし、ジャッキの上に3.6m + 1.8m = 5.4m を継ぎます。
ここでは話を分かりやすくするため、4面とも同じ高さで数えます。屋根の上で作業するときの軒の上の手すり(外側の支柱を軒先から約0.9m上まで伸ばす分)と、妻側の三角の部分(支柱を屋根なりに伸ばして手すりを足す分)は、この先の表に入っていません。
支柱の位置は、内側と外側で数え方が違う
内側の支柱は、建物をぐるりと囲む閉じた輪です。角の支柱は隣の面と共有するので、位置の数はスパン数の合計と同じです。
- 内側:6 + 5 + 6 + 5 = 22か所
外側は、角に梁間×梁間(0.6m×0.6m)の区画ができます。面ごとの支柱(スパン数+1)に、角の支柱を1本ずつ足します。
- 外側:(6 + 1)× 2 +(5 + 1)× 2 + 角4 = 30か所
合計52か所で、ジャッキと敷盤も52個ずつです。内側にも「(スパン数+1)×4面」を使うと、角を二重に数えてしまいます。
部材ごとの数と重さ(A型・4面とも本足場・作業床3段)
重さは、A型のヘイワビルダー(平和技研)のメーカー公開値で計算しています。
| 部材 | 数 | 数え方 | 重さ |
|---|---|---|---|
| 支柱 3.6m・1.8m | 各52本 | 支柱の位置52か所×各1本 | 1,086.8kg |
| ジャッキ | 52本 | 支柱の位置と同じ | 145.6kg |
| ブラケット(腕木) | 90個 | (面ごとの位置26+角4)×3段 | 243.0kg |
| 踏板 | 78枚 | (スパン22+角4)×3段 | 1,006.2kg |
| 外側の手すり・中桟 | 180本 | 外側のスパン30×3段×2本 | 698.4kg |
| 内側の手すり | 66本 | 内側のスパン22×3段×1本 | 306.0kg |
| 斜材 | 66本 | 角を除く外側のスパン22×3層 | 262.2kg |
| 幅木 | 90枚 | 外側のスパン30×3段 | 426.6kg |
| 合計 | — | — | 4,174.8kg |
面ごとの位置26は、各面の(スパン数+1)の合計です。外側のスパン30は、面ごとのスパン22に、角の区画の外側の2辺(0.6m)を4つの角で足した数です。長さの内訳は1.8mが20、1.5mが2、0.6mが8です。角の踏板とブラケットは、1段に4つずつ足しています。
重さとトラックの台数
この表だけで約4.2tです。最大積載量2,000kgのトラックなら3台、3,000kgなら2台で、1回に運べる計算です。実際には根がらみ・敷盤・階段・メッシュシートが加わり、屋根の作業があれば軒の上の手すりと妻側の三角の分も増えます。無料ツールの初期の設定(軒の上の手すり・根がらみ・敷盤・階段1か所あり)でこの切妻の家を計算すると、約4.9tでした(軒の出0で入力)。トラックの最大積載量は車検証で、部材の重さは自社の部材のメーカーの資料で確かめてください。
拾い出しを検算する3つの見かた
- 支柱の位置とジャッキの数をそろえる:内側22+外側30=52か所。ジャッキ・敷盤の数と合わなければ、角の数え方を疑います
- 踏板とブラケットを段数で割る:踏板78÷3段=26(スパン22+角4)、ブラケット90÷3段=30(面ごとの位置26+角4)。割り切れなければ、段数の数え違いです
- 外側の手すりと幅木を比べる:手すりが2段なら、外側の手すりは幅木のちょうど2倍(90×2=180)です
この検算を済ませてから、在庫と突き合わせます。順番が逆だと、間違った数のままレンタルを頼んでしまいます。
足場材一覧:部材の役割と数える単位
部材を役割で分けておくと、拾い忘れに気づきやすくなります。
| 分類 | 部材名 | 単位 | 数え方 |
|---|---|---|---|
| 支柱系 | 支柱 | 本 | 支柱の位置×継ぐ本数 |
| 支柱系 | ジャッキ・敷盤 | 本・枚 | 支柱の位置と同じ |
| 床系 | ブラケット(腕木) | 個 | 面ごとの位置×作業床の段(角を足す) |
| 床系 | 踏板 | 枚 | スパン×作業床の段×1スパンの枚数(角を足す) |
| 手すり系 | 外側の手すり・中桟 | 本 | 外側のスパン×作業床の段×段数 |
| 手すり系 | 先行手すり | 本 | 外側のスパン×作業床の段 |
| 手すり系 | 内側の手すり | 本 | 内側のスパン×作業床の段×段数 |
| 手すり系 | 斜材 | 本 | 外側のスパン×層 |
| 安全部材 | 幅木 | 枚 | 外側のスパン×作業床の段 |
| 安全部材 | 根がらみ | 本 | いちばん下で支柱どうしをつなぐ数 |
| 安全部材 | 階段 | 台 | 昇降口の数×作業床の段 |
| 安全部材 | 壁つなぎ | か所 | 垂直5m・水平5.5m以下の間隔で置いた数 |
| 安全部材 | メッシュシート | 枚 | 面ごとの割付(下記) |
メッシュシートは割付で数える
メッシュシートは幅1.8mで、長さは3.4m・5.1m・6.3mなどがあります。面ごとに「外側の線の長さ÷1.8」の列(切り上げ)と、「覆う高さ÷シートの長さ」の段(切り上げ)を掛けて数えます。
先の住宅で、外側の線は軒側12.0m(10.8+0.6×2)・妻側9.9m(8.7+0.6×2)、覆う高さは5.6mです。軒側は12.0÷1.8=6.7→7列、妻側は9.9÷1.8=5.5→6列です。
- 長さ5.1mのシート:5.6m÷5.1m→2段。(7+7+6+6)×2=52枚
- 長さ6.3mのシート:1段で足りるので26枚
張る面積は 12.0×5.6×2 + 9.9×5.6×2 = 245.28㎡ です。これを1枚9.18㎡(1.8×5.1)で割ると約27枚ですが、5.1mのシートで割り付けると52枚要ります。面積で割るだけでは足りなくなるので、枚数は割付で出し、シートの長さは覆う高さに合わせて選んでください。
安全部材と養生材の拾い忘れを防ぐ
- 幅木:作業床のある段の外側すべて
- メッシュシート:割付で枚数を出し、結束の紐も数える
- 朝顔:道路や隣家に面した所
- 開口部の補強:玄関・勝手口・車の出入口
- 昇降階段:作業床に上がる経路
- 敷板・敷盤:土の庭や駐車場の端など、沈みそうな所
現地調査では、道路までの距離、隣家の窓やカーポート、電線、エアコンの室外機や給湯器の位置を写真で残します。電線に近い面は防護管が要り、電力会社への連絡も必要になります。
余裕の見方と、レンタル・在庫の数え方
一律に1割増しにするより、部材ごとに備えるほうが無駄がありません。
- 端の調整に使う短い布材(1.2m・0.9m・0.6m)は多めに積む
- ジャッキは段差の調整で足りなくなりやすいので、数本余分に持つ
- くさびのピンなどの小物は、数に関係なく箱で持っていく
在庫と突き合わせる表は「部材名・必要数・在庫数・レンタル数」の4列で足ります。在庫数は倉庫の総数ではなく、その期間に空いている数です。レンタルは日数で費用がかかるので、見積りに足場の設置期間を書き、延びたときの扱いを決めておきます。塗装なら、雨で工期が延びることは十分ありえます。持ち出した数を出発時に記録し、返すときに同じ表で数え合わせると、紛失や破損の費用を追えます。
部材の呼び方は、地域とメーカーで違います。布材を「手すり」「ヨコ地」、踏板を「布板」「アンチ」と呼ぶ会社もあります。社内で1つに決めておくと、頼み間違いが減ります。
単管足場・枠組足場との数え方の違い
| 工法 | 数える単位 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| くさび式 | 支柱の位置、スパン×段 | 戸建て・低層の塗装や外壁の工事 |
| 枠組 | 建枠の枚数 | 高さがあり、資材を載せる現場 |
| 単管 | パイプの本数とクランプの数 | 狭い所、部分的な足場、形の変わった所 |
同じ建物でも、工法が変われば㎡単価も部材の数も変わります。相見積りを比べるときは、工法・本足場か一側か・手すりの段数・作業床の敷き方をそろえて並べてください。単価が安い見積りが、一側足場や手すり1段を前提にしている場合があります。
枠組足場の数え方
枠組足場は、建枠(鳥居の形の枠)を並べて積み上げます。
- 建枠:(面ごとのスパン数+1)×層数(角のつなぎ方で増減します)
- 交差筋かい:外側に付けるなら、外側のスパン数×層数。2本が交差した1組を「1組」と数えます
- 布枠(床付き布枠):スパン数×作業床の層数×1スパンの枚数
- ジャッキ:いちばん下の建枠1枚につき2本
- 階段枠・手すり枠:要る所ごとに数える
層の高さは建枠の高さで決まるので、くさび式の段数をそのまま使わないでください。玄関や車の出入口では建枠を抜いて梁枠で受けるので、抜いた建枠を減らし、梁枠を足します。
単管足場の数え方
単管足場は決まった部材の組み合わせではないので、パイプの長さの合計から考えます。
- 建地の本数:外周を建地の間隔(桁行1.85m以下)で割る。本足場なら内外2列で×2
- 建地の長さの合計:建地の本数×高さ(継ぎの重なりを足す)
- 布の段数:高さを段の間隔で割る
- 布の長さの合計:列の長さ×段数×列数。腕木を足す
- 手持ちのパイプの長さに割り振る
クランプは、パイプが交わる所ごとに1個です。長い布は何本もの建地と交わるので、「布の本数×2」では足りません。直交クランプは「建地の本数×布の段数」に腕木の分を足した数が目安です。筋かいは自在クランプで留めるので、種類別に数えます。
数量を決める前に確かめる法令と現場条件
数量は、満たす決まりが決まってから確定します。足場の主な決まりは次のとおりです。条文はe-Gov法令検索で労働安全衛生規則を確かめてください。
- 本足場の原則:令和6年4月1日から、幅1m以上の場所では原則として本足場を使う
- 作業床:幅40cm以上、床材のすき間3cm以下(労働安全衛生規則第563条)
- 手すり:枠組足場以外(くさび式・単管など)は、高さ85cm以上の手すりと、35〜50cmの中桟
- 幅木など:物が落ちて危険なおそれがあるときは、高さ10cm以上の幅木、メッシュシートなど
- 点検:令和5年10月1日から、点検する人をあらかじめ指名し、組み立てなどのあとの点検では、点検した人の名前も記録して残す
- 人の決まり:高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更は、足場の組立て等作業主任者を選ぶ。作業する人には特別教育が要る
- 届出:高さ10m以上で、組み立てから解体まで60日以上の足場は、工事を始める30日前までに労働基準監督署へ計画を届け出る
改正の内容は、厚生労働省の足場からの墜落防止対策を強化しますにまとまっています。社内に古い一覧表や手控えが残っていれば、この機会に見直してください。判断に迷う現場は、労働基準監督署や所属する団体に聞くのが早い場合もあります。
数量のほかに見積りに効く現場の条件も、現地調査で一緒に拾います。
- 地盤:土・砂利・アスファルトで、敷板の量が変わる
- 道路:道路使用の許可、通行人の動線、誘導員の要否
- 近隣:隣家との距離、越境の可否、あいさつ回りの範囲
- 搬入:トラックを止められる場所、手で運ぶ距離
- 電線:引込線や電線の防護の要否
無料の「足場材の数量計算」で割付・部材表・掛け面積を出す
ここまでの計算は電卓でもできます。ただ、角の区画や妻側の三角、下屋まで入れると、数える所が一気に増えます。サイトボード(SITE BOARD)の無料ツール「足場材の数量計算」は、住宅のくさび式足場(A型・B型)の割付から、部材表・重さ・トラックの台数・掛け面積までを一度に出します。登録なしでも使えます(1日に使える回数に上限があります)。
足場材の数量計算
外壁の長さと軒の高さから、くさび式足場(A型・B型)のスパンの割付、支柱・布材・踏板などの部材表、合計の重さとトラックの組み合わせ、架面積まで自動で計算。長方形・L字・コの字・台形などの形と下屋にも対応し、手すりの段数・幅木(鋼製・木製)・面ごとの本足場/一側も選べます。現場記入シート(PDF)付き。
ツールを使う
入れるものは次のとおりです。
- 建物:上から見た形(長方形・L字・コの字・凸型・クランク・台形・隅切り)を絵から選び、図の番号の面の長さ、軒の高さ(地面から軒先まで)、軒の出、屋根の形と勾配、下屋
- 足場:製品(A型・B型の4製品から)、梁間、踏板、離れ、面ごとに「本足場・一側・掛けない」
- 手すり・斜材・幅木・根がらみ・敷盤・メッシュシート・階段・余裕と、持っているトラックの最大積載量と台数
初期の設定は、面はすべて本足場、外側の手すり2段、内側の手すり1段、軒の上の手すり1段、斜材あり、鋼製の幅木、根がらみ・敷盤・メッシュシートあり、階段1か所(アルミ)、余裕なしです。製品・梁間・踏板・離れと寸法は、空欄から選んで入れます。
計算すると、平面の割付図、面ごとのスパン、立面図と作業床の高さ、支柱の継ぎ方、部材表、合計の重さ、トラックの組み合わせ、掛け面積が出ます。架面積(掛け面積)の数え方は「国交省」(外壁から1.0m・一側は0.5m)が初期値で、「足場の外側の線」「自社の数え方((外周+○m)×(軒の高さ+○m))」にも切り替えられます。この記事の家を軒の出0で入れると、「国交省」で300.4㎡と出ます。ツールは妻側の高さを足場の位置ごとの屋根の端の高さで平均するので、手計算の298.8㎡と少し違います。
現場で寸法を書き込む「現場記入シート(PDF)」も、形ごとに出せます。結果は印刷やPDFにでき、結果のリンクから開き直せます。
SITE BOARD の会員は、結果の「保存する」で会社の結果として残せます。権限「積算」がある人は「積算に取り込む」を押すと、積算の新規作成画面が、見出し「仮設足場工事」と次の行が入った状態で開きます。
- くさび式足場 架け払い(労務費・掛け面積の㎡)
- メッシュシート(材料費・㎡)、昇降階段(材料費・か所)
- 足場材 運搬(経費・台。トラックを入れて組み合わせが出たとき)
- 「部材ごとの行も入れる」にチェックしたときは、部材表の数(材料費)
どの行にも「根拠」(数量の出し方)が入り、単価(原価)は空欄です。本登録(ご契約)の会社は、図面や写真から寸法をAIで読み取って入力欄に入れる機能も使えます。
積算に入れて見積りまでつなげる
サイトボードの積算は、サイドバー「施工管理」>「積算」にあります。一覧の右上の「数量計算ツール」は、無料ツールの一覧を別のタブで開くボタンです(スマホの幅では出ません)。取り込みは、そこから開いたツールの結果の画面で行います。

積算の明細は、すべて原価で入れます。取り込んだあと、案件を選び、単価を入れて「登録する」を押します。案件を選ばないと保存できません。

費目は「材料費」「労務費」「外注費」「経費」から選びます。足場の場合、次のように分けると実際のお金の流れと合います。
- 足場屋さんに丸ごと頼む:外注費に1行(数量は掛け面積の㎡)。ツールから取り込んだ架け払いの行は労務費で入るので、費目を外注費に直す
- 自社で組む:レンタル料と部材は材料費、組立・解体の手間は労務費、運搬は経費
- メッシュシート:材料費
「根拠」の列は読むだけの欄で、手では書けません。値が入るのは、図面からのAI拾い出しと、無料ツールから取り込んだときです。手で入れた積算の数量の出し方は、「備考(社内用)」に「基準の線で44m・軒側6.5m、妻側は三角まで・298.8㎡」のように書いておくと、あとから追えます。備考は見積りには引き継がれません。
労務費の行があると、その合計から「法定福利費の目安」が出ます(手間代×16.4%。令和8年度の全国の目安)。「法定福利費を明細に追加」を押すと、明細の最後に1行入ります。外注費の行は、手間代に入りません。

健康保険料率が都道府県で違うため、率は会社によって少し変わります。建設国保や健康保険組合に入っている会社は、追加した行の金額を直してください。積算は仕入の原価が見える画面なので、「設定」>「ユーザー管理」で権限「積算」を配る相手は、原価を見せてよい人に絞ってください。
積算から見積りを作る
足場だけで見積りを出すことは少なく、塗装や屋根と一緒にまとめることが多いはずです。「+ 見出し行を追加」で「足場工事」「外壁塗装工事」と見出しを分け、それぞれの下に明細を並べ、「+ 小計行を追加」で小計を出すと、内訳が読みやすくなります。品名の欄は、見出し行なら過去の見出し、明細行ならその見出しの下で使った明細が候補に出ます。

編集画面の上部で利率(初期値20%)を入れ、「見積り(下書き)を作成」を押すと、原価 ×(1 + 利率)の単価で見積りの下書きができます。積算の状況は自動で「見積作成」に変わります。小計行は見積りに引き継がれないので、必要なら見積り側で入れ直してください。引き継がれるのは保存済みの内容なので、編集の途中なら先に「更新する」を押します。似た家が続くときは、一覧の「複製」で前回の積算を下地にして、数量だけ差し替えると早く済みます。
図面から拾い出しを始める場合
図面が手元にあるときは、一覧の右上「図面からAI拾い出し」から始められます(C+AIプラン)。

PDF・JPG・PNGの図面を選び、必要なら「拾い出しの指示(任意)」に工事の目的や欲しい項目を書いて「拾い出し開始」を押します。項目と数量が費目付きで出たら、確認の画面で案件を選び(必須)、行を直してから「この内容で積算(下書き)を作成」を押します。「資材費」マスタと同じ品と判断した行には仕入単価が入ります。ほかの行の単価は自分で入れ、数量と根拠を図面と見比べて確かめてください。
同じ案件に「○○様邸 概算」「○○様邸 実行予算」のように積算を2つ作り、件名で見分ける使い方もできます。案件の編集画面の「積算・見積り」の区切りを開くと、その案件の積算と見積りが並んで見えます。受注後の売上・原価・粗利は、案件の「集計」で見られます(管理者と、「売上・粗利」の権限がある人だけ)。
明日からできること:足場の数え方を社内で1枚にそろえる
足場の数量計算でいちばん困るのは、計算そのものより「人によって答えが違う」ことです。基準の線で数える人と内側の支柱の線で数える人、手すりを2段で拾う人と1段で拾う人が同じ会社にいると、見積りが安定しません。次の項目を1枚にまとめておくと、誰が拾っても近い数になります。
- 掛け面積の長さの線(基準の外壁から1.0mか、足場屋さんの数え方か)と、高さの取り方
- 本足場か一側か、手すりの段数、幅木の有無
- 部材ごとの余裕の見方
- 面積に入れない所(建てられない面など)の扱い
明日は、次の3つから始めてみてください。
- 手元にある足場の見積りを1枚出し、外周と高さから掛け面積を自分で出して、長さの線と高さの取り方を確かめる
- いつもの足場屋さんに「どの線で、どの高さで数えていますか」と聞き、社内の1枚に書く
- 自社で組んだ現場は、実際に使った部材の数と拾い出した数を比べる。3〜5件たまると、余裕が多すぎるか足りないかが見えてくる
無料の数量計算ツールと積算は、無料で使い始めるから試せます。メールアドレスに届いた認証コードを入れ、初期設定で会社名・お名前・パスワードを入れると使い始められます。機能とプランの対応は料金プランで確かめてください。屋根面積の拾い方は、次の記事にまとめています。
屋根の伸び率早見表|4寸1.077・5寸1.118と計算式・隅棟伸び率
屋根の伸び率(勾配係数)とは、水平投影面積に掛けて実際の屋根面積を出す係数で、4寸1.077・5寸1.118・6寸1.166です。早見表と屋根の伸び率の計算式、隅棟伸び率、図面がないときの勾配の測り方を寄棟の例題で示します。
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