目次
- 作業員名簿の社会保険欄は「名称」「下4桁」「適用除外」の3種類で書く
- 3つの欄に書く内容の早見表
- 差し戻しが多い3つのパターン
- 社会保険欄を書く前に作業員から集めておく情報
- 保険証と雇用保険被保険者証のどこを見るか
- 作業員に聞くときの確認メモの作り方
- 健康保険欄の書き方と記入例
- 協会けんぽ・健康保険組合・建設国保・国民健康保険の書き分け
- 後期高齢者などで「適用除外」と書く場合
- 年金保険欄の書き方と記入例
- 厚生年金と国民年金の書き分け
- 年金を受け取っている人は「受給者」と書く
- 雇用保険欄の書き方|被保険者番号の下4桁と適用除外
- 被保険者番号の下4桁の拾い方
- 事業主・役員・短時間の人は「適用除外」、日雇は「日雇保険」
- 65歳以上の作業員も雇用保険の対象になる
- 働き方別の社会保険欄の記入例
- 5つの働き方ごとの記入例
- 組み合わせが合わないと元請に聞かれる例
- 提出前に見る差し戻しチェックリスト
- 1欄ずつ確認する10項目
- 保険に入っていない作業員がいるとき
- 保険欄の調べ直しをなくす|作業員マスタから作業員名簿に流し込む
- 作業員マスタに1回入れておくと名簿と新規入場者調査票に入る
- サイドバー「書類管理」>「安全書類」で名簿を出す手順
- 明日からできること
新しい現場が決まるたびに、作業員名簿の社会保険の欄で手が止まっていませんか。元請に出したあとで「雇用保険の欄が違います」と戻され、夜に保険証のコピーを見直した方も多いと思います。健康保険・年金保険・雇用保険の3欄に何を書くかを、早見表と働き方別の記入例にまとめました。読み終えれば、確認の電話や差し戻しを受けにくい名簿を1回で仕上げられます。
作業員名簿の社会保険欄は「名称」「下4桁」「適用除外」の3種類で書く
保険欄の書き直しが続く原因の多くは、3つの欄で書く中身の種類が違う点にあります。健康保険と年金保険の欄には、加入している保険の「名称」を書きます。雇用保険の欄だけは、名称ではなく「被保険者番号の下4桁」を書きます。この違いを押さえるだけで、差し戻しの多くは防げます。
例外は、決まった言葉で表します。
- 加入していない正当な理由がある人は「適用除外」と書きます
- 年金をすでに受け取っている人は、年金保険欄に「受給者」と書きます
「適用除外」になる代表例は2つです。1つは、75歳以上で後期高齢者医療に移った人の健康保険欄です。もう1つは、社長や役員の雇用保険欄です。日雇労働被保険者の雇用保険欄には「日雇保険」と書きます。
まとめると、どの欄も次の3つのどれかで埋まります。
- 保険の名称(協会けんぽ、厚生年金など)
- 雇用保険の被保険者番号の下4桁
- 決まった言葉(適用除外・受給者・日雇保険)
正しく書いた名簿では、空欄になる保険欄はありません。
細かな書き方は、全建統一様式第5号の記入要領に従います。上段・下段のどちらに書くかといった位置も、記入要領で決まっています。ただし、元請が独自の書き方を指示している場合はそちらを優先してください。元請から配られる「安全書類の作成要領」に、保険欄の書き方が載っていることもあります。
3つの欄に書く内容の早見表
記入例の番号は、すべて架空のものです。
| 欄 | 通常書く内容 | 例外の書き方 | 記入例 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 加入している健康保険の名称(協会けんぽ・健康保険組合・建設国保・国民健康保険) | 後期高齢者医療に移った人などは「適用除外」 | 協会けんぽ/建設国保/適用除外 |
| 年金保険 | 厚生年金 または 国民年金 | 年金を受け取っている人は「受給者」 | 厚生年金/国民年金/受給者 |
| 雇用保険 | 被保険者番号の下4桁 | 事業主・役員など対象外の人は「適用除外」。日雇労働被保険者は「日雇保険」 | 6175/適用除外/日雇保険 |
表の言葉は、記入要領の言い方にそろえています。健康保険組合の人は、組合の正式名称を書くよう元請から指示されることもあります。指示が無ければ「健康保険組合」で通る場合が多いです。
差し戻しが多い3つのパターン
1つ目は、空欄のまま出してしまうケースです。書き手は「対象外だから空けた」つもりでも、元請からは「未加入なのか、書き忘れなのか」が分かりません。その結果、確認の電話が来ます。対象外なら「適用除外」と書けば、電話は来なくなります。
2つ目は、雇用保険の番号を全桁書くケースです。様式が求めているのは下4桁だけです。全桁を書くと、個人情報の出し過ぎとして書き直しを求められる場合があります。
3つ目は、働き方と保険の組み合わせが合わないケースです。たとえば法人の社員なのに「国民健康保険・国民年金」と書いてある名簿です。元請は未加入を疑い、理由を聞いてきます。組み合わせの見方は、後の「働き方別の社会保険欄の記入例」で詳しく扱います。
社会保険欄を書く前に作業員から集めておく情報
保険欄で手が止まる原因は、書き方よりも、手元に情報がないことの方が多いです。夜に名簿を開いてから作業員に電話をかけても、相手は保険証を手元に持っていないことがあります。そうなると、その日のうちに名簿を仕上げられません。
1人あたり確認するのは、次の3点だけです。
| 確認すること | 名簿のどの欄に使うか | 見るもの |
|---|---|---|
| 健康保険の種類 | 健康保険欄 | 保険証の保険者名 |
| 年金の種類と、受け取っているか | 年金保険欄 | 本人への確認、会社の加入記録 |
| 雇用保険の被保険者番号 | 雇用保険欄 | 被保険者証、資格取得等確認通知書 |
この3点がそろっていれば、名簿の保険欄は5分もかからずに書けます。
ただし、一度集めれば終わりではありません。次のような変化があった人は、保険が変わるので確認し直します。
- 新しく雇った人:前の会社の健康保険や、国民健康保険のままになっていることがあります
- 年齢が上がった人:70歳で厚生年金の加入は原則終わり、75歳で後期高齢者医療に移ります。65歳前後で年金を受け取り始める人もいます
- 役員になった人:原則として雇用保険の対象外になり、雇用保険欄が「適用除外」に変わります
- 独立して一人親方になった人:健康保険・年金・雇用保険の3欄がすべて変わります
年齢による変化は、誕生日を過ぎた最初の現場で見落としやすい点です。作業員の一覧に生年月日を入れておき、新しい名簿を作る前に年齢の節目を見る習慣をつけると、書き漏れを防げます。
保険証と雇用保険被保険者証のどこを見るか
健康保険の種類は、保険証の「保険者名称」の欄で見分けます。
- 「全国健康保険協会 ○○支部」と書いてあれば、協会けんぽ
- 「○○健康保険組合」と書いてあれば、健康保険組合
- 名称に「建設」と「国民健康保険組合」が入っていれば、建設国保の場合が多い
- 「○○市」「○○区」など市区町村名であれば、市区町村の国民健康保険
従来の保険証が新しく発行されなくなったため、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」を持っている人もいます。これらにも保険者名が載っているので、同じように確かめられます。
雇用保険の被保険者番号は、「雇用保険被保険者証」や「資格取得等確認通知書」に載っています。被保険者証は、本人ではなく会社が保管していることもよくあります。本人が「持っていない」と言うときは、入社時に会社でした手続きの書類を確認してください。
取り違えが多いのは、下4桁をどの番号から取るかです。健康保険証の記号・番号の下4桁を書いてしまう例がよくあります。年金手帳や基礎年金番号通知書の番号を使ってしまう例もあります。基礎年金番号は「4桁-6桁」の形で、雇用保険の番号と見た目が似ているので注意が必要です。雇用保険欄に使うのは、雇用保険の被保険者番号だけです。
作業員に聞くときの確認メモの作り方
聞く内容は、次の3問だけを1枚にまとめます。
- 健康保険はどれですか(□協会けんぽ □健康保険組合 □建設国保 □市区町村の国民健康保険 □後期高齢者医療)
- 年金を受け取っていますか(□はい □いいえ)。「いいえ」の人は □厚生年金 □国民年金
- 雇用保険の被保険者番号(-_-)。入っていない人は理由(□事業主 □役員 □週20時間未満 □日雇)
聞く項目を3問に絞ると、作業員は休憩中にでも書けます。
集める段取りは、職長経由で一度にまとめるのが楽です。朝礼のあとや入場前に、職長がメモを配ります。保険証を見ながら書いてもらい、その日のうちに回収します。事務所から1人ずつ電話をかけるより、手間も聞き漏れも減ります。

集めた情報は、名簿ごとではなく作業員ごとに保管します。名簿に書き込んだだけで終わらせると、次の現場でまた同じことを聞くことになります。作業員ごとの台帳やファイルに残しておけば、次の名簿はそこから写すだけで済みます。保険の番号は個人情報なので、保管場所は鍵のかかる棚など、見られる人を限った場所にしてください。
健康保険欄の書き方と記入例
健康保険欄には、その作業員が加入している健康保険の名称を書きます。記入例は次のとおりです。
- 協会けんぽ
- 健康保険組合
- 建設国保
- 国民健康保険
- 適用除外(後期高齢者医療に移った人など)
表記は、記入要領の言い方にそろえます。「全国健康保険協会」のような正式名称でも意味は通ります。ただし、名簿の中で人によって書き方がばらばらだと、元請の担当者が読み比べにくくなります。1冊の名簿の中では、「協会けんぽ」なら全員「協会けんぽ」と、同じ言い方にそろえてください。
建設国保に入っている人は、事情が会社ごとに違う点に注意が必要です。法人の社員は、本来は協会けんぽか健康保険組合に入ります。ただ、年金事務所で健康保険の適用除外の承認を受けて、建設国保に入り続けている会社もあります。この承認を受けているかどうかは、会社の状況によって異なります。自社がどちらに当たるかは、社会保険の手続きを担当している人か、社会保険労務士に確かめてください。
協会けんぽ・健康保険組合・建設国保・国民健康保険の書き分け
判断の基準は、保険証の保険者名です。働き方からの推測で書かないようにします。
| 保険証の保険者名 | 健康保険欄に書く名称 | よくある働き方 |
|---|---|---|
| 全国健康保険協会 ○○支部 | 協会けんぽ | 法人の社員・役員 |
| ○○健康保険組合 | 健康保険組合 | 業界や大きな会社の健保に入っている法人の社員 |
| 建設業の国民健康保険組合 | 建設国保 | 一人親方、個人事業主とその従業員、承認を受けた法人の社員 |
| ○○市・○○区など | 国民健康保険 | 一人親方、個人事業主とその従業員 |
法人の社員は、協会けんぽか健康保険組合のどちらかであることが多いです。どちらかは、会社が加入している先で決まります。
建設国保は国民健康保険組合の一つです。それでも、市区町村の国民健康保険とは分けて書きます。どちらも「国民健康保険」と書くと、元請からは市区町村の国保に見えます。すると、社員なのに国保になっている理由を聞かれることがあります。
「社保」「国保」のような略記は、元請によっては受理されません。「社保」では協会けんぽか健康保険組合かが分かりません。「国保」では建設国保か市区町村の国保かが分からないためです。名称で書けば、こうしたやり取りは起きません。
後期高齢者などで「適用除外」と書く場合
75歳以上の人は、それまでの健康保険から後期高齢者医療制度に移ります。この人たちの健康保険欄には「適用除外」と書く扱いです。協会けんぽや国民健康保険の名称を書くと、実際の加入状況と合わなくなります。
ただし、年齢だけで決めないでください。一定の障害がある人は、75歳になる前に後期高齢者医療に移っている場合があります。逆に、誕生日の前後で切り替わりの途中ということもあります。本人の保険証が「後期高齢者医療被保険者証」(またはそれに代わる資格確認書)かどうかで確かめます。
「適用除外」と書く位置は、様式の記入要領に従います。上段・下段のどちらに書くかで迷ったら、元請の作成要領や、過去に受理された名簿を見てください。それでも分からなければ、元請の担当者に「健康保険欄の適用除外はどの段に書けばよいか」と聞いてください。そう聞けば一度で答えが返ってきます。
年金保険欄の書き方と記入例
年金保険欄には、加入している年金の名称を書きます。書く言葉は、基本的に次の2つです。
- 厚生年金
- 国民年金
年金をすでに受け取っている人は、名称の代わりに「受給者」と書きます。
年金保険欄は、健康保険欄と組み合わせて確認します。協会けんぽの人は厚生年金、市区町村の国民健康保険の人は国民年金、という組み合わせが基本です。健康保険欄と年金保険欄がその人の働き方と合っているかを、1行ずつ見てください。年金欄だけを見て書くと、組み合わせの食い違いに気づけません。
厚生年金と国民年金の書き分け
法人の社員と役員は、厚生年金が基本です。社長1人だけの法人でも、社長は厚生年金に入ります。
注意したいのは、建設国保の人です。健康保険の適用除外の承認を受けて建設国保に入っている法人の社員は、年金は厚生年金に入っています。そのため「建設国保・厚生年金」という組み合わせになります。健康保険欄が建設国保だからといって、年金も国民年金だと決めつけないでください。
個人事業主本人と一人親方は、国民年金になる場合が多いです。個人事業主に雇われている従業員も、常時5人未満の事業所であれば国民年金になる場合が多いです。
「加入」「有」「○」だけの記入は、差し戻されやすい書き方です。厚生年金か国民年金かが分からず、元請が加入状況を確かめられないからです。年金保険欄には、名称を書いてください。
年金を受け取っている人は「受給者」と書く
高齢の作業員で、老齢年金を受け取っている人は「受給者」と書きます。障害年金などほかの年金を受け取っている人も、記入要領では「受給者」と書く扱いです。
受給の有無は、本人に確かめてください。65歳を過ぎていても、年金の受け取りを遅らせている人がいます。反対に、年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている人もいます。年齢や見た目からは判断できません。確認メモの「年金を受け取っていますか」の問いが、ここで役に立ちます。
受給しながら厚生年金に加入している人を「受給者」と書くか「厚生年金」と書くかは、元請によって指示が違う場合があります。「厚生年金(受給者)」のように両方を書くよう求める元請もあります。初めての元請なら、作成要領を確かめてください。
「受給者」と書いた人で起きやすいのが、健康保険欄の書き漏れです。年金欄を埋めた安心感から、健康保険欄を空けたまま出してしまう例があります。年金を受け取っている人も、健康保険には必ず何らかの形で入っています。名称か「適用除外」のどちらかを書いてください。
雇用保険欄の書き方|被保険者番号の下4桁と適用除外
雇用保険欄には、加入している人なら被保険者番号の下4桁を書きます。名称は書きません。「雇用保険」「加入」と書いても、元請は加入を確かめられないからです。
全桁ではなく下4桁だけを書くのは、個人情報を必要以上に出さないためです。作業員名簿は、元請や上位の会社など何社もの手を通ります。下4桁あれば加入していることは確かめられるので、それ以上の番号は求められていません。
加入していない人は、理由によって書き分けます。
- 事業主・役員・週20時間未満の人など、雇用保険の対象外の人は「適用除外」
- 日雇労働被保険者は「日雇保険」
被保険者番号の下4桁の拾い方
雇用保険の被保険者番号は、「4桁-6桁-1桁」のハイフン区切りで、全部で11桁です。書くのは、ハイフンを除いて数字だけを並べたときの、最後の4桁です。
架空の番号で例を示します。
| 被保険者証の番号 | ハイフンを除いた数字 | 雇用保険欄に書く4桁 |
|---|---|---|
| 3108-204617-5 | 31082046175 | 6175 |
| 5203-118842-7 | 52031188427 | 8427 |
| 4417-092305-3 | 44170923053 | 3053 |
1行目の番号では、真ん中の6桁の最後「4617」を書いてしまう間違いが多いです。最後の1桁「5」は、4桁に含めます。先頭の「3108」を書くのも誤りです。最後の1桁まで含めて、うしろから4つ数えてください。
ただし、元請によって拾い方の指示が違う場合があります。初めて取引する元請では、作成要領や記載例を確かめます。同じ元請に過去に受理された名簿があれば、その書き方に合わせるのが確実です。
事業主・役員・短時間の人は「適用除外」、日雇は「日雇保険」
雇用保険は、雇われて働く人のための保険です。そのため、次の人は対象外になり「適用除外」と書きます。
- 個人事業主本人
- 一人親方
- 法人の役員(原則)
法人の役員でも、部長などを兼ねて従業員として働いている実態があれば、対象になる場合があります。これは会社の状況によって異なるため、ハローワークで確認するのが確実です。
所定労働時間が週20時間未満の人も、雇用保険の対象外です。週に1〜2日だけ手伝いに来る人などが当たります。この基準は改正で変わる予定があるので、最新の条件は厚生労働省やハローワークの公式情報で確かめてください。
日雇労働被保険者は「日雇保険」と書きます。どの欄に書くかは、記入要領で指示があります。番号を書く場所に書けばよいのか、別の欄に書くのかを、様式の記入要領で確かめてから書いてください。
65歳以上の作業員も雇用保険の対象になる
2017年1月から、65歳以上の人も雇用保険の適用対象になりました。それ以前は、65歳以上で新しく雇われた人は対象外でした。その頃の感覚で、年齢だけを見て「適用除外」と書いてしまう例があります。
65歳以上の作業員がいたら、会社が雇用保険の加入手続きをしているかを確かめます。加入していれば、ほかの社員と同じように下4桁を書きます。役員や週20時間未満など、年齢以外の理由で対象外であれば「適用除外」です。
加入していないのに条件に当てはまる人がいる場合は、手続きが漏れているおそれがあります。詳しい加入条件は、厚生労働省やハローワークの公式情報で確認してください。
働き方別の社会保険欄の記入例
同じ様式でも、働き方によって3欄の組み合わせは変わります。協力会社の名簿には、社員・役員・一人親方・高齢の作業員が1冊に並ぶことも珍しくありません。働き方ごとの型を覚えておくと、1行ずつ迷わずに書けます。
記入例の番号は、すべて架空のものです。表の組み合わせは代表例であり、実際の加入状況は会社の状況によって異なります。必ず本人の保険証や会社の加入記録で確かめてから書いてください。
5つの働き方ごとの記入例
| 働き方 | 健康保険 | 年金保険 | 雇用保険 |
|---|---|---|---|
| 法人の社員 | 協会けんぽ | 厚生年金 | 6175 |
| 法人の役員 | 協会けんぽ | 厚生年金 | 適用除外 |
| 個人事業主の従業員(常時5人未満) | 国民健康保険 または 建設国保 | 国民年金 | 8427 |
| 一人親方 | 国民健康保険 または 建設国保 | 国民年金 | 適用除外 |
| 75歳以上で年金受給中の人 | 適用除外 | 受給者 | 3053(会社で加入している場合) |
表の読み方を補足します。
- 法人の社員:健康保険は会社の加入先で、協会けんぽか健康保険組合になります
- 法人の役員:健康保険と年金は社員と同じです。雇用保険だけが原則「適用除外」になります
- 個人事業主の従業員:常時5人未満の事業所は、健康保険と厚生年金の加入が義務ではありません。このため国民健康保険か建設国保、国民年金になる場合が多いです。雇用保険は従業員を雇っていれば対象になるので、下4桁を書きます
- 一人親方:雇われていないので、雇用保険は「適用除外」です
- 75歳以上で年金受給中の人:健康保険は後期高齢者医療に移っているので「適用除外」です。雇われて週20時間以上働いていれば、雇用保険に入っている場合があります
組み合わせが合わないと元請に聞かれる例
元請が保険欄を見るとき、1欄ずつではなく、3欄の組み合わせと働き方を合わせて見ています。
いちばん疑われやすいのは、法人の社員なのに「国民健康保険・国民年金」になっている場合です。法人は原則として健康保険と厚生年金の適用事業所です。この組み合わせだと、会社が社会保険に加入していないのではないかと受け取られます。単なる書き間違いでも、確認の電話が来ます。
一方で、「建設国保・厚生年金」の組み合わせは、正当な場合があります。健康保険の適用除外の承認を受けて、建設国保に入り続けている法人の社員です。元請もこの事情を知っていることが多いですが、念のため説明できるようにしておきます。
ほかに聞かれやすい組み合わせは次のとおりです。
- 70歳前後なのに年金欄が「厚生年金」で、受給の有無が分からない
- 社員なのに雇用保険が「適用除外」になっている
- 75歳以上と分かる生年月日なのに、健康保険欄が協会けんぽのまま
説明が必要な組み合わせは、提出時に一言添えると確認の電話が減ります。たとえばメールの本文に「3番の山田は健康保険の適用除外の承認を受けて建設国保に加入しています」と書いておきます。元請の担当者は名簿を見たときに理由が分かるので、問い合わせをせずに済みます。
提出前に見る差し戻しチェックリスト
保険欄は、提出前に1人ずつ見直すだけで差し戻しの多くを防げます。見る順番は、健康保険→年金保険→雇用保険と、欄の並びどおりにします。順番を決めておくと、何人分見ても抜けが出にくくなります。
チェックは、名簿を印刷する前に行うのがおすすめです。PDFを画面で開いて確認すれば、直したい箇所が見つかってもすぐに元のデータを直せます。印刷してから間違いに気づくと、刷り直しと押印のやり直しで手間が倍になります。
元請が保険欄を細かく見るのには理由があります。国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、元請が作業員名簿を使って、作業員の保険加入を確認する流れになっています。名簿は元請にとって、下請の作業員が適切な保険に入っているかを確かめる書類です。ガイドラインの本文は、国土交通省のサイトで名称を検索すると確認できます。
1欄ずつ確認する10項目
- 健康保険・年金保険・雇用保険の3欄に、空欄が1つもない
- 「社保」「国保」「有」「加入」「○」などの略記になっていない
- 健康保険の名称が、保険証の保険者名と合っている
- 建設国保と市区町村の国民健康保険を書き分けている
- 年金保険欄が「厚生年金」「国民年金」「受給者」のどれかになっている
- 雇用保険欄が4桁だけで、全桁を書いていない
- その4桁が雇用保険の被保険者番号の最後の4桁で、健康保険証や基礎年金番号の番号と取り違えていない
- 健康保険欄が「適用除外」の人は、後期高齢者医療の保険証を持っているなど、理由が年齢と合っている
- 雇用保険欄が「適用除外」の人は、事業主・役員・週20時間未満など、理由が役職や働き方と合っている
- 前の現場の名簿を使い回していて、退職者が残っていたり、保険が変わった人の情報が古いままだったりしない
10番は、使い回しのときに特に見落としやすい項目です。前の名簿をコピーして日付だけ変えると、役員になった人の雇用保険欄に下4桁が残ったりします。75歳になった人の健康保険欄が協会けんぽのまま、ということも起きます。名簿を作るたびに、作業員ごとの最新の情報から写し直してください。
保険に入っていない作業員がいるとき
確認していくと、本来入るべき保険に入っていない作業員が見つかることがあります。その場合でも、空欄にしたり事実と違う名称を書いたりしてごまかさないでください。加入状況をそのまま書いて、元請に相談します。
偽った記入は、あとで保険証の確認などで分かったときに、会社の信用を大きく損ないます。正直に相談すれば、加入手続き中であることを伝えるなど、元請と対応を話し合えます。
元請によっては、適切な保険に入っていない作業員の現場入場を認めない扱いがあります。入場日が迫っているなら、早めに相談するほど選べる手が増えます。
加入手続きの詳細は、公式の窓口で確認してください。健康保険と厚生年金は年金事務所、雇用保険はハローワークが窓口です。国民健康保険と国民年金は市区町村の窓口、建設国保は加入している組合が窓口になります。
保険欄の調べ直しをなくす|作業員マスタから作業員名簿に流し込む
保険欄の中身は、作業員ごとにほとんど変わりません。山田さんが協会けんぽ・厚生年金・6175なら、どの現場の名簿でも同じです。それなのに現場が変わるたびに名簿を一から作り、保険証のコピーを探して書き直していないでしょうか。この手間は、作業員の情報を1か所にまとめておけば減らせます。
SITE BOARD(サイトボード)では、作業員マスタに登録した情報から作業員名簿を作れます。氏名・フリガナ・資格・保険・健康診断は、作業員マスタから名簿に入ります。前の章の「確認メモ」で集めた3点を作業員マスタに入れておけば、次の現場から保険欄を手で書く必要がなくなります。
名簿づくりに夜の時間を取られている方は、こうした方法も1つの選択肢です。手書きやExcelで回っている会社なら、無理に変える必要はありません。
作業員マスタに1回入れておくと名簿と新規入場者調査票に入る
作業員名簿のタブで現場に入る作業員にチェックを付けると、作業員マスタの情報から名簿ができます。保険欄の調べ直しは要りません。

上の画面が作業員マスタの一覧です。社員と協力会社の作業員を分けて見られ、年齢や書類の期限も一覧で確かめられます。
同じ作業員の選択で、新規入場者調査票も入力なしで1人1枚出せます。氏名・生年月日・住所・緊急連絡先なども作業員マスタから入るので、調査票を別に書き起こす必要はありません。
事業所の名称・所長名・一次会社名・事業者ID・退職金共済制度の加入・提出日は、画面上部の「共通項目」から入ります。作業員ごとに入れるのは、名簿に載せる順番と、新規入場年月日・受入教育実施年月日の日付だけです。名簿の受入教育実施年月日は、新規入場時等教育実施報告書の実施日にも入ります。
サイドバー「書類管理」>「安全書類」で名簿を出す手順
- サイドバー「書類管理」>「安全書類」を開き、いちばん左の「作業員名簿」タブを選びます
- 「氏名・職種で絞り込み」で作業員を探し、現場に入る人にチェックを付けます
- 下に出る「名簿に載せる順番」で、▲▼ を押して並べ替えます。この順で様式の番号が付きます
- 新規入場年月日と受入教育実施年月日を、「まとめて入れる」で選んだ人全員に入れます
- 「保存する」を押します
- 「PDF」で開き、前の章のチェックリストで保険欄を確かめます
- 問題がなければ「メールで送信」で元請へ送ります

画面の上が共通項目のカード、その下が書類ごとのタブです。左端の「作業員名簿」タブから作業を始めます。
つまずきやすいのは、5番の保存です。PDFは保存した内容から作られます。日付を直したあとに保存せずPDFを開くと、直す前の内容が出てしまいます。
Excelのダウンロードは、本登録(ご契約)後に使えます。無料期間中は、PDFの表示・ダウンロード・メール添付で名簿を出せます。
名簿のほかの欄の書き方は、次の記事にまとめています。
作業員名簿の書き方と記入例|全建統一様式第5号を欄ごとに解説
作業員名簿の書き方を、全建統一様式第5号の欄ごとに記入例つきで解説します。健康保険・年金・雇用保険の書き分け、一人親方や高齢者の書き方、保険番号や技能者ID、※印の付け方まで分かり、元請からの差し戻しを減らせます。
記事を読む
明日からできること
- まず3点を1枚に集める:自社の作業員全員について、健康保険・年金・雇用保険番号を確認メモで集めます。朝礼で職長から配れば、1日で回収できます
- 今回の名簿をチェックリストで見直す:集めた情報と照らして、10項目を1人ずつ確かめます。特に雇用保険の4桁と、空欄・略記を見てください
- 次の現場から手入力を減らす:作業員マスタから名簿を作る方法を試したい方は、無料で使い始めるページから始められます。料金は料金プランで確認できます
新規入場者調査票や再下請負通知書など、ほかの安全書類の書き方はコラム一覧から探せます。