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工事請負契約書の書き方と印紙|16項目と収入印紙の早見表

ネットのひな形を直して契約書を作るたびに迷う方へ。建設業法第19条で書面に入れる16項目を表紙と約款に振り分け、工事請負契約書の収入印紙の金額を早見表で示します。電子契約や追加工事、クーリングオフの書き方まで整理します。

工事請負契約書 印紙を表すイメージ図
目次

夕方に事務所へ戻ってから、ネットで拾ったひな形を開き、前の案件の名前を消して今回の内容に打ち直す。そんな作り方を続けていると、工事請負契約書の印紙をいくら貼るか、毎回調べ直すことになります。この記事では、建設業法第19条で書面に入れる16項目を「表紙に書くもの」と「約款にまとめるもの」に振り分け、契約金額ごとの収入印紙の額を早見表で示します。消費税の書き方で印紙代が変わる点、電子で交わす場合の考え方、訪問で受けた工事のクーリングオフ文言まで、その場で確かめられる形にまとめました。

結論:契約書に入れる16項目と、印紙は税抜金額で決まる

契約書を出す前に確かめるのは、次の3点です。

  1. 建設業法第19条第1項の16項目が、表紙か約款のどちらかに入っているか
  2. 収入印紙の額を、税込ではなく税抜の請負代金で判定したか
  3. その契約が訪問販売・電話勧誘販売にあたるか(あたるならクーリングオフの書面が要る)

印紙の額は、代表的なところだけ先に出します。税抜200万円の契約なら200円、税抜600万円なら5,000円です(平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される建設工事の請負契約書に適用される軽減措置を使った場合)。金額の階段は後ろの早見表にまとめました。

見落としやすいのが枚数です。契約書を2通作り、お客様と自社がそれぞれ1通ずつ保管するなら、2通とも課税文書になります。税抜600万円の工事なら、5,000円の印紙が2枚で1万円です。「原本は1通、自社はコピーを保管」という運用にすれば自社控えは非課税になりますが、その場合、自社の手元に印鑑の押された原本は残りません。どちらを取るかは会社の方針で決める話です。契約金額が大きいほど差が出るので、社内で一度決めておくと毎回迷わずに済みます。

ひな形を直す手間は「分け方」で減る

毎回の手直しが終わらない原因は、1枚の紙にすべてを詰め込もうとしているところにあります。契約書の中身は、性質の違う2種類に分かれます。

種類 中身 案件ごとに変わるか
表紙(契約書の面) 工事名称、工事場所、工期、請負金額、工事内訳、支払方法、添付書類 毎回変わる
約款 設計変更、中止、不可抗力、価格変動、契約不適合責任、解除、紛争解決 ほとんど変わらない

約款は一度自社の形を決めれば、次の案件でもそのまま使えます。毎回打ち直すのは表紙の数字と日付だけです。ひな形をWordで1ファイルにまとめていると、この区別がつかず、約款の条文まで毎回目で追うことになります。約款を別ファイル(または契約書の2ページ目以降)に切り出すだけで、作成の時間はかなり短くなります。

そのうえで、表紙には「工事価格(税抜)」「消費税」「請負金額(税込)」の3段を必ず入れてください。理由は印紙税です。消費税額を区分して書いていれば税抜の金額で印紙を判定できます。書き方ひとつで数千円変わる話なので、後の節で具体例を出します。

そもそも工事請負契約書はなぜ交わすのか(建設業法第19条)

建設業法第19条は、請負契約の当事者が定められた事項を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付することを求めています。条文の原典は、e-Gov法令検索の建設業法で確認できます。

ここで大事なのは、金額の大小や元請・下請の別で扱いが変わらない点です。「30万円の水まわり工事だから口約束でいい」とはなりません。お客様と直接契約する工事でも、元請から請ける下請工事でも、書面を交わして相手に渡すのが原則です。

追加工事の口約束がいちばんもめる

現場で起きる揉め事の多くは、最初の契約の中身ではなく、途中で増えた工事です。

  • 解体したら下地が腐っていて、補修が必要になった
  • お客様が「ついでにここも」と言い、職長がその場で「やっておきます」と答えた
  • 外壁の色を変えたら、材料の単価が上がった

こうした変更は、必ず出ます。だからこそ、最初の契約書に「変更が出たらどう決めるか」を書いておきます。金額と工期を協議して書面で変更する、という条文が約款にあるだけで、追加分の請求がしやすくなります。逆に、そこが無い契約書だと「サービスだと思っていた」と言われたときに拠り所がありません。

契約書があることの実務上の効き目は、他にもあります。入金が遅れたときに支払期日を示して督促できます。近隣から騒音の苦情が来たときに、施工しない時間帯の取り決めを示せます。完成検査でお客様と認識がずれたときに、添付した仕様書に戻れます。どれも、裁判の話ではなく、日々の段取りの話です。

注文書・注文請書との違い、個人のお客様との契約との違い

書類の使い分けは、相手が誰かで決まります。

相手 使う書類 押さえる点
個人のお客様(施主) 工事請負契約書 特定商取引法・消費者契約法への配慮が加わる
協力会社(工事の外注) 注文書・注文請書 第19条の事項を記載し双方が交付する
材料の仕入先 発注書 工事の請負ではないため印紙の区分が異なる

注文書・注文請書でも、第19条の事項を記載して双方が交付する形にすれば、書面の要件を満たす作りにできます。1枚の注文書に工事内容と金額だけ書いて送り、約款の取り決めがどこにも無い、という状態が危ないところです。注文書に「別紙の基本契約約款による」と書き、年度初めに協力会社と基本契約を結んでおく方法もよく使われます。

個人のお客様との契約では、会社同士の契約に無い配慮が加わります。専門用語を並べた約款はそのままでは伝わりません。訪問して受注した工事ならクーリングオフの書面が要ります。住宅リフォームでは、表題を「住宅リフォーム工事請負契約書」にしておくと、お客様が書類を受け取った時点で何の書類か分かります。契約書の束を後から見返すときにも探しやすくなります。

協力会社へ工事を外注するときに注文書と注文請書を交わす場合は、印紙をどちらに貼るのか、日付や割印をどう入れるのかで迷いやすくなります。工事請負契約書とは書き方が違う点もあるので、外注の書類を作る前に次の記事で確かめておくと、作り直しを防げます。

注文書 注文請書を表すイメージ図 関連記事見積・請求・原価 注文書と注文請書の違い|印紙はどちらに貼るか・日付と割印 協力会社への発注で注文書だけ送って終わりにしていませんか。注文書と注文請書の違い、2枚で契約が成立する流れ、印紙は請書に貼ること、建設工事の軽減後の税額、日付と割印の決め方を具体例で整理します。 記事を読む

第19条第1項の16項目を、表紙と約款に振り分ける

第19条第1項が挙げる事項は、次の16項目です。手元のひな形と突き合わせてください。

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期および工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日または時間帯の定めをするときは、その内容
  5. 請負代金の全部または一部の前金払または出来形部分に対する支払の時期と方法
  6. 設計変更・工事着手の延期・工事の全部または一部の中止の場合の、工期の変更や請負代金の変更、損害の負担とその額の算定方法
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更や損害の負担と、その額の算定方法
  8. 価格等の変動・変更にもとづく請負代金の額または工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担
  10. 注文者が資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容と方法
  11. 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期と方法、引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払の時期と方法
  13. 工事の目的物が契約内容に適合しない場合の、その不適合を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  14. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法
  16. その他国土交通省令で定める事項

数が多く見えますが、毎回書き換えるのは一部だけです。案件ごとに変わる数字と日付は表紙に、取り決めのルールは約款に置きます。

工事請負契約書の記載事項を、案件ごとに変わる表紙の欄と、毎回同じ内容の約款の条文に振り分ける考え方の図
工事請負契約書の記載事項を、案件ごとに変わる表紙の欄と、毎回同じ内容の約款の条文に振り分ける考え方の図

表紙に書く項目の埋め方と、つまずきやすい欄

表紙に載せるのは、工事名称・工事場所・工期・請負代金・工事内訳・支払方法・添付書類・工事を施工しない日や時間帯です。埋めるときにつまずきやすい欄を挙げます。

工期 着手日と完成日の両方を入れます。和暦で書く様式が多いので、書式をそろえておきます。着手日が未定でも、空欄のまま渡すのは避けたいところです。「近隣説明の完了後◯日以内に着手」のように、決め方を備考か約款に書いておけば、後から日付を入れる根拠になります。

工事を施工しない日・時間帯 決めているときに書く欄です。例として「日曜・祝日は施工しない」「18時〜翌8時は施工しない」といった内容が入ります。近隣に約束した時間帯は、口頭で終わらせずここに残します。後から「言ったはずだ」となったときに、契約書に書いてあるかどうかで話の進み方が変わります。決めていないなら、無理に埋める必要はありません。

請負代金 表紙の「請負金額」は税込で書き、その内訳として工事価格(税抜)と消費税を分けて示します。理由は印紙税の判定です。

支払方法 前払金・部分払・竣工払を、時期と金額に分けて書きます。ここで必ず検算してください。税込5,445,000円の工事で、前払金1,500,000円、中間払2,000,000円、竣工払1,945,000円とした場合、1,500,000+2,000,000+1,945,000=5,445,000円で一致します。合計が請負金額と1円でも違うと、入金のたびに残額の確認が必要になります。竣工払は「工事完了確認後◯日以内」と日数で書くのが一般的です。

約款が薄いと後で困る条文(変更・中止・値上がり・引渡し)

約款は読まれないから短くていい、という考え方は後で高くつきます。次の5つは入れておきます。

  • 設計変更・追加工事:変更が生じたときに、金額と工期をどう決めるか。協議して書面で変更する、という流れを書きます
  • 価格等の変動:資材の値上がりなどで代金の変更を協議できる旨。鋼材や木材が動いた年に、この条文の有無で対応が分かれました
  • 検査と引渡し:完成の通知、検査、引渡し、残代金の支払期日までの順番を明記します。引渡しと入金の順序が曖昧だと、残金の回収が遅れます
  • 契約不適合責任:責任の期間と、保証保険などの措置を取るかどうかを書き分けます
  • 紛争の解決:協議、建設工事紛争審査会のあっせん・調停、管轄裁判所。1条置いておくだけで、揉めたときの入口が決まります

工事の中止や天災による損害の負担も、約款で拾う項目です。いずれも「金額がいくらになるか」ではなく「どうやって決めるか」を書くのが約款の役目だと考えると、文章を作りやすくなります。

表紙に入りきらない仕様は添付書類で契約に含める

表紙の工事内訳に書ける行数には限りがあります。細かい仕様まで書き切ろうとすると、字が小さくなって読めません。仕様は見積書・仕様書・設計図に寄せ、それらを契約に含める書類として明示します。

運用としては、表紙に添付書類の欄を作り、契約に含めるものにチェックを付けます。SITE BOARD(サイトボード)の契約書では、チェックしたものが■、外したものが□で印字されます。■が付いた書類は印刷して、契約書と一緒にお客様へ渡します。この一手間で、「見積書に書いてあった・なかった」という後の食い違いがかなり減ります。

渡すときは、お客様控えの見積書にも契約日を書き込んでおくと、どの版の見積書が契約に含まれるかが分かります。見積りを3回直した案件で、お客様の手元に古い版が残っているのはよくある話です。

収入印紙はいくら貼るか|契約金額ごとの早見表

建設工事の請負に関する契約書は、印紙税法上の第2号文書(請負に関する契約書)にあたります。そして、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される建設工事の請負契約書には、税率の軽減措置があります。詳しくは国税庁のタックスアンサーNo.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置に載っています。

軽減後の税額は次のとおりです。

契約金額 軽減後の印紙税額 該当しやすい工事の例
1万円未満 非課税 ごく小さな修繕
1万円以上100万円以下 200円 給湯器交換、部分補修
100万円超200万円以下 200円 浴室リフォーム、屋根塗装
200万円超300万円以下 500円 外壁+屋根の塗装、キッチン改修
300万円超500万円以下 1,000円 水まわり一式、外装一式
500万円超1,000万円以下 5,000円 全面リフォーム
1,000万円超5,000万円以下 1万円 木造住宅の新築、大規模改修
5,000万円超1億円以下 3万円 店舗・共同住宅の新築
1億円超5億円以下 6万円 中規模の建築工事
5億円超10億円以下 16万円 大規模工事
10億円超50億円以下 32万円 大規模工事
50億円超 48万円 大規模工事

読み間違えやすいのが、区切りの「以下」と「超」です。契約金額がちょうど1,000万円なら「500万円超1,000万円以下」で5,000円、1,000万円と1円なら「1,000万円超5,000万円以下」で1万円になります。端数の処理で階段をまたぐことがあるので、境目の金額は必ず確認してください。

国税庁の印紙税額の一覧表(PDF)に原典があります。印刷して事務所に貼っておくと、調べ直す手間が消えます。

消費税の書き方で印紙税額が変わる

印紙税の判定で使う契約金額は、消費税額が区分して記載されていれば、税抜の金額で判定できます。逆に言えば、税込の総額しか書いていない契約書は、その総額で判定されます。

具体例で見ます。

書き方 判定に使う金額 印紙税額
工事価格4,950,000円/消費税495,000円/請負金額5,445,000円 4,950,000円 1,000円
請負金額5,445,000円(税込)のみ 5,445,000円 5,000円

検算します。税抜4,950,000円に消費税10%をかけると495,000円、合計は5,445,000円です。税抜の4,950,000円は「300万円超500万円以下」なので1,000円。税込の5,445,000円は「500万円超1,000万円以下」なので5,000円。差は4,000円です。

たった1行の書き方で4,000円変わります。年に30件の契約があれば、それだけで無視できない額になります。契約書の表紙に「工事価格(税抜)」「消費税」「請負金額(税込)」の3段を入れる運用にしてください。Excelのひな形を使っているなら、今日その3行を足しておくのが手っ取り早い対応です。

2通作るとき・追加工事や変更契約書のとき

契約書を2通作り、お客様と自社がそれぞれ保管するなら、2通とも課税文書になります。先ほどの税抜4,950,000円の例なら、1,000円の印紙を2枚で合計2,000円です。

追加工事で変更契約書を交わすときは、増額分をもとに判定する考え方になります。当初の契約金額に上乗せした総額ではなく、増える金額で見ます。一方、減額のみの変更契約書は、記載の仕方によって扱いが変わります。判断に迷う書き方になったら、国税庁のページを見るか、所轄の税務署に電話で確認するのが確実です。税務署は書類の文面を読み上げれば答えてくれます。

印紙の額が気になって変更契約を省く、というのは順番が逆です。追加工事を口頭で済ませると、請求の段階で必ず揉めます。簡単な変更契約書か、注文書と請書のやり取りで残してください。工事内容・追加金額・工期の変更の3点が書いてあれば、A4の1枚で足ります。

貼り忘れ・消印の忘れと過怠税

印紙を貼らずに課税文書を作成した場合、過怠税がかかります。税務調査などで指摘される前に自主的に申し出た場合と、そうでない場合とで扱いが異なります。また、印紙を貼っても消印をしていない場合の定めもあります。具体的な金額や割合は国税庁のページで確認してください。

押さえておきたいのは、印紙を貼っていないからといって契約そのものが無効になるわけではない、という点です。契約は有効なまま、税の負担だけが残ります。「貼り忘れた契約は無効だから作り直す」という対応は不要です。

貼り忘れを防ぐには、契約書を渡す前の確認を手順にするのがいちばん簡単です。「印紙を貼る → 消印を押す → お客様に渡す」の3つを、契約書ファイルの表紙にメモしておくだけでも違います。

電子契約なら印紙は要らないのか

印紙税は、紙の課税文書を作成したときにかかる税金です。紙の契約書を作らず、データのまま契約を交わす形であれば、印紙を貼るという行為自体が生じません。この整理から、電子契約に切り替えて印紙代を抑える会社が増えています。

ただし、注意点があります。PDFをメールで送っただけでは終わりません。先方がそのPDFを印刷し、署名押印した紙を作って郵送してきたら、その紙は課税文書になります。「電子だから印紙が不要」と考えていたのに、お客様が紙に戻していた、という状況は起こり得ます。電子で交わすなら、最後まで電子で完結させる必要があります。

個人のお客様相手のリフォーム工事では、電子契約を敬遠される場面も多いはずです。ご年配のお客様に「スマートフォンで署名をお願いします」と言うのが難しい現場もあります。そこは無理に切り替えず、紙で交わす前提で印紙代を見込んでおくほうが現実的です。会社同士の下請契約から電子に切り替え、施主との契約は紙のまま、という使い分けをしている会社もあります。

電子で交わす場合は、次の3点を社内で決めておきます。

  • 本人確認:誰が署名したかをどう確認するか
  • 改ざん防止:契約後に中身が変わっていないことをどう示すか
  • 保存方法:どこに、いつまで、誰が探せる形で保管するか

電子で受け取った契約書の保存には、電子帳簿保存法の定めも関わります。要件は改正が続いている分野なので、最新の内容は国税庁の公式ページで確認してください。

紙で残す場合の実務(印紙の貼り方・保管)

紙で交わす会社のために、細かい話を書いておきます。

収入印紙は、額面によって大きさが違います。600円以下の印紙は横21.5×縦25.5mm、1,000円以上の印紙は横27×縦30mmです。契約書の印紙貼付欄が小さいほうに合わせて作られていると、1,000円以上の印紙は枠から少しはみ出します。枠に合わせて貼れば問題ありません。

消印は、契約当事者または代理人・使用人の印章か署名で行います。印紙と契約書の紙にまたがるように押します。会社の角印でも担当者の認印でも構いません。ボールペンでの署名でも消印になります。

保管は、契約日と案件番号で探せる形にしておきます。後から探すのは、たいてい引渡しから何年も経ってからです。「◯◯様邸の外壁、5年前にやったやつ」という問い合わせに、すぐ原本が出せるかどうかで対応の速さが変わります。ファイルに年度と案件番号を振り、見積書・写真・完了報告書と同じ場所にまとめておくのが探しやすい形です。

契約書だけでなく、作業員名簿や安全書類も含めた書類の並べ方は、次の記事にまとめています。

作業員名簿 作成を表すイメージ図 関連記事書類・安全管理 作業員名簿の作成手順と工事請負契約書|建設会社の書類管理ガイド 作業員名簿の作成や工事請負契約書、協力会社への注文書づくりに夜まで追われていませんか。案件から書類をつないで入力を1回で済ませる手順、全建統一様式第5号の出し方、印紙税額の確認まで、事務担当がその日から試せる流れをまとめました。 記事を読む

訪問や電話で受けたリフォーム工事はクーリングオフの書面が要る

お客様の自宅などに訪問して契約した工事、電話で勧誘して契約した工事は、特定商取引法の訪問販売・電話勧誘販売にあたる場合があります。対象になると、法律で決められた事項を記載した書面を交付する義務が生じ、お客様には一定期間のクーリングオフが認められます。

リフォーム会社にとって身近なのは、次のような場面です。

  • チラシを見たお客様から電話をもらい、訪問して現地調査をし、その場で契約した
  • 別件で近所を回っているときに声をかけられ、後日訪問して契約した
  • こちらから電話をかけて工事を勧め、承諾を得て契約した

一方、お客様が自分からショールームや事務所に来て申し込んだ場合など、対象外になるケースもあります。判断は取引の実態で変わるため、線引きに迷ったら消費者庁の特定商取引法ガイドを確認するか、弁護士・行政書士に相談してください。「うちは飛び込み営業をしていないから関係ない」と決めつけるのは危ないところです。お客様の自宅で契約書に署名をもらう形なら、対象になる可能性があります。

書面の形式にも決まりがあります。クーリングオフに関する事項は赤枠の中に赤字で記載し、書面の文字の大きさは8ポイント以上とされています。パソコンで作ったひな形をそのまま印刷すると、約款の部分が小さくなりがちです。印刷して定規を当ててみると、8ポイントを切っていることがあります。

契約書にどう入れるか

入れ方は、次の3か所です。

  1. **契約書の面(表紙)**に、赤枠で「ご契約の前に、この契約書と工事請負契約約款(クーリングオフについてのご説明を含む)を必ずお読みください。」という案内を置く
  2. 約款の最後に、クーリングオフについての説明をまとめて置く(赤枠・赤字)
  3. 訪問で受けた契約と、店舗・事務所で受けた契約で、この説明を付ける・付けないを切り替えられるようにしておく

3つ目が実務では効きます。ひな形が1種類しかないと、対象外の契約にまでクーリングオフの説明を付けたままになるか、逆に必要な契約で外れたままになるかのどちらかです。ファイルを2種類用意するか、切り替えられる形にしておくと、契約のたびに悩まずに済みます。

SITE BOARD(サイトボード)の契約書では、「クーリングオフの説明を付ける」のチェックで切り替えます。初期状態はオンです。事務所や店舗でお客様から申込みを受けた契約など、不要なときにチェックを外します。チェックが入っていると、約款の最後に赤枠・赤字の説明が入り、契約書の面にも赤枠の案内が印字されます。PDFの文字はすべて8ポイント以上で出ます。

約款の入力欄と、赤枠の中にある「クーリングオフの説明を付ける」のチェックボックス
約款の入力欄と、赤枠の中にある「クーリングオフの説明を付ける」のチェックボックス

最後に念を押しておきます。ひな形はあくまでひな形です。自社の取引の実態に合っているか、その契約がクーリングオフの対象かどうかは、弁護士・行政書士などの専門家に一度確認してください。契約書を作り始めるときに1回だけ見てもらえば、その後は同じ形で使えます。

ひな形の手直しをやめて、案件と見積りから契約書を作る

ネットのひな形を毎回直す方法には、3つの弱点があります。

  • 項目の抜け:前の案件で消した行が戻っていない。工事を施工しない日や紛争解決の条文が、いつの間にか落ちている
  • 金額の転記ミス:見積書からWordに打ち直すときに桁を間違える。支払方法の合計が請負金額と合わない
  • 印紙額の調べ直し:契約のたびに一覧表を探す。税抜か税込かで毎回迷う

どれも、見積りから契約書までを1本につなげば減る種類のミスです。SITE BOARD(サイトボード)では、サイドバー「書類管理」>「契約」から契約書を作ります。一覧には工事名称・注文者・請負金額(税込)・印紙・契約日が並ぶので、印紙をいくら貼る契約だったかを後から見返せます。

契約書の一覧画面。工事名称・注文者・請負金額・印紙・契約日が並ぶ表
契約書の一覧画面。工事名称・注文者・請負金額・印紙・契約日が並ぶ表

作成の流れはこうです。「+ 新規作成」を押し、契約日・案件・表題を選びます。案件を選ぶと、空いている注文者と工事名称の欄に案件の内容が入ります。案件番号も自動で入ります。表題は「工事請負契約書」と「住宅リフォーム工事請負契約書」から選べます。

契約書の編集画面。契約日・案件・表題の欄と、見積りからの写し方を選ぶボタン
契約書の編集画面。契約日・案件・表題の欄と、見積りからの写し方を選ぶボタン

工事内訳は、その案件の見積りから写せます。写し方は3つです。

写し方 何が入るか 向いている場面
明細をそのまま 見積りの明細を名称・数量・単位・単価のまま写す 項目が少ない小工事
見出しごとにまとめる 見出しごとに1行(数量1・式、単価は見出し配下の合計) 工種別に見せたいとき
1行にまとめる 全体を1行にし、摘要を「内訳は見積書のとおり」にする 明細が多いリフォーム

契約書の工事内訳は8行までです。写して8行を超えるときは、「見出しごとにまとめる」か「1行にまとめる」を選ぶよう表示されます。細かい仕様は見積書に寄せ、添付書類として契約に含める形にすれば、表紙はすっきりします。

そして印紙です。工事価格(税抜)と契約日から、印紙税額の目安が合計の下の「印紙(契約書)」の行に自動で表示されます。金額や契約日を変えるとすぐ更新されます。PDFの右上の「収入印紙 貼付欄」にも、その金額が小さく印字されるので、貼るときに迷いません。判定の根拠として「建設工事請負の軽減税率・税抜◯◯円で判定」と下に小さく出ます。税抜1万円未満なら「不要(非課税)」と表示されます。

ただし、表示されるのは目安です。実際の課税は税務署に確認してください。特に変更契約や減額の扱いは、記載の仕方で変わります。

見積りから契約書までの前段、案件登録と拾い出しの流れは次の記事で扱っています。

積算 見積り 作成を表すイメージ図 関連記事SITE BOARDの使い方 積算から見積りを作成する手順|案件登録で拾い出しの二度手間をなくす 拾い出しはエクセル、見積書は別ソフトで二度手間になっていませんか。SITE BOARD(サイトボード)で案件を登録し、積算から見積りを作成して見積書のPDFを出すまでの操作を、画面の順番どおりに説明します。資材費マスタの使い方も。 記事を読む

支払方法の合計ずれと契約日の空欄を防ぐ

支払方法の欄では、前払金・部分払・その他・竣工払を、時期と金額(税込)で入れます。竣工払は「工事完了確認後◯日以内」の日数で書きます。

合計が請負金額と合わないと、「請負金額(¥◯◯)と ¥◯◯ 違います」と表示されます。「残りを竣工払に入れる」を押せば、請負金額から前払金・部分払・その他を引いた残りが竣工払に入ります。先ほどの例で言えば、請負金額5,445,000円に対して前払金1,500,000円と中間払2,000,000円を入れた状態でこのボタンを押すと、竣工払に1,945,000円が入ります。

契約日は、新しく作るときは空欄です。空欄のままPDFを出すと、契約書の右上に「令和 年 月 日」と空けて印字されます。印刷して持参し、お客様の前で日付を手書きできる形です。日付を入れれば和暦で印字され、印紙税額の判定にも使われます。契約日が空欄のときは、今日の日付で判定した金額が表示されます。契約日を空欄にした契約書は一覧の先頭に並び、契約日の列に「未記入」と出るので、後から日付を入れ忘れたものを見つけられます。

約款は、標準のひな形が最初から入っています。自社に合わせて直したら、「この約款と請負条件を自社の既定にする」にチェックして保存します(「自社情報」の権限が要ります)。次に新しく作る契約書から、同じ約款と請負条件で始められます。すでに作成済みの契約書は変わりません。つまり、約款を練るのは最初の1回だけです。

出力はA4とA3から選べます。A4は1ページ目が契約書、2ページ目から約款(左右2段)。A3横は左半分に約款、右半分に契約書の見開きで、中央に折り目の点線が入ります。お客様の前で広げて説明するならA3、ファイルに綴じるならA4という使い分けになります。

A3横のPDF。左に約款と赤枠のクーリングオフの説明、右に契約書の本体が並ぶ見開き
A3横のPDF。左に約款と赤枠のクーリングオフの説明、右に契約書の本体が並ぶ見開き

明日の契約書から始める3つの手順

今日の夕方に契約書を作るなら、次の3つだけ手を付けてください。

手順1:手元のひな形に16項目があるか突き合わせる

この記事の16項目の一覧を見ながら、自社のひな形を上から確認します。表紙にあるか、約款にあるかは問いません。どちらかに入っていればいいので、○を付けていきます。抜けやすいのは次の3つです。

  • 工事を施工しない日または時間帯(欄そのものが無いひな形が多い)
  • 価格等の変動にもとづく請負代金の変更(約款に条文が無いことがある)
  • 紛争の解決方法(管轄裁判所だけで、協議やあっせんの記載が無い)

15分あれば終わります。抜けが見つかったら、その場で条文を足すのではなく、まず付箋を貼っておく。まとめて専門家に見てもらう材料にします。

手順2:表紙に3段の金額欄を入れる

「工事価格(税抜)」「消費税」「請負金額(税込)」の3段にします。これで、印紙を税抜の金額で判定できる形になります。先ほどの例のとおり、税抜4,950,000円・消費税495,000円・税込5,445,000円の契約なら、印紙は1,000円です。税込の総額しか書かないと5,000円になり、差は4,000円です。

手順3:クーリングオフの説明を付けるかの社内ルールを1行で決める

「お客様のご自宅で契約書に署名をいただく場合は、クーリングオフの説明を付ける」。まずはこの1行で構いません。迷う案件が出たら、そのつど専門家に確認して例外を足していきます。ルールが無い状態で毎回判断するのがいちばん時間を食います。

原典の場所を控えておく

条文と税額は、必ず原典で確認してください。ブックマークしておくのは次の4つです。

確認したいこと 見る場所
記載事項(16項目)の条文 e-Gov法令検索の建設業法 第19条
印紙税の軽減措置 国税庁 タックスアンサー No.7108
契約金額ごとの印紙税額 国税庁 印紙税額の一覧表(PDF)
クーリングオフの対象と書面 消費者庁 特定商取引法ガイド

ひな形の手直しから離れて、案件・見積り・契約書・請求書までを1か所でつなぎたい場合は、SITE BOARD(サイトボード)の画面を一度見てみてください。契約書の作成は「書類管理」>「契約」から行い、案件を選ぶだけで注文者と工事名称が入ります。使える機能の範囲は料金プランに、実際の操作感は無料で使い始めるから確かめられます。

契約書は、揉めたときのための書類ではありません。追加工事の話をしやすくし、入金の期日を示し、近隣への約束を残すための、日々の段取りの道具です。1回作り込んでおけば、その後の契約は数字を入れるだけになります。

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