目次
- 作業員名簿の書き方でつまずくのは保険欄と資格欄の2か所
- 社員1人分の記入例
- 作業員名簿(全建統一様式第5号)は誰が何のために出す書類か
- 提出のタイミングと、更新が必要になる場面
- 名簿1枚を書き上げるまでの順番
- 様式の上部:事業所の名称・所長名・会社名・提出日
- 職種・立場の欄と※印(現場代理人・作業主任者・職長・安全衛生責任者)
- 本人の情報:雇入年月日・生年月日と年齢・現住所・家族連絡先
- 健康診断・血圧・特殊健康診断の欄
- 健康保険・年金保険・雇用保険の3つの欄の書き分け
- 保険番号を集めるときの手順とつまずき
- 一人親方・役員・高齢の作業員の書き方
- 建設業退職金共済と、教育・資格・免許の欄
- 入場年月日・受入教育実施年月日・技能者IDの欄
- 差し戻しの多い5つと、その場での直し方
- 提出前の見直しリストと、次から書き写さないための備え
作業員名簿(全建統一様式第5号)の書き方を、様式の欄の並びどおりに記入例つきで説明します。すぐ次の節で、社員1人分の全欄を埋めた記入例を先に示します。差し戻しが多いのは保険欄と資格欄の2か所です。急ぎの方は「健康保険・年金保険・雇用保険の3つの欄の書き分け」と「差し戻しの多い5つと、その場での直し方」だけ読めば足ります。一人親方・65歳以上・役員の書き方、雇用保険番号の下4桁、技能者IDの扱いも欄ごとに扱います。
作業員名簿の書き方でつまずくのは保険欄と資格欄の2か所
作業員名簿が元請から戻ってくる理由は、だいたい2つに集約されます。健康保険・年金保険・雇用保険の書き分けと、教育・資格・免許欄の書きすぎ・書き漏れです。住所や生年月日で差し戻されることは、ほとんどありません。
先に結論を書きます。
- 保険欄は、加入している「制度の名称」を書く欄と「番号」を書く欄が別です。番号は雇用保険の被保険者番号の下4桁を求められる運用が多く、桁数や書き方は元請の指定に従います
- 資格欄は、持っている資格を全部書く欄ではありません。その現場でやる作業に必要なものに絞ると、枠にも収まり、内容も通りやすくなります
この2か所さえ自社の型を決めてしまえば、名簿づくりは写しの作業になります。というのも、作業員名簿は現場ごとに出しますが、現場が変わって書き直すのは「新規入場年月日」「受入教育実施年月日」「職種」くらいだからです。氏名、フリガナ、生年月日、現住所、家族連絡先、保険、健康診断、資格は、その人が変わらないかぎり同じ内容を写しているだけです。
社員1人分の記入例
職長として屋根の現場に入る社員1人を例にすると、名簿の1行は次のようになります。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 職種 | 屋根工 |
| 氏名 | 山田 太郎(職長・安全衛生責任者の印を付ける) |
| 生年月日・年齢 | 1980年5月1日・45歳 |
| 健康保険 | 健康保険(協会けんぽ) |
| 年金保険 | 厚生年金 |
| 雇用保険 | 被保険者番号の下4桁 |
| 健診日・血圧 | 2025年10月1日・128/82 |
| 教育・資格・免許 | 玉掛/足場組立/職長・安責 |
| 新規入場年月日・受入教育実施年月日 | 2026年4月10日・同日 |
各欄の詳しい書き方と、一人親方・高齢者の場合は以下の節で説明します。
安全書類全体の流れ(どの書類を誰がいつ出すか、請負契約書との関係)は別の記事にまとめてあります。この記事は、名簿の欄の中身だけに絞って書きます。
作業員名簿の作成手順と工事請負契約書|建設会社の書類管理ガイド
作業員名簿の作成や工事請負契約書、協力会社への注文書づくりに夜まで追われていませんか。案件から書類をつないで入力を1回で済ませる手順、全建統一様式第5号の出し方、印紙税額の確認まで、事務担当がその日から試せる流れをまとめました。
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作業員名簿(全建統一様式第5号)は誰が何のために出す書類か
作業員名簿は、元請が「いま現場に誰が入っているか」を把握するための名簿です。目的は主に2つあります。1つは、無資格の人に就業制限のかかった作業をさせないこと。もう1つは、持病や高齢、健康診断の未受診といった健康面の配慮漏れを防ぐことです。だから元請は、資格欄と年齢、健診日をよく見ます。
なお、労働基準法で事業場ごとに作成と保存が求められている「労働者名簿」とは別の書類です。労働者名簿は自社で保管する法定帳簿、作業員名簿は現場ごとに元請へ出す安全書類で、記載する項目も目的も異なります。労働者名簿の記載事項は、厚生労働省の公表資料で確認してください。
位置づけとしては、労働安全衛生法にもとづく元請(特定元方事業者)の統括管理の一環です。下請各社が、自社が現場に入れる作業員分を作って提出します。二次下請なら、自社の作業員分は自社が作り、直近上位の一次会社を通して元請へ上げます。三次が入るなら、三次も自社分を作ります。他社の作業員を自分の名簿にまとめて書くことはしません。
あわせて、建設業法にもとづく施工体制台帳の添付書類として扱われる場合もあります。どこまで求めるかは元請の運用で幅があり、「作業員名簿は建退共の加入状況まで記入」「一人親方は労災特別加入証の写しを添付」といった指定が現場説明で出ることがあります。1現場目の書類説明のときに、この運用を聞いてメモしておくと後が楽です。
なお、施工体制台帳や作業員名簿を含む安全書類の様式・記載の考え方は、国土交通省が公開している「建設業法令遵守ガイドライン」や施工体制台帳関係の資料にまとまっています。元請の指定と自社の理解が食い違ったときは、こうした一次情報で確かめると話が早く済みます。
提出先は元請、または直近上位の会社です。期限は入場日の数日前を指定されることが多く、「入場3日前まで」「前週の金曜まで」といった形で言われます。新規入場者の教育や受付の段取りがあるため、当日持参では受け付けてもらえない現場もあります。
様式は全国建設業協会(全建)の統一様式第5号です。元請から配られたエクセルのファイルがあるなら、それをそのまま使ってください。見やすくしようとして列を足したり、自社のロゴを入れたレイアウトに作り替えたりすると、元請側のチェックの手順と合わなくなり、かえって戻されます。
提出のタイミングと、更新が必要になる場面
一度出したら終わり、ではありません。次のときは差し替えが必要です。
- 応援や新人が増えて、新規入場者が追加になったとき
- その人の職種が変わったとき(例:手元から鳶へ)
- 資格を新たに取った、または期限が切れたとき
- 健康診断を受け直したとき
- 作業員がその現場から抜けたとき
見落としやすいのが健康診断です。定期健康診断は年1回以上が原則のため、名簿の健診日が提出日から1年以上前だと、元請から指摘が入りやすくなります。長期の現場では、年度替わりや健診の受診後に名簿を出し直す運用をとっている会社が多い印象です。
退場した人を名簿に残したままにするのも避けてください。緊急時の人数確認が合わなくなりますし、元請の入退場管理とも食い違います。抜けた人は次の差し替えで外します。
名簿1枚を書き上げるまでの順番
欄ごとの説明に入る前に、作業の順番を決めておくと迷いが減ります。次の順で埋めるのがおすすめです。
- 現場説明の資料から、事業所の名称・所長名・提出期限・番号の桁数の指定を書き写す
- 台帳から、その現場に入る人を選んで並べる(職長を先頭にすると見やすい)
- 職種と※印を決める(職長・安全衛生責任者・作業主任者)
- 印を付けた人の資格欄を先に書く(枠に入るかをここで確認)
- 保険・健診・技能者IDなど、台帳から写す欄を埋める
- 教育の実施日を決め、受入教育実施年月日と入場日を入れる
- 提出日を入れ、日付の並びと印・資格の突き合わせを見直す
3と4を先にやるのが肝心です。あとから印を付けると資格欄の書き直しが発生し、狭い枠に手書きで詰め込むはめになります。
様式の上部:事業所の名称・所長名・会社名・提出日
名簿の上部は、そもそも誰が誰に出す名簿なのかを示す欄です。ここを自社の情報で埋めてしまう間違いが、意外と多いところです。
事業所の名称は、元請の作業所名を書きます。自社名ではありません。「○○様邸 屋根葺き替え工事作業所」のように、元請が現場説明で示した正式な作業所名をそのまま書きます。分譲地や団地のように似た現場名が並ぶ工事では、区画番号まで含めた表記で統一してください。
所長名は、元請の作業所長の氏名です。分からないまま空欄で出すと、ほぼ確実に戻ってきます。現場説明の資料か、元請の担当者への電話で確認します。「様」を付けるかどうかは様式の印字によります。すでに「殿」が印字されているなら、氏名だけを書きます。
会社名の欄は次数で分かれます。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 一次会社名 | 自社が二次以下のときに、上にいる一次下請の会社名 |
| ○次会社名 | 自社の会社名。○に自社の次数(1次、2次…)を入れる |
| 事業者ID | 建設キャリアアップシステムの会社側のID。登録していれば記入 |
| 現場ID | 元請から現場IDを示された場合に記入 |
自社が一次下請のときは、一次会社名の欄に自社名を書く運用が一般的ですが、元請によっては空欄指定のこともあります。ここは最初に確認しておくと、以後迷いません。代表者印や社判を押すかどうかも元請ごとに違います。押印不要の現場が増えていますが、「社判だけ押してほしい」と言われることもあります。
事業者IDと現場IDは、登録や指定が無ければ空欄で構いません。建設キャリアアップシステムに登録していない会社が、番号を推測して書くようなことは避けてください。
提出日は、元請へ出す日を書きます。よくあるつまずきが、前回の名簿を写したときに提出日だけ古いまま残るパターンです。提出日が入場日より後になっていると、「入場前に出していない」ことになってしまいます。日付は、提出日 ≦ 受入教育実施年月日 ≦ 新規入場年月日、の並びになるのが自然です。この3つの前後関係は、出す前に必ず目で追ってください。
職種・立場の欄と※印(現場代理人・作業主任者・職長・安全衛生責任者)
職種の欄には、その現場で実際にやる作業を書きます。屋根工、大工、電工、鳶工、塗装工、内装工、解体工といった書き方です。「作業員」「従業員」だけだと、元請は何の作業に入る人か判断できず、差し戻しの対象になりやすくなります。1人が複数の作業に入るなら「鳶工(足場)」のように補足します。
氏名の欄に付ける印が、もう1つのポイントです。全建統一様式第5号には、現場代理人・作業主任者・職長・安全衛生責任者などの立場を、氏名の横に決められた印で示す方式があります。印の種類(※、◎、○など)と対応する立場は様式の欄外に凡例として書かれています。様式の版によって凡例が違うことがあるので、元請から配られた様式に書かれている凡例のとおりに付けてください。手元の古い様式の記憶で付けると、意味が食い違います。
実務で多いのは、職長と安全衛生責任者を1人が兼ねるパターンです。この場合は、該当する印を両方付けます。片方だけだと、安全衛生責任者が誰なのか元請が特定できません。
作業主任者の印は、選任が必要な作業があるときだけ付けます。たとえば足場の組立て等、地山の掘削、型枠支保工の組立て、石綿の取扱いなど、法令で選任が定められた作業です。自社の工事にそうした作業が無いのに作業主任者の印が付いていると、「この現場で何の作業主任者か」と確認が入ります。
印と資格欄は、必ず突き合わせてください。ここが食い違うと、差し戻しではなく現場で作業を止められることがあります。
| 氏名欄に付ける立場 | 資格欄に必要な記載の例 |
|---|---|
| 職長・安全衛生責任者 | 職長・安全衛生責任者教育 |
| 作業主任者(足場) | 足場の組立て等作業主任者技能講習 |
| 作業主任者(石綿) | 石綿作業主任者技能講習 |
提出前の見直しでは、印が付いている人の行だけを横に読み、資格欄に対応する講習名が入っているかを確かめます。3人しか印が付いていなければ、確認は3行で終わります。逆に、職長教育を受けたばかりの人に印を付け忘れているケースもあります。新しく職長になった人がいる月は、特に注意して見てください。
本人の情報:雇入年月日・生年月日と年齢・現住所・家族連絡先
雇入年月日は、その人を自社に雇い入れた日です。現場への入場日ではありません。ここを入場日と取り違えると、経験年数と合わなくなり、元請から質問が来ます。一人親方の場合は雇用関係がないため、自分の事業の開始日を書くか空欄とし、元請の指示に従います。
年齢は、提出日時点で計算します。前回の名簿を写して使うと、ここだけが古いまま残りがちです。たとえば1965年4月10日生まれの人は、2026年3月1日の提出なら60歳です(2025年4月10日に60歳、次の誕生日はまだ先)。台帳から名簿を作るときは、前回の提出から誕生日をまたいだ人だけを拾って直すと早く済みます。
元請が年齢を見ているのには理由があります。18歳未満は年少者としての就業制限があり、高さのある場所での作業や一定の機械の運転などが法令で制限されています。60歳以上、とくに高齢の作業員については、作業内容や休憩の取り方への配慮が必要になります。年齢の書き間違いは、安全上の判断を狂わせます。
現住所は、住民票どおりの表記で書きます。番地はハイフンで省略せず、アパート名と部屋番号まで入れてください。緊急時に家族と連絡がつかない場合、この住所が頼りになります。引っ越しの多い職種では、名簿を作るタイミングで本人に一声かける習慣をつけると確実です。
家族連絡先は、「氏名(続柄)+電話番号」の形が使いやすい書き方です。
- 例:山田 花子(妻) 090-0000-0000
- 同居で住所が同じ場合:山田 花子(妻・同住所) 090-0000-0000
この形にしておくと、新規入場者調査票の緊急連絡先欄へ転記するときにそのまま使えます。続柄が空欄だと、緊急時に「この人は誰か」が分かりません。独身で近隣に身内がいない人は、本人に確認して実家や兄弟の連絡先を書いてもらいます。
最後に扱いの話をします。作業員名簿は、住所・生年月日・家族の連絡先が並んだ個人情報の塊です。元請へ渡すときは封入するか、指定の方法(現場のポータル、指定アドレスへのメールなど)で送ります。他社の作業員と一緒に置いたまま現場事務所の机に放置しない、社内の控えは施錠した棚か、見られる人を絞った場所に保管する。この2点だけでも、事故はかなり防げます。安全書類まわりの扱いについては書類・安全管理の記事一覧もあわせてご覧ください。
健康診断・血圧・特殊健康診断の欄
健康診断の欄は、元請が現場で止める判断をするときに見る欄です。書く内容は3つあります。
健康診断日には、直近の定期健康診断を受けた日を書きます。入社して間もなく、雇入時の健診しか受けていない人は、その受診日を書きます。ここで多い間違いが、健診結果の用紙に書かれた「判定日」や「発行日」を写してしまうことです。受診した日を書いてください。
血圧は、健診結果の数値をそのまま最高/最低の形で書きます。例:138/86。空欄のまま出すと指摘されやすい欄です。高血圧の人を排除するための欄ではなく、暑熱環境での作業や高所作業の配慮判断に使われます。健診結果が手元にない場合は、本人に結果票の写しを持ってきてもらうのが結局いちばん早い方法です。
特殊健康診断の欄は、全員が書く欄ではありません。法令で定められた有害業務に従事する人だけが、健診の種類と受診日を書きます。おおまかには次のような業務が対象になります。
| 作業の例 | 関係する健診 |
|---|---|
| 塗装・防水などで有機溶剤を扱う | 有機溶剤等健康診断 |
| 解体・はつり・トンネルなど粉じん作業 | じん肺健康診断 |
| 石綿を取り扱う作業 | 石綿健康診断 |
| 鉛を扱う作業 | 鉛健康診断 |
騒音作業については、行政の指針にもとづく健康診断を実施している会社があります。法定の特殊健診とは根拠が異なるため、名簿に書くかどうかは元請の指定に合わせてください。
自社の作業が特殊健診の対象になるかどうかは、実際にやっている業務の中身で決まります。屋号や工種名では決まりません。たとえば同じ「塗装工事」でも、使う塗料と作業場所によって有機溶剤健診の要否は変わります。判断に迷うときは、厚生労働省が出している資料を確認するか、産業医、または所轄の労働基準監督署に相談してください。名簿を書く段階で自己判断で「対象外」としてしまうのが、いちばん危ない進め方です。
それから順序の話です。健診日が1年以上前になっている人を見つけたら、名簿の日付を新しく書き換えるのではなく、受診の段取りを先に組んでください。名簿の日付だけ新しくしても、現場で健診結果の写しを求められた時点で止まります。健診の予約が入場日に間に合わないなら、元請に事情を伝えて相談するほうが、結果的に早く入れます。年1回の健診を「名簿の期限」として社内カレンダーに入れておくと、この慌ただしさは減ります。
健康保険・年金保険・雇用保険の3つの欄の書き分け
ここが本題です。まず整理します。この3つはそれぞれ別の制度で、様式では「加入している制度の名称を書く欄」と「番号を書く欄」が分かれています。名称の欄に番号を書いたり、番号の欄に「加入」と書いたりすると戻されます。
健康保険の欄には、次のいずれかを書きます。
- 健康保険(協会けんぽ、または健康保険組合に加入している場合)
- 国民健康保険
- 建設国保(建設国民健康保険組合)
- 適用除外(75歳以上で後期高齢者医療制度の対象になっている場合など)
年金保険の欄は、次の3つのどれかです。
- 厚生年金(会社で加入している)
- 国民年金(一人親方や、厚生年金の適用がない場合)
- 受給者(老齢年金を受けている人)
雇用保険の欄は、被保険者番号の下4桁を書く運用が一般的です。日雇いの人は「日雇保険」、法人の役員や一人親方など雇用関係がない人は「適用除外」と書きます。被保険者番号は雇用保険被保険者証に記載されています。番号が分からないと言われたら、入社時に渡した証か、ハローワークで交付された書類を確認してもらいます。
番号を何桁書くか、健康保険や年金の番号も書かせるかは、元請の指定で変わります。下4桁だけの現場もあれば、記号・番号の一部を求める現場もあります。1現場目の書類説明のときに聞いて、社内の記入ルールとして残してください。毎回考え直す手間がなくなります。
主な4パターンの記入例を並べます。
| 区分 | 健康保険 | 年金保険 | 雇用保険 |
|---|---|---|---|
| 社員(40歳) | 健康保険(協会けんぽ) | 厚生年金 | 被保険者番号の下4桁 |
| 一人親方(45歳) | 建設国保 または 国民健康保険 | 国民年金 | 適用除外 |
| 65歳以上で年金受給中 | 健康保険 または 国民健康保険 | 受給者 | 被保険者番号の下4桁(雇用されている場合) |
| 法人の役員 | 健康保険 | 厚生年金 | 適用除外 |
この表は一般的な運用の例です。実際の加入状況は人それぞれ違いますから、必ず資格確認書などの保険の書類と、雇用保険被保険者証で確認してから書いてください。「たぶん国保だろう」で書くのがいちばん危ない進め方です。
保険番号を集めるときの手順とつまずき
作業員名簿の保険番号の欄は、本人に聞いてもすぐ出てこないことが多い欄です。次の3点をそろえておけば、あとは台帳から写すだけになります。
| 欄 | 確認する書類 | 台帳に控える形 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 資格確認書・資格情報のお知らせ(紙の健康保険証は2024年12月に新しい発行が終了) | 制度名(協会けんぽ・建設国保など) |
| 年金保険 | 年金手帳・基礎年金番号通知書・年金証書 | 厚生年金/国民年金/受給者 |
| 雇用保険 | 雇用保険被保険者証 | 被保険者番号の下4桁 |
雇用保険の被保険者番号は、被保険者証に「1234-567890-1」のような4桁・6桁・1桁の11桁で印字されています。名簿で「下4桁」と指定された場合は、ハイフンを除いた末尾の4桁(この例なら「8901」)を書く運用が一般的です。末尾1桁を含めるかどうかなど数え方に迷うときは、元請に確認してください。番号の構成そのものは、厚生労働省やハローワークが公表している雇用保険の資料で確かめられます。
集めるときのコツは、名簿を作る直前ではなく、入社時と現場の切れ目に写真を撮っておくことです。スマートフォンで被保険者証を1枚撮り、台帳に番号だけ打ち込んでおけば、次からは現物を探す必要がありません。撮った画像は誰でも見られる場所に置かず、保管場所を決めてください。
つまずきやすいのは次の3つです。
- 健康保険の記号・番号をそのまま保険番号の欄に書いてしまう … 様式で番号を求められているのは雇用保険であることが多く、元請の指定を先に確認します
- 転職してきた人の雇用保険被保険者番号が前職のまま分からない … 雇用保険被保険者証は原則として前職から本人へ渡っています。見つからない場合はハローワークで確認してもらいます
- 同じ人の番号が現場ごとに違って書かれている … 台帳に1か所だけ正を置き、名簿はそこから写す形にすれば起きません
一人親方・役員・高齢の作業員の書き方
一人親方は、雇用関係がないため雇用保険は「適用除外」です。健康保険は国民健康保険か建設国保、年金は国民年金となる場合が多くなります。加えて、一人親方には元請の労災保険が適用されません。そのため元請から、労災保険の特別加入をしているかどうか、加入団体名と番号を確認されることがあります。加入証の写しの添付を求める現場もあるので、名簿を出す前に本人に確認しておきましょう。特別加入していない一人親方を現場に入れない、と決めている元請も珍しくありません。
一人親方の名簿の書き方では、もう1つ確認しておく点があります。その人が請負で働いているのか、実態として自社の指示で働いているのかという区別です。実態が労働者に近い場合、雇用の扱いや保険の書き方が変わります。会社の状況によって異なりますので、判断に迷うときは社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に相談してください。
法人の役員は、労働者ではないため雇用保険は「適用除外」です。会社で社会保険に入っていれば、健康保険と厚生年金を書きます。役員が現場に出る会社では、役員自身の労災の扱い(中小事業主等の特別加入)についても元請から聞かれることがあります。
65歳以上で老齢年金を受けている人は、年金欄に「受給者」と書く運用が多く見られます。雇用されて働いている場合、雇用保険の被保険者になりますので、雇用保険欄は下4桁を書きます。
75歳以上になると後期高齢者医療制度の対象です。健康保険欄は「適用除外」または制度名を書きます。どちらの書き方を求めるかは元請によって異なるため、迷ったら確認してください。
外国人の作業員がいる場合は、在留カードで在留資格と在留期限を確認します。名簿への氏名の書き方(ローマ字表記か、通称名か、併記か)も元請の指定に合わせます。技能実習や特定技能の場合、別の届出や確認書類を求められることがあります。
建設業退職金共済と、教育・資格・免許の欄
退職金共済の欄は、建退共・中退共・その他・無から、加入している制度に◯を付けます。これは作業員個人ごとというより、会社としての加入状況に合わせる欄です。自社が建退共に加入しているなら建退共に◯、加入していないなら無に◯です。会社の加入状況と食い違うと、施工体制台帳や再下請負通知書に書いた内容とずれて、まとめて指摘されます。
教育・資格・免許の欄は、とにかく狭い欄です。様式の1つの欄に入るのは、おおよそ4行、1行あたり全角5文字程度しかありません。持っている資格を全部書こうとすると、必ずあふれます。あふれた文字は印刷時に切れるか、極端に小さくなって読めなくなります。
書く優先順位を決めておくと迷いません。
- その現場でやる作業に必要な就業制限業務の資格(技能講習など)
- その作業に必要な特別教育
- 職長・安全衛生責任者教育(職長として入る人)
- 余白があれば、その他の資格
たとえば屋根の葺き替えで、足場に上がって荷揚げもする職長なら、次のような書き方になります。
- 玉掛
- 足場組立
- 職長・安責
- 高所作業車
この4行で、全角にして16文字分です。1行あたり最大5文字、4行の枠に収まる計算になります(2文字+4文字+5文字+5文字=16文字)。略記は社内でそろえておいてください。「足場組立」「足場特別」「足場組立て等特別教育」と人によって書き方が変わると、元請のチェックで引っかかります。よく使う略記の例を挙げます。
| 正式な名称 | 名簿での略記例 |
|---|---|
| 玉掛け技能講習 | 玉掛 |
| フォークリフト運転技能講習 | フォーク |
| 足場の組立て等作業従事者特別教育 | 足場組立 |
| 職長・安全衛生責任者教育 | 職長・安責 |
| 高所作業車運転技能講習 | 高所作業車 |
| 石綿取扱い作業従事者特別教育 | 石綿 |
工種ごとに「最低限これは載せる」という組み合わせを決めておくと、人によるばらつきが消えます。目安の例は次のとおりです。
| 工種 | 資格欄に優先して載せるもの |
|---|---|
| 屋根・板金 | 玉掛、足場組立、職長・安責 |
| 塗装 | 有機溶剤、足場組立、職長・安責 |
| 解体・改修(石綿あり) | 石綿、玉掛、職長・安責 |
| 内装・軽天 | 足場組立、丸のこ、職長・安責 |
資格証の番号や有効期限は、名簿には書かない運用が一般的です。ただし、元請によっては資格証の写しの添付を求められます。玉掛けや車両系建設機械など、実際に使う資格の証だけでも、スマートフォンで撮った写真を社内に保管しておくと、急に求められたときに慌てません。
そして、前の節で触れた突き合わせです。※印などで作業主任者や職長を示した人の行に、対応する講習の記載があるか。提出前に必ず見直してください。印だけ付いていて資格欄が空、資格欄には書いてあるのに印が無い。この2つが、資格欄まわりの差し戻しの大半です。
入場年月日・受入教育実施年月日・技能者IDの欄
日付が3つ並ぶこの部分は、他の書類との整合が問われます。
新規入場年月日は、その人がその現場に初めて入る日です。毎日の出面ではありません。応援で1日だけ入る人も、その日を書きます。
受入教育実施年月日は、新規入場時の教育を行った日です。入場日と同日、または前日になるのが普通です。ここで重要なのは、新規入場時等教育実施報告書(全建統一様式第7号)の実施日と一致させることです。名簿では4月10日、報告書では4月9日、というずれは元請のチェックで必ず見つかります。教育の実施日を先に決めてから、両方の書類に同じ日付を入れる順番で作業してください。
複数人をまとめて入場させるときは、教育もまとめて1回で行うことが多いはずです。その場合は全員の受入教育実施年月日が同じ日になります。1人だけ日付が違っていたら、その人は別日に教育した人か、書き間違いのどちらかです。
技能者IDは、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録した技能者が持つ番号です。本人のカードの券面に記載されています。書くときは、券面の表記をそのまま写してください。数字を1桁読み違えただけで、名簿の不備として戻ってきます。台帳に一度正確に登録しておけば、以後の写し間違いはなくなります。
未登録の人は空欄でよい現場が多いのですが、元請によっては登録を求められます。公共工事や大手ゼネコンの現場では、入場までに登録を済ませるよう指示されることもあります。登録には時間がかかりますから、「次に入る現場で求められそうだ」と分かった時点で動き始めてください。
CCUSの就業履歴の蓄積を求められる現場では、名簿に書いたIDと本人のカードが一致している必要があります。よくあるつまずきが、同姓同名の別人のIDを台帳に登録してしまっているケースと、カードを紛失して再発行した際にIDの控えを更新していないケースです。現場でカードをタッチしても履歴が残らない、という形で表面化します。
日付とIDの整合を、提出前に次の順で確認すると早く済みます。
- 受入教育実施年月日 = 教育実施報告書の実施日か
- 受入教育実施年月日 ≦ 新規入場年月日 になっているか
- 提出日 ≦ 受入教育実施年月日 になっているか
- 技能者IDは、カードの券面と一字一句同じか
差し戻しの多い5つと、その場での直し方
元請から電話が来る内容は、だいたい同じところに集まります。よくある指摘と、電話を切ったあと何分で直せるかを整理しておきます。
| 指摘の内容 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 健診日が1年以上前 | 台帳を更新していない | 受診日を確認。古ければ受診の段取りを先に組み、元請へ状況を伝える |
| 資格欄の文字が切れている | 資格を書きすぎ | その現場に要るものだけに絞り、4行に収める |
| ※印と資格が合わない | 印を後から付けた | 印の付いた行だけ横に読んで突き合わせる |
| 雇用保険欄が空 | 本人に番号を聞けていない | 被保険者証を確認。役員・一人親方なら「適用除外」 |
| 教育日が報告書とずれている | 2つの書類を別々に作った | 教育の実施日を決めてから両方に同じ日を入れる |
直したあとは、差し替え版であることが分かるように提出日を新しくします。古い版が現場に残っていると、緊急時に人数が合いません。元請の担当者に「差し替えです」と一言添えて送るだけで、行き違いは減ります。
提出前の見直しリストと、次から書き写さないための備え
提出のボタンを押す前、または封をする前に、次の5つだけ確認してください。ここを押さえると、差し戻しはかなり減ります。
| 見るところ | 判断の基準 |
|---|---|
| 年齢 | 提出日時点で計算しているか。誕生日をまたいだ人はいないか |
| 健康診断日 | 提出日から1年以内か。血圧は空欄でないか |
| 保険の欄 | 制度名と番号が正しい欄に入っているか。桁数は元請の指定どおりか |
| ※印と資格 | 印を付けた人に、対応する講習の記載があるか |
| 日付の並び | 受入教育日が教育実施報告書と同じで、入場日以前か |
ここから先は、毎回の書き写しをなくす話です。作業員名簿でいちばん時間を食うのは、判断ではなく転記です。氏名、フリガナ、住所、保険、健診、資格。同じ内容を、現場のたびに手で書き写しています。ここを「1回登録して使い回す」形にすると、名簿づくりは日付の入力と人選びだけになります。
そのために、最初に1回だけ手間をかけて、社内に作業員台帳を作ることをおすすめします。紙でもエクセルでも構いません。1人1行で、次の項目を持っておきます。
| 分類 | 台帳に持っておく項目 |
|---|---|
| 本人 | 氏名・フリガナ・生年月日・血液型・現住所・電話・家族連絡先(続柄つき) |
| 会社 | 雇入年月日・職種・経験年数・技能者ID・退職金共済の加入 |
| 保険 | 健康保険の種別・年金の種別・雇用保険被保険者番号 |
| 健康・資格 | 直近の健診日と血圧・特殊健診の種類と日付・資格と取得日 |
この台帳があれば、次の現場の名簿は日付を入れ替えるだけになります。現場が立て込む月に、名簿のために作業員へ電話して保険の書類を確認する、という手戻りもなくなります。

SITE BOARD(サイトボード)では、サイドバー「書類管理」>「安全書類」の画面で作業員名簿を作ります。上の「共通項目」に工事と会社の情報を1回入れ、いちばん左の「作業員名簿」タブで、その現場に入る作業員にチェックを付ける流れです。

どの欄がどこから入るかを整理すると、こうなります。
- 作業員マスタから入るもの:氏名・フリガナ・資格・保険・健康診断
- 共通項目から入るもの:事業所の名称・所長名・一次会社名・○次会社名・事業者ID・退職金共済制度の◯・提出日
つまり、この記事で説明してきた「その人に付いてくる情報」は作業員マスタ側、「その現場に付いてくる情報」は共通項目側に分かれています。資格は資格のカードに、健康診断は健康診断のカードに登録しておきます。

健康診断は、受診日・血圧・特殊健診の種類まで登録でき、次回の定期健診の目安も表示されます。健診日が古い人を名簿づくりの直前に見つけて慌てる、という事態を減らせます。

名簿に載せる順番は、一覧の並べ替えで入れ替えられます。この順番がそのまま様式の番号1、2、3…になります。新規入場年月日と受入教育実施年月日は「まとめて入れる」で、選んだ人全員に同じ日付を入れられます。10人の入場日を10回打ち込む必要はありません。
資格の書きすぎ対策も入っています。作業員の行の「教育・資格・免許」から、様式に載せるものを選べます。入りきらない欄は赤くなり、「枠に入りきらない」と表示されるので、その場でチェックを外して調整できます。外しても作業員マスタ側の登録は消えません。「印刷したら文字が切れていた」に気づくのが提出直前、という失敗がなくなります。
出力するファイルは、配られている全建統一様式のファイルそのままに流し込む形です。PDFはエクセルと同じ見た目で出ます(エクセルのダウンロードは本登録後です)。同じ作業員の情報から、新規入場者調査票もそのまま出せますし、受入教育実施年月日は新規入場時等教育実施報告書の実施日にも引き継がれます。名簿と報告書の日付がずれる、という差し戻しの原因がひとつ消えます。安全書類の画面でできることはSITE BOARDの使い方の記事一覧でも紹介しています。
まずは、次に入場する現場1つ分だけで試してみてください。1現場分の作業員を登録すれば、2現場目からは日付と人選びだけになります。無料で使い始めるから登録でき、プランの内容は料金プランで確認できます。