目次
- 事業者IDの調べ方と書く欄の結論
- 事業者IDとは何か、技能者ID・現場IDとの違い
- 誰の事業者IDをどの書類に書くかの早見表
- 建設キャリアアップの事業者IDを確認する方法
- 自社の事業者IDは登録完了の通知とログイン後の画面で確かめる
- 元請の事業者IDと現場IDは入場前に聞いておく
- 協力会社の事業者IDを集める依頼文の例と未登録のときの扱い
- 施工体制台帳の事業者IDの書き方(記入例)
- 会社名の欄に事業者ID、事業所名の欄に現場IDを書く
- 下請が施工体制台帳の欄を求められたときの対応
- 再下請負通知書の事業者IDの書き方(記入例)
- 元請名称・事業者IDの欄
- 報告下請負業者(自社)と再下請負業者の欄
- 二次・三次下請が作るときの書き分け
- 作業員名簿の事業者IDの書き方(記入例)
- 一次会社名・事業者IDと○次会社名・事業者IDの欄
- 事業所の名称・現場IDの欄
- 事業者IDの書き間違いと提出前の確認
- よくある取り違え
- 提出前のチェック表
- 協力会社の事業者IDを一度登録して使い回す方法
- 自社の事業者IDは自社情報に登録して初期値にする
- 協力会社マスタから選ぶと事業者IDも入る
- 元請・一次会社の事業者IDと現場IDは現場ごとに入れる
- 次の現場までにやっておくこと
元請から届いた安全書類の新しい様式に「事業者ID」の欄があり、夕方の事務所で手が止まっていませんか。協力会社に電話をかけても担当者は現場に出ていて、書類が翌日に持ち越しになることもあります。自社・元請・協力会社の番号をどこで確かめ、どの欄に書けばよいかが分かれば、聞き直しと差し戻しは減らせます。施工体制台帳・再下請負通知書・作業員名簿の記入例で、順に示します。
事業者IDの調べ方と書く欄の結論
先に結論を書きます。自社の事業者IDは、CCUSの事業者登録が済んだときに届いた通知で確かめます。見つからなければ、CCUSにログインしたあとの登録情報の画面で確かめます。元請と協力会社の事業者IDは、自分で探すより、相手の会社から文字でもらうほうが確実です。文字とは、メールや書面のことです。
| 誰の事業者ID | 確かめ先 | 受け取り方のコツ |
|---|---|---|
| 自社 | 登録完了の通知、CCUSの登録情報 | 見つけたら社内の控えに書く |
| 元請 | 元請の担当者 | 書類の依頼に返信するときに聞く |
| 協力会社 | 協力会社の事務担当・代表者 | 口頭ではなくメールで送ってもらう |
書く場所にも型があります。どの書類でも、事業者IDは「会社名の横」に書きます。現場IDは「事業所名(作業所名)の横」です。新しい様式では、欄の名前も「会社名・事業者ID」「事業所名・現場ID」のように並べて印刷されています。この型を覚えておけば、初めて見る様式でも欄を探す時間が短くなります。
番号は一度控えてしまえば、次の現場からは探さずに書き写すだけで済みます。差し戻しの電話を受けて、夜に書き直す回数も減らしていけます。
事業者IDとは何か、技能者ID・現場IDとの違い
事業者IDは、建設キャリアアップシステム(CCUS)に会社として事業者登録したときに付く番号です。CCUSは、技能者の資格や就業履歴を業界共通で記録する仕組みのことです。番号は会社に1つ付くので、現場が変わっても同じ番号を使います。
安全書類には、ほかにも「ID」と付く番号が出てきます。違いを表にまとめました。
| 番号 | 誰(何)に付くか | いつ決まるか | 主に書く欄 |
|---|---|---|---|
| 事業者ID | 会社 | 会社の事業者登録が済んだとき | 会社名の横 |
| 技能者ID | 作業員1人ずつ | 技能者登録が済んだとき | 作業員名簿の各作業員の行 |
| 現場ID | 現場 | 元請がCCUSに現場を登録したとき | 事業所名(作業所名)の横 |
建設業許可番号や、社会保険の事業所整理記号とも別の番号です。どれも会社に付く番号なので、急いでいると欄を取り違えがちです。事業者IDの欄に許可番号を書くと、元請から差し戻しの連絡が来る原因になります。
作業員一人ひとりの技能者IDの確かめ方は、別の記事で扱っています。必要な方はコラム一覧から探してください。
誰の事業者IDをどの書類に書くかの早見表
3つの書類で、書く番号の数と欄が違います。
| 書類 | 書く会社の事業者ID | 書く欄 | 現場ID |
|---|---|---|---|
| 施工体制台帳(全建統一様式第3号) | 元請・下請 | 左右それぞれの会社名の欄 | 元請側の事業所名の欄に書く |
| 再下請負通知書(全建統一様式第1号-甲) | 元請・自社・再下請 | 元請名称の欄と左右の会社名の欄 | 欄がなければ不要(様式で確認) |
| 作業員名簿(全建統一様式第5号) | 一次会社・○次会社 | 一次会社名・○次会社名の欄 | 事業所の名称の欄に書く |
番号がいちばん多いのは再下請負通知書です。元請・自社(報告下請負業者)・再下請負業者の3社分が要ります。作業員名簿は、一次会社と、作業員が所属する○次会社の2社分です。施工体制台帳には、元請と下請の事業者IDが入ります。
この先の記入例は、同じ架空の体制で通します。
- 元請: A建設株式会社
- 一次下請: 株式会社B工業(自社)
- 二次下請: C板金(B工業から屋根板金工事を請けた会社)
- 作業所名: 緑町邸新築工事作業所
番号は会社ごとに違うため、記入例では〈A建設の事業者ID〉のように書いています。実際の書類には、受け取った番号をそのまま写してください。
建設キャリアアップの事業者IDを確認する方法
確かめ先は、誰の番号を調べるかで変わります。自社の番号は、社内の通知とCCUSの画面にあります。元請と協力会社の番号は、その会社に聞くのが基本です。
古い書類の写しや、別の現場の書類から他社の番号を拾うのはおすすめしません。社名変更や登録のやり直しで、表記や番号が変わっていることがあるからです。推測で埋めた番号は、1文字違うだけでも差し戻しになります。
CCUSの画面の名前や操作の流れは、変わることがあります。ここでは探す順番を示します。画面の細かい手順は、建設キャリアアップシステムの公式サイトの案内で確かめてください。
自社の事業者IDは登録完了の通知とログイン後の画面で確かめる
自社の番号は、次の順で探すと早く見つかります。
- 受信メールを検索する。「建設キャリアアップ」「事業者ID」「登録完了」などの言葉で探します。登録申請をした人のアドレスに届いている場合が多いです。
- 紙のファイルを見る。登録申請の控えや、手続きを頼んだ行政書士から届いた書類に書かれていることがあります。
- CCUSにログインして確かめる。事業者としてログインし、自社の登録情報を表示する画面で番号を見ます。
- 登録した人に聞く。ログインIDやパスワードが分からないときは、手続きをした社長や行政書士に確かめます。
- CCUSの問い合わせ窓口に相談する。それでも分からないときの最後の手段です。窓口の連絡先は公式サイトで確かめてください。
見つけた番号は、書類に書く前に社内の共有メモや台帳に控えます。次の現場で同じ探し物をしないためです。控えの形は、たとえば次のようにします。
| 会社名 | 事業者ID | 確かめた日 | 確かめた元 |
|---|---|---|---|
| 株式会社B工業 | 〈B工業の事業者ID〉 | 確かめた日付 | 登録完了の通知メール |
よくあるつまずきは、番号を社長の手帳だけに書いていて、事務所の誰も分からない状態です。社長が現場に出ている時間は、書類が止まってしまいます。事務所の誰でも開ける場所に置いてください。
元請の事業者IDと現場IDは入場前に聞いておく
元請の事業者IDと現場IDは、元請の担当者から書類一式の依頼と一緒にもらうのが早道です。依頼メールへの返信に、1行足すだけで聞けます。
緑町邸新築工事の安全書類、承知しました。作成にあたり、A建設様の事業者IDと、この現場の現場IDを教えてください。
着工前に聞いておけば、書類を作り始めてから欄が埋まらず止まることがなくなります。
注意したいのは、現場IDが決まる時期です。現場IDは、元請がCCUSに現場を登録したあとに決まります。そのため、着工直前だとまだ決まっていない場合があります。そのときは「現場IDは空欄で出してよいですか」と元請に確かめてください。決まったら差し替える約束にしておけば、あとで慌てずに済みます。
自社が二次下請の場合は、元請の担当者と直接やりとりしないことが多いでしょう。その場合は、直近上位の一次会社を通して聞くのが一般的です。一次会社から届いた書類の控えに、元請の事業者IDが書かれていることもあります。
協力会社の事業者IDを集める依頼文の例と未登録のときの扱い
再下請に出す協力会社には、ほかの会社情報と一緒に事業者IDを書いてもらいます。依頼文の例を載せます。
C板金 御中 緑町邸新築工事(元請:A建設)の安全書類を作成するため、次の内容をメールでお送りください。 ・会社名(正式名称)、代表者名、住所、電話番号 ・建設業許可(業種・許可番号・許可年月日) ・健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況 ・建設キャリアアップシステムの事業者ID(登録完了の通知の写しでも構いません) 未登録の場合は、その旨をお知らせください。
番号は電話で聞き取らないほうが安全です。数字の聞き間違いや、メモの写し間違いが起きやすいからです。メールや登録通知の写しなど、文字で受け取れば、そのまま書類に写せます。
協力会社がCCUSに未登録のときは、欄の扱いに迷います。空欄にするか「未登録」と書くかは、元請の指示で決まります。現場によって異なるので、提出前に元請に確かめてください。
一度集めた番号は、協力会社ごとに一覧にしておきます。
| 協力会社 | 事業者ID | 受け取った日 | 受け取り方 |
|---|---|---|---|
| C板金 | 〈C板金の事業者ID〉 | 受け取った日付 | メール(登録通知の写し) |
この一覧があれば、次の現場で同じ会社に聞き直す必要はありません。
施工体制台帳の事業者IDの書き方(記入例)
施工体制台帳(全建統一様式第3号)は、A3横の様式です。左が元請、右が下請1社の作りになっています。そのため、下請1社ごとに1枚ずつ作ります。
施工体制台帳を作るのは元請です。下請は、再下請負通知書などで台帳の元になる情報を出す立場にあります。自社が下請なら、台帳そのものを作る場面は多くありません。ただし、元請から情報の記入を頼まれることはあります。
施工体制台帳の書き方全体と添付書類は、別の記事で埋める順番から説明しています。ここでは事業者IDと現場IDの欄に絞ります。
施工体制台帳の書き方と添付書類|全建統一様式第3号を埋める順番
施工体制台帳の書き方を、全建統一様式第3号を5つのかたまりに分けて説明します。元請の会社情報から工事情報、技術者、保険、一次下請の欄まで、どの書類を見て埋めるかを順番に整理しました。添付書類の一覧と、差し戻されやすい記入例の誤りもまとめています。
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会社名の欄に事業者ID、事業所名の欄に現場IDを書く
新しい様式では、会社名の欄に事業者ID、事業所名の欄に現場IDを書く欄があります。A建設とB工業の体制で書くと、次のようになります。
| 位置 | 欄 | 記入例 |
|---|---|---|
| 左(元請) | 会社名・事業者ID | A建設株式会社 / 〈A建設の事業者ID〉 |
| 左(元請) | 事業所名・現場ID | 緑町邸新築工事作業所 / 〈元請が登録した現場ID〉 |
| 右(下請) | 会社名・事業者ID | 株式会社B工業 / 〈B工業の事業者ID〉 |
左の元請側にはA建設、右の下請側にはB工業の番号が入ります。書き終えたら、左右の会社名と番号の組み合わせを指でなぞって確かめてください。2つの番号は桁の並びが似て見えるため、左右を入れ違えても気づきにくいからです。
二次のC板金がいる場合は、C板金の分をもう1枚作ります。右の下請側がC板金と〈C板金の事業者ID〉になる1枚です。左の元請側と現場IDは、1枚目と同じ内容になります。
古い様式には、事業者IDの欄がありません。元請から「事業者IDを書いて」と言われたのに欄が見当たらないなら、手元の様式が古い版かもしれません。元請が指定した様式の版を確かめてください。版の見分け方と入手先は、次の記事にまとめています。
全建統一様式の最新版はどれ?入手先と旧様式との違い・確認方法
元請から「最新の全建統一様式で出して」と言われて困っていませんか。いまの版の見分け方、全国建設業協会からの入手先、古い様式から増えた欄、作業員名簿の雇用保険欄の書き方まで整理し、差し戻しなく一度で出せるようにします。
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下請が施工体制台帳の欄を求められたときの対応
元請によっては、下請に台帳の下請側の欄の記入を頼むことがあります。記入までは求めず、情報の提供だけを求める元請もいます。どちらになるかは現場によって異なります。
求められたときは、次の内容をそろえて出します。
- 自社の会社名・事業者ID
- 建設業許可(業種・許可番号・許可年月日)
- 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況
- 再下請先の会社名・事業者IDと、同じく許可・保険の情報
ここで気をつけたいのが、再下請負通知書とのずれです。台帳と通知書で、会社名や事業者IDの表記が違っていることがあります。「株式会社」の前後や、番号の1文字違いなどです。元請の担当者は2つを突き合わせるので、ずれがあると確認の電話がかかってきます。
ずれを防ぐには、同じ控えから書き写すことです。前の節で作った自社の控えと協力会社の一覧を手元に置きます。台帳も通知書も、その一覧から写します。片方の書類を見ながらもう片方を書くと、最初の誤りがそのまま広がるので避けてください。
再下請負通知書の事業者IDの書き方(記入例)
再下請負通知書(全建統一様式第1号-甲)は、下請が工事の一部を再下請に出したときに作る書類です。直近上位の注文者を通して、元請へ出します。
様式はA3横で、左が自社(報告下請負業者)、右が再下請負業者1社の作りです。再下請が2社以上あれば、会社ごとにページが増えます。
事業者IDは、元請・自社・再下請の3か所に入ります。書き始める前に、3つの番号を手元にそろえてください。
- 〈A建設の事業者ID〉: 元請から聞いた番号
- 〈B工業の事業者ID〉: 自社の控え
- 〈C板金の事業者ID〉: C板金からメールで受け取った番号
1つでも欠けたまま書き始めると、途中で手が止まります。そのまま空欄で寝かせた書類は、翌日に埋め忘れたまま出してしまいがちです。
元請名称・事業者IDの欄
様式のいちばん上に、元請名称と事業者IDを書く欄があります。B工業(一次)が作る場合の記入例です。
| 欄 | 記入例(一次のB工業が作る場合) |
|---|---|
| 宛先(直近上位の注文者) | A建設株式会社 |
| 宛先の所長名 | 緑町邸新築工事作業所 所長名 |
| 元請名称・事業者ID | A建設株式会社 / 〈A建設の事業者ID〉 |
混同しやすいのが、宛先と元請名称の欄です。宛先は、自社に注文した会社(直近上位の注文者)とその所長名です。元請名称は、現場の元請の会社です。
一次下請なら、自社に注文したのは元請なので、宛先と元請名称は同じ会社になります。二次下請なら、宛先は一次会社に変わります。ただし、元請名称は元請のままです。

上の図のように、通知書はいつも一段上の会社へ渡します。どの段から出しても、元請名称の欄は図のいちばん上の会社です。
報告下請負業者(自社)と再下請負業者の欄
左の報告下請負業者の欄に自社、右の再下請負業者の欄に再下請先を書きます。
| 位置 | 欄 | 記入例 |
|---|---|---|
| 左(報告下請負業者) | 会社名・事業者ID | 株式会社B工業 / 〈B工業の事業者ID〉 |
| 右(再下請負業者) | 会社名・事業者ID | C板金 / 〈C板金の事業者ID〉 |
再下請負業者の事業者IDは、C板金から文字で受け取った番号をそのまま写します。区切りを入れたり、全角と半角を変えたりはしないでください。
再下請が2社あるときは、会社ごとに通知書を分けます。1枚目は右がC板金、2枚目は右がもう1社です。左の自社の欄と上の元請名称の欄は、どのページも同じ内容になります。1枚に2社を詰めて書くと、差し戻しになることが多いです。
二次・三次下請が作るときの書き分け
今度は、自社がC板金(二次)の立場です。C板金が工事の一部をさらに別の会社に出すと、C板金も通知書を作ります。
| 欄 | 記入例(二次のC板金が作る場合) |
|---|---|
| 宛先(直近上位の注文者) | 株式会社B工業 |
| 元請名称・事業者ID | A建設株式会社 / 〈A建設の事業者ID〉 |
| 左(報告下請負業者) | C板金 / 〈C板金の事業者ID〉 |
| 右(再下請負業者) | 三次の会社名 / 〈三次の会社の事業者ID〉 |
宛先は一次会社のB工業に変わります。一方で、元請名称はA建設のままです。ここを「B工業」と書いてしまう間違いがよく起きます。
二次以下の会社は、元請の担当者に直接聞けないことが多いはずです。元請の事業者IDは、B工業から受け取った書類の控えで確かめます。B工業が出した再下請負通知書の写しがあれば、いちばん確実です。
次数が深くなるほど、上位の会社の情報を写し間違えやすくなります。上位から届いた通知書を、そのまま手元に置いて書いてください。記憶やメモの走り書きから写さないことが、手戻りを防ぐ近道です。
作業員名簿の事業者IDの書き方(記入例)
作業員名簿(全建統一様式第5号)には、一人ひとりの技能者IDを書く列があります。そのほかに、会社の事業者IDと現場IDを書く欄が様式の上のほうにあります。
作業員名簿の書き方全体と、社会保険の欄の書き方は別の記事で扱っています。ここでは会社と現場のIDの欄に絞ります。
作業員名簿の書き方と記入例|全建統一様式第5号を欄ごとに解説
作業員名簿の書き方を、全建統一様式第5号の欄ごとに記入例つきで解説します。健康保険・年金・雇用保険の書き分け、一人親方や高齢者の書き方、保険番号や技能者ID、※印の付け方まで分かり、元請からの差し戻しを減らせます。
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名簿は、1つの現場で何度も差し替える書類です。作業員が増えたり、入場日が変わったりするたびに出し直します。そのたびに上の会社欄を書き直していると、そこで間違いが入り込みます。上の会社欄だけは最初に正しく固めておくと、あとの差し替えは作業員の行を直すだけで済みます。
一次会社名・事業者IDと○次会社名・事業者IDの欄
一次会社名の欄には一次下請の会社を書きます。○次会社名の欄には、名簿に載る作業員が所属する会社を書きます。自社が一次か二次かで、記入は次のように変わります。
| 欄 | 自社が一次(B工業)の場合 | 自社が二次(C板金)の場合 |
|---|---|---|
| 一次会社名・事業者ID | 株式会社B工業 / 〈B工業の事業者ID〉 | 株式会社B工業 / 〈B工業の事業者ID〉 |
| ○次会社名・事業者ID | 株式会社B工業(1次) / 〈B工業の事業者ID〉 | C板金(2次) / 〈C板金の事業者ID〉 |
自社が一次のときは、2つの欄に同じ会社と同じ番号が入ります。同じ番号を2回書くので戸惑うかもしれませんが、これで正しい記入です。
自社が二次のときは、一次会社名の欄にB工業とB工業の事業者IDを書きます。○次会社名の欄は自社のC板金で、次数の「2」も書きます。
起きやすい取り違えは、一次会社の欄に元請A建設の番号を書いてしまうことです。「一番上の会社」と思い込むと、元請の番号を入れたくなります。作業員名簿の一次会社は、元請ではなく一次下請の会社です。書き終えたら、一次会社の欄の会社名と番号がB工業の組になっているかを確かめてください。
事業所の名称・現場IDの欄
事業所の名称の欄には、元請が決めた作業所名を書きます。今回の例なら「緑町邸新築工事作業所」です。自社で名前を付け直さず、元請の書類にある表記のとおりに写します。
その横の現場IDには、元請から聞いた番号を書きます。施工体制台帳の事業所名の欄に入る現場IDと、同じ番号になります。
現場IDがまだ決まっていないときは、空欄で出してよいか元請に確かめてください。了承をもらえたら空欄で出し、決まった時点で差し替えます。差し替えるときは、名簿のほかに現場IDを書いた書類がないかも一緒に見直しましょう。
もう1つ注意したいのが、作業員ごとの技能者IDの列です。この列は作業員1人ずつの番号で、会社の事業者IDとは別物です。欄が近いため、会社の番号を作業員の行に書き写してしまう間違いが起きます。技能者IDの確かめ方は、コラム一覧にある技能者IDの記事を参考にしてください。
事業者IDの書き間違いと提出前の確認
事業者IDに関する差し戻しの多くは、番号の取り違えと書き写しの誤りです。どちらも、提出前に5分ほど見直せば見つけられます。
確認は、書類を作った人と別の人が見るのが理想です。作った本人は、自分が書いた番号を正しいと思い込んで読んでしまうからです。とはいえ、事務を1人で回している会社も多いでしょう。1人のときは、元の通知や受け取ったメールを横に並べてください。番号を1文字ずつ照らし、照らし終えた番号に鉛筆で印を付けていきます。
番号の形式や桁数は、登録通知やCCUSの表示どおりに写します。読みやすくしようとして、自分で区切りやハイフンを足すのはやめましょう。元請の担当者がCCUSの番号と照らしたとき、違う番号に見えてしまいます。
よくある取り違え
差し戻しになりやすい取り違えを、起きる場面と防ぎ方で並べます。
| 取り違え | 起きやすい場面 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 事業者IDの欄に技能者IDや建設業許可番号を書く | 番号の控えが1枚のメモに混ざっている | 控えに「事業者ID」と番号の種類も書いておく |
| 一次会社の欄に元請の事業者IDを書く | 作業員名簿を二次の立場で作るとき | 一次会社名と番号が同じ会社の組か確かめる |
| 元請名称の欄に直近上位の会社のIDを書く | 再下請負通知書を二次以下で作るとき | 元請名称はいつも元請、と決めておく |
| 前の現場の番号が残っている | 前の現場の書類を複製して作ったとき | 現場IDと再下請先の欄を最初に消してから作る |
いちばん気づきにくいのは、前の現場の書類を複製したときの残りです。会社名を書き換えても、横の事業者IDや現場IDが前のままになっていることがあります。複製するなら、IDの欄をいったん全部空にしてから埋め直してください。
同じ協力会社でも、控えが古くなっていることがあります。社名変更や登録のやり直しがあると、表記や番号が変わる場合があるからです。会社名の表記が変わったと聞いたときや、半年以上前の控えを使うときは、相手に確かめ直すと安心です。
提出前のチェック表
書類ごとに、確認する欄と照らす元の資料を並べます。
| 書類 | 確認する欄 | 照らす元の資料 |
|---|---|---|
| 施工体制台帳 | 左右の会社名・事業者ID、事業所名・現場ID | 自社の控え、元請のメール |
| 再下請負通知書 | 元請名称・事業者ID、左右の会社名・事業者ID | 元請のメール、自社の控え、協力会社のメール |
| 作業員名簿 | 一次会社名・○次会社名の事業者ID、事業所の名称・現場ID | 自社の控え、上位の会社の書類、元請のメール |
次に、同じ会社の番号が3つの書類で同じになっているかを横並びで見ます。B工業(一次)が出す場合は、次のとおりです。
| 番号 | 施工体制台帳 | 再下請負通知書 | 作業員名簿 |
|---|---|---|---|
| B工業の事業者ID | 右(下請)の欄 | 左(報告下請負業者)の欄 | 一次会社・○次会社の欄 |
| A建設の事業者ID | 左(元請)の欄 | 元請名称の欄 | 書かない |
| 現場ID | 事業所名の欄 | 欄がなければ書かない | 事業所の名称の欄 |
現場IDは、書いたすべての書類で同じ番号か確かめます。空欄にする場合は、元請の了承をとったかも確かめてください。了承をもらったメールがあれば、書類と一緒に保管しておくと後で説明が楽です。
協力会社の事業者IDを一度登録して使い回す方法
ここまでの記入例では、同じ番号を何度も書き写しました。B工業の事業者IDは、3つの書類で合わせて4か所に入ります。協力会社が増えれば、写す回数はさらに増えます。現場ごとに番号を探して転記する手間は、会社ごとの番号を1か所に登録しておけば減らせます。
紙やExcelの一覧で管理するのも1つの方法です。そのほかに、システムに登録して書類へ流し込む方法もあります。ここでは、SITE BOARD(サイトボード)を使う場合の流れを紹介します。SITE BOARDは、建設会社向けのクラウド業務管理システムです。ここまでの記入例を、転記なしで作る手段の1つとして読んでください。
SITE BOARDでは、サイドバー「書類管理」>「安全書類」を開きます。画面の上にある「共通項目」に1回入れた内容が、施工体制台帳・再下請負通知書・作業員名簿などに入ります。

画面の上が共通項目のカード、その下が書類ごとのタブです。どの書類も、配られている全建統一様式のファイルに流し込んで出力されます。
自社の事業者IDは自社情報に登録して初期値にする
自社の事業者IDは、自社情報の「安全書類の会社情報」に登録します。登録しておくと、新しい現場を作るときの初期値になります。現場のたびに自社の番号を探す必要がなくなります。

いちばん上が事業者IDの欄です。保険の加入状況や営業所の名称も、同じカードで登録できます。
登録より前に作った現場でも、あとから入れ直せます。共通項目の「自社の情報」の右に出る「自社情報から取り込む」ボタンを押すと、次の内容が入ります。
- 事業者ID
- 建設業の許可(2つ目まで)
- 健康保険等の加入状況と営業所の名称
- 退職金共済
現場代理人・安全衛生責任者・主任技術者は取り込みません。現場ごとに変わる人だからです。また、現場の欄で書き換えても、自社情報の登録は変わりません。
協力会社マスタから選ぶと事業者IDも入る
協力会社の番号は、協力会社マスタに登録しておきます。新規登録の画面に「事業者ID (CCUS)」の欄があります。

会社名のすぐ下に、事業者ID (CCUS)の欄が見えます。メールで受け取った番号は、ここに貼り付けます。
現場で使うときは、共通項目の「+ 下請会社を追加」で行を足します。その行の「協力会社から選ぶ」で会社を選ぶと、次の内容がまとめて入ります。
- 会社名・代表者・住所・電話・FAX・事業者ID
- 登録済みの許可・保険・退職金共済・雇用管理責任者
行の「上位: 自社」がそのままなら、その会社は一次下請です。上位にほかの行を選ぶと、その会社の下の二次・三次になります。行の左に「1次下請」「2次下請」と出るので、体制をその場で確かめられます。再下請負通知書は、下請会社ごとにページが分かれて出ます。
協力会社マスタへの登録手順は、別の記事で説明しています。コラム一覧の協力会社マスタの記事を参考にしてください。
元請・一次会社の事業者IDと現場IDは現場ごとに入れる
元請の番号と現場IDは、現場ごとに変わります。そのため、共通項目に現場ごとに入れます。
共通項目の「自社の立場」で「下請」を選び、何次かを入れると、「元請の事業者ID」の欄が出ます。ここに入れた番号は、再下請負通知書の元請名称・事業者IDに入ります。
自社が二次より下のときは、「一次会社名」「一次会社の事業者ID」の欄も出ます。この内容は、作業員名簿などの一次会社名の欄に入ります。二次のときは、一次会社名が空でも、直近上位の注文者が一次会社として入ります。
現場IDは、作業員名簿のタブの「現場ID」欄に入れます。入れた現場IDは、施工体制台帳の[事業所名・現場ID]にも印字されます。施工体制台帳のタブは、自社が元請のときに使う書類です。

出力は、保存した内容から作られます。入力を直したら、出力する前に「保存する」を押してください。
PDFは無料期間中も出せます。Excelのダウンロードは本登録後に使えます。手元の書類で試すなら無料で使い始めるから、料金は料金プランで確かめられます。
次の現場までにやっておくこと
事業者IDの探し物は、次の現場の書類が届く前に片付けておくと楽になります。忙しい日でも、1つずつ進められる順番で並べます。
今日のうちにやること
- 自社の事業者IDを、登録完了の通知かCCUSの画面で確かめる
- 確かめた番号を、社内の誰でも開ける控えに書く(会社名・事業者ID・確かめた日・確かめた元)
自社の番号は、すべての書類に入る基本の番号です。ここが固まるだけで、3つの書類の自社の欄は迷わず書けます。
今週のうちにやること
- よく頼む協力会社に、事業者IDを文字で送ってもらう依頼を1通ずつ出す
- 返ってきた番号を、協力会社ごとの一覧に写す
- 未登録の会社があれば、一覧に「未登録」と書いておく
依頼文は、この記事の例をそのまま使えます。会社名・許可・保険も一緒に聞いておけば、安全書類の会社欄はほぼ埋まります。返信が来ない会社には、次に現場で顔を合わせたときに一声かけると集まりやすくなります。
次の現場の依頼が来たらやること
- 最初の返信で、元請の事業者IDと現場IDを聞く
- 現場IDが未定なら、空欄で出してよいかを同じメールで確かめる
- 二次以下なら、一次会社から届いた書類の控えを手元に置く
提出する前にやること
- チェック表で、3つの書類の番号が同じかを横並びで見る
- 前の現場から複製した書類なら、IDの欄が新しい現場の番号になっているか見る
集めた番号は、一覧かシステムに登録しておきます。そうすれば、次からは書類ごとに探さず、書き写すだけ、選ぶだけで済みます。私がおすすめしたいのは、まず自社の番号1つを控えるところからです。明日の夕方、書類に向かう前の10分で終わります。