目次
- 施工体系図の書き方の要点|「誰がどの工事を受け持つか」を1枚の図にする
- 作るのは元請、下請が用意するのは「自社から下」の情報
- 施工体系図に書く項目の全体像
- 施工体系図と施工体制台帳の違い|同じ情報を「記録」と「掲示」に使い分ける
- 比較表:目的・記載内容・置き場所・作る人
- 作成が必要になる工事の考え方
- 台帳を先に作ると体系図が早い理由
- 施工体系図の掲示|どこに、いつまで貼るか
- 公共工事と民間工事の掲示場所の違い
- 下請が増えた・変わったときの差し替え
- 施工体系図の書き方を欄ごとに解説
- 元請の欄:発注者・工期・監督員・技術者
- 安全衛生の欄:統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・会長と副会長
- 下請の箱:許可業種・主任技術者・担当工事・特定専門工事
- 施工体系図の記入例|屋根葺き替え工事で一次・二次下請まで
- 一次下請だけの現場の記入例
- 二次下請まである現場の記入例と線のつなぎ方
- 差し戻されやすい記入ミス
- 下請として施工体系図の提出を求められたときの準備
- 元請に渡す情報のチェックリスト
- 再下請先から情報を早く集めるコツ
- 施工体系図を現場ごとに作り直さない方法|SITE BOARD(サイトボード)の安全書類
- 協力会社マスタから下請会社を入れる
- 施工体系図タブで入れるのは会長・元方安全衛生管理者・副会長だけ
- 自社が下請のときの施工体系図
- 明日の事務所でやること
元請から「施工体系図も一緒に出して」と言われたことはありませんか。去年の現場のファイルを探しながら、夜の事務所で枠を埋めている方もいると思います。施工体系図の書き方は、欄ごとに「どの書類から写すか」が分かれば迷わずに済みます。ここでは、書く項目、施工体制台帳との違い、掲示が必要かどうか、下請が用意する範囲を順に整理します。最後に屋根葺き替え工事の記入例で一通り埋め、差し戻されずに1回で出せる状態を目指します。
施工体系図の書き方の要点|「誰がどの工事を受け持つか」を1枚の図にする
施工体系図は、元請と下請のつながり、各社の技術者、各社が受け持つ工事を1枚の図にまとめ、現場に貼る書類です。目的は、現場に出入りする人が「この作業の責任者はどの会社の誰か」をすぐ確かめられるようにすることです。
この記事では、次の順に説明します。
- 体系図に書く項目と、それぞれの情報の出どころ
- 施工体制台帳との違い
- 掲示が必要な場面と、貼る場所
- 下請が元請に渡す情報の範囲
- 一次・二次下請までの記入例と、差し戻されやすいミス
作業の見通しも先に書いておきます。施工体制台帳と再下請負通知書の中身がそろっていれば、体系図はほぼ転記で作れます。体系図にしか出てこない情報は、安全衛生の会長・副会長など一部の欄だけです。夜に時間がかかる原因の多くは、「この欄に何を書くか」で迷うことではありません。「その情報がどこにあるか」を探す時間です。
作るのは元請、下請が用意するのは「自社から下」の情報
施工体系図を作り、現場に掲示するのは元請です。ここでいう元請は、発注者から直接工事を請け負った建設業者を指します。
下請の会社が「体系図を出して」と言われたときに求められているのは、多くの場合、次の情報です。
- 自社の会社名・代表者・許可業種と許可番号
- 自社の主任技術者と安全衛生責任者
- 自社が現場に入る工期と担当工事
- 自社が再下請に出す会社についての、同じ項目
下請が図の全体を描く必要は、たいていありません。ただし、元請が体系図の様式を配り、下請が自社の箱を書き込んで返す運用もあります。その場合は、受け取った様式の欄の並びに合わせて書いてください。自社のExcelで作り直して出すと、元請側で写し直す手間が増えます。差し戻しの原因にもなりやすくなります。
工務店が元請になる住宅の現場では、立場が逆になります。自社が全体を作り、板金屋や足場屋から情報を集める側です。元請も下請も経験する会社は、「出す書類」と「受け取る書類」を現場ごとに分けて考えると混乱しにくくなります。
施工体系図に書く項目の全体像
一般的な様式で書く項目と、その写す元を表にまとめます。
| 区分 | 主な項目 | 写す元 |
|---|---|---|
| 元請の欄 | 発注者名、工事名称、工期、元請会社名、監督員、監理技術者または主任技術者、専門技術者 | 工事請負契約書、自社の技術者の資格 |
| 元請の欄(安全衛生) | 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者(協議会の会長・副会長として書く様式もある) | 現場の安全管理の体制 |
| 下請の箱 | 会社名、代表者、許可業種と許可番号、工期、主任技術者、専門技術者、安全衛生責任者、担当工事内容、特定専門工事の該当 | 再下請負通知書、施工体制台帳 |
下請の箱どうしは線でつなぎます。何次の下請かが一目で分かるようにするためです。一次下請は元請の欄のすぐ右に、二次下請はその一次下請の右に置くのが一般的です。
欄の名前や並び順は、元請や様式の版によって違うことがあります。「監督員」が発注者側の人を指す様式もあれば、元請側の人を書く様式もあります。受け取った様式の見出しを正としてください。この記事の項目名は、「何を書く欄か」を見分ける目安として使ってください。
施工体系図と施工体制台帳の違い|同じ情報を「記録」と「掲示」に使い分ける
施工体制台帳と施工体系図は、どちらも同じ工事の体制を書く書類です。違うのは使い道です。
台帳は、契約内容や許可・保険まで細かく記録し、現場に備え置く帳簿です。体系図は、台帳の中から「誰がどの工事を受け持つか」だけを抜き出した図です。誰でも見られるように掲示して使います。
作成が必要になるきっかけは共通です。元請が下請契約を結ぶ工事で、一定の条件に当てはまると、台帳と体系図の両方が必要になります。台帳があれば体系図は要らない、という関係ではありません。
比較表:目的・記載内容・置き場所・作る人
| 項目 | 施工体系図 | 施工体制台帳 |
|---|---|---|
| 目的 | 現場の誰が見ても体制が分かるようにする | 契約と体制を記録する |
| 記載内容 | 会社名・技術者・担当工事・工期が中心 | 体系図の内容に加え、下請契約書の写しの添付や保険の加入状況など、契約の中身まで含む |
| 置き場所 | 現場に掲示する | 現場に備え置く |
| 作る人 | 元請 | 元請(下請は再下請負通知書などで情報を上げる) |
体系図に載る情報は、すべて台帳にあります。一方で、台帳の情報がすべて体系図に載るわけではありません。体系図は人目に触れる場所に貼るため、保険の番号や契約金額まで書き込む必要はありません。様式にない情報を書き足すと、かえって元請から修正を求められることがあります。
作成が必要になる工事の考え方
公共工事では、下請契約を結べば、金額にかかわらず台帳と体系図の作成が必要になります。
民間工事では、発注者から直接請け負った元請が結ぶ下請契約の合計額が、一定額以上になるときに必要になります。この金額基準は改定されてきたため、古い資料の数字をそのまま使うのは危険です。現在の基準と旧基準は次のとおりです(いずれも元請が結ぶ下請契約の合計額)。
| 区分 | 現在の基準 | 旧基準 |
|---|---|---|
| 建築一式工事 | 8,000万円以上 | 7,000万円以上 |
| それ以外の工事 | 5,000万円以上 | 4,500万円以上 |
令和6年12月の改正で引き上げられました。古い記事や社内マニュアルには旧基準のまま載っているものが多いので注意してください。根拠は、公共工事が入契法(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)第15条、民間工事が建設業法第24条の8です。最新の基準は、国土交通省の公式情報で確かめてください。
施工体系図を含む施工体制台帳の関係書類は、工事の引き渡し後も営業所ごとに保存が必要です。保存期間は、一般に引き渡しから10年とされています。書類によって扱いが違う部分もあるため、国土交通省の公式情報もあわせて確かめてください。
税込で数えるか、下請を合計するかといった数え方は、次の記事で詳しく整理しています。
施工体制台帳の金額基準|4,500万円は旧基準。税込・下請合計の数え方
施工体制台帳の金額基準は、元請が直接結ぶ下請契約の税込合計で判定します。4,500万円は2025年1月までの旧基準です。税抜4,580万円でも作成が必要になる例、追加工事で超えたときの動き、公共工事の扱いを金額例で整理します。
記事を読む
注意したいのは、法律上の義務がかからない規模の工事です。その場合でも、元請の社内ルールや安全管理の方針で、体系図の提出を求められることがあります。住宅会社や大きな元請の現場では、規模に関係なく安全書類一式を出す決まりにしている例もあります。「うちは小さい工事だから要らない」と自分で判断せず、元請の指示を確かめるのが確実です。
台帳を先に作ると体系図が早い理由
体系図の項目は、ほぼすべて台帳と再下請負通知書に含まれています。そのため、作る順番を次のように決めておくと転記ミスが減ります。
- 下請から再下請負通知書を集める
- 通知書の内容を施工体制台帳に写す
- 台帳から施工体系図に写す

通知書を台帳に写すとき、許可の期限切れや工期のずれに気づけます。体系図は確かめた台帳から写すだけなので、迷う欄がほとんど残りません。逆の順番で作ると、体系図だけ直して台帳が古いまま、という食い違いが起きやすくなります。
台帳そのものの書き方は、次の記事で欄ごとに解説しています。この記事では、体系図への写し方に絞って説明します。
施工体制台帳の書き方と添付書類|全建統一様式第3号を埋める順番
施工体制台帳の書き方を、全建統一様式第3号を5つのかたまりに分けて説明します。元請の会社情報から工事情報、技術者、保険、一次下請の欄まで、どの書類を見て埋めるかを順番に整理しました。添付書類の一覧と、差し戻されやすい記入例の誤りもまとめています。
記事を読む
施工体系図の掲示|どこに、いつまで貼るか
掲示は元請の役目です。工事期間中、現場の見やすい場所に貼ります。下請が自分で貼る必要は、ふつうはありません。
掲示場所の考え方は、公共工事と民間工事で違います。公共工事のほうが、貼る場所が多くなります。また、下請が変わったときは貼り替えが必要です。古い図を貼ったままにすると、実際の体制と食い違ってしまいます。
体系図の作成・掲示を怠ると、建設業法にもとづく監督処分(指示処分、程度によっては営業停止など)の対象になり得ます。根拠の条文と処分の範囲は、国土交通省の公式情報で確認してください。
公共工事と民間工事の掲示場所の違い
| 工事 | 掲示する場所 | 具体的な例 | 発注者への提出・閲覧 |
|---|---|---|---|
| 民間工事 | 工事関係者が見やすい場所 | 現場事務所や詰所の掲示板 | 提出義務はなく、発注者から求めがあれば台帳を閲覧させる |
| 公共工事 | 工事関係者が見やすい場所と、公衆が見やすい場所の両方 | 詰所の掲示板に加え、仮囲いの外側など | 台帳の写しを発注者に提出する |
住宅のリフォームのように、詰所がない現場も多いと思います。その場合は、次の基準で貼る場所を選ぶと迷いません。
- 職人が出入りのたびに目に入る場所か(玄関脇の足場の昇降口付近など)
- 立ち止まって読める高さか(目の高さ前後)
- 汚れや臭いで読みにくくならないか(仮設トイレの横は避ける)
- 施主の生活の邪魔にならないか(玄関ドアの正面など、出入りをふさぐ位置は避ける)
ほかの標識や掲示物を貼った板があれば、その並びに貼ると見つけやすくなります。
屋外に貼るときは、雨と日焼けの対策が要ります。クリアファイルに入れ、上の口を下に向けて貼ると雨が入りにくくなります。工期が長い現場ではラミネートしておくと、文字が薄れにくくなります。A4で字が小さく読みにくい場合は、A3に拡大して貼るのも一つの方法です。
下請が増えた・変わったときの差し替え
体系図は、工事の途中で直す必要が出ることがあります。たとえば次の場面です。
- 二次下請の足場屋が、工事の途中から入ることになった
- 職人の所属する会社が変わった
- 下請の安全衛生責任者や主任技術者が交代した
元請の差し替えが間に合うかどうかは、下請からの連絡の早さで決まります。下請側は、再下請先が決まった時点で元請へ連絡し、再下請負通知書を出してください。現場に入ってから知らせると、掲示が古いまま作業が始まってしまいます。
差し替えた古い図は、捨てずに控えとして残しておくと安心です。「あの週はどの会社が入っていたか」を後から確かめたいとき、すぐに答えられます。工事完了後の保存期間など制度の細部は、国土交通省の公式情報で確認してください。
施工体系図の書き方を欄ごとに解説
一般的な様式は、左に元請の欄、右に下請の箱が並ぶ形です。

埋める順番は次のとおりです。
- 元請の欄を上の段から順に埋める
- 安全衛生の欄を埋める
- 下請の箱を、一次から順に埋める
- 最後に、箱どうしを線でつなぐ
線を先に引くと、箱の数が変わったときに描き直しになります。中身を埋めてからつなぐほうが手戻りが少なくなります。
ここからは、次の例で説明します。次の章の記入例も同じ名前と数字です。
- 工事名称:○○様邸 屋根葺き替え工事
- 元請:○○工務店(工期 9月1日〜9月30日)
- 一次下請:△△板金(屋根工事、9月5日〜9月25日)
- 二次下請:□□工業(足場工事、9月3日〜9月28日)
元請の欄:発注者・工期・監督員・技術者
発注者名と工事名称は、工事請負契約書のとおりに書きます。「○○様邸 屋根葺き替え工事」を「○○邸屋根」のように略すと、台帳と照らし合わせたときに別の工事に見えてしまいます。
工期は契約書の工期を書きます。例では9月1日〜9月30日です。このとき、下請の工期がすべてこの範囲の内側に入っているかを確かめます。
監督員の欄は、置いている人がいれば氏名を書きます。発注者側の監督員を書く欄か、元請側の監督員を書く欄かは、様式の見出しで確かめてください。置いていなければ空欄にします。
監理技術者と主任技術者のどちらを書くかは、元請の請負の条件で決まります。資格と氏名を合わせて書きます。例:「主任技術者 一級建築施工管理技士 山田 一郎」。
専門技術者は、置いている場合だけ書きます。置いていなければ空欄で問題ありません。迷って誰かの名前を入れると、台帳と食い違う原因になります。
安全衛生の欄:統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者・会長と副会長
統括安全衛生責任者と元方安全衛生管理者の欄には、元請側の人を書きます。様式によっては「災害防止協議会 会長」「副会長」という形で書く欄になっています。法律上、統括安全衛生責任者の選任が必要になるのは、元請・下請の労働者が同じ場所で常時50人以上働く現場です。ずい道・圧気工事など一部の工事は30人以上です(労働安全衛生法第15条。元方安全衛生管理者は第15条の2)。ただ、様式の欄としては、規模にかかわらず元請側の責任者を書く運用が多く見られます。
副会長には、一次下請の代表者や安全衛生責任者を書く運用が多くあります。ただし決め方は元請によって違うため、元請の指示に従ってください。
下請の箱の安全衛生責任者には、その会社で現場に常駐する職長クラスの人を書く場合が多くあります。
氏名だけでなく、会社名と職名もそろえて書きます。「田中」とだけ書くと、元請と下請に同じ名字の人がいたときに読み違えます。例:「△△板金 職長 田中 三郎」。
下請の箱:許可業種・主任技術者・担当工事・特定専門工事
会社名と代表者名は、登記のとおりに書きます。許可は「○○県知事許可(般-○)第○○○○○号」の形で、許可業種と合わせて書きます。例:「屋根工事 ○○県知事許可(般-○)第○○○○○号」。
許可番号は「大臣許可/知事許可」→「般/特」→番号の順に書きます。下請に多いのは一般建設業(般)です。特定建設業(特)は、元請として大きな額を下請に出す会社向けの許可です。どちらかは許可通知書で確認してください。
主任技術者は、建設業の許可を受けている下請も原則として置く必要があります。資格と氏名を書いてください。
担当工事内容は、工種が分かる言葉で短く書きます。例:「屋根葺き替え工事」。「屋根まわり一式」のようなあいまいな書き方は避けます。
特定専門工事の該当は、鉄筋工事・型枠工事のときに関係する欄です。一定の条件を満たすと、下請の主任技術者を置かない扱いにできる制度に関わります。屋根工事や足場工事は対象外なので「非該当」と書きます。
工期は、その会社が現場に入る期間を書きます。△△板金なら9月5日〜9月25日です。元請の工期9月1日〜9月30日の内側か、毎回確かめてください。
施工体系図の記入例|屋根葺き替え工事で一次・二次下請まで
記入例の条件は次のとおりです。
- 元請:○○工務店
- 一次下請:△△板金(屋根工事)
- 二次下請:□□工業(足場工事。△△板金が注文)
工期を検算します。
| 会社 | 工期 | 元請の工期(9月1日〜9月30日)との関係 |
|---|---|---|
| ○○工務店(元請) | 9月1日〜9月30日 | 基準 |
| △△板金(一次) | 9月5日〜9月25日 | 9月5日は9月1日以降、9月25日は9月30日以前で内側 |
| □□工業(二次) | 9月3日〜9月28日 | 9月3日は9月1日以降、9月28日は9月30日以前で内側 |
二次の足場の工期が、一次より前後に長くなっている点に注目してください。足場は屋根工事の前に組み、終わってから外すため、こうした工期になることがあります。元請の工期の内側に入っていれば、体系図としては食い違いになりません。ただし元請によっては、一次の工期を足場の期間に合わせるよう求める場合があります。気になるときは提出前に確認してください。
一次下請だけの現場の記入例
まずは、△△板金が再下請を使わない場合です。元請の欄と、一次下請の箱が1つだけの形になります。
| 欄 | 記入例 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 発注者名 | ○○ 太郎 | 契約書の注文者の名前どおり |
| 工事名称 | ○○様邸 屋根葺き替え工事 | 略さない |
| 工期(元請) | 9月1日〜9月30日 | 契約書の工期 |
| 元請会社名 | ○○工務店 | 登記どおりの会社名 |
| 主任技術者(元請) | 一級建築施工管理技士 山田 一郎 | 資格と氏名をセットで |
| 会長(統括安全衛生責任者) | ○○工務店 工事課長 山田 一郎 | 会社名・職名をそろえる |
| 元方安全衛生管理者 | ○○工務店 工事主任 佐藤 健 | 元請側の人を書く |
| 一次 会社名・代表者 | △△板金 代表取締役 鈴木 次郎 | 代表者の交代がないか確認 |
| 一次 許可 | 屋根工事 ○○県知事許可(般-○)第○○○○○号 | 担当工事と業種が合っているか |
| 一次 主任技術者 | 一級建築板金技能士 鈴木 次郎 | 台帳と同じ人にする |
| 一次 安全衛生責任者 | △△板金 職長 田中 三郎 | 現場に常駐する人 |
| 一次 担当工事内容 | 屋根葺き替え工事一式 | 台帳と同じ言葉にそろえる |
| 一次 工期 | 9月5日〜9月25日 | 元請の工期の内側 |
| 特定専門工事の該当 | 非該当 | 鉄筋・型枠工事以外は非該当 |
再下請を使わない現場でも、一次下請の主任技術者と安全衛生責任者の欄は空けずに埋めます。空欄にすると、「置いていないのか、書き忘れか」を元請が判断できず、問い合わせが来ます。
担当工事内容は、台帳に書いた言葉とそろえてください。台帳が「屋根葺き替え工事一式」なら、体系図も同じ書き方にします。
二次下請まである現場の記入例と線のつなぎ方
次は、△△板金が□□工業に足場を注文した場合です。□□工業の箱を、注文した△△板金の箱の右に置き、線で結びます。
| 欄 | 記入例 | 書くときの注意 |
|---|---|---|
| 二次 会社名・代表者 | □□工業 代表取締役 高橋 四郎 | 通知書と同じ表記にする |
| 二次 許可 | とび・土工・コンクリート工事 ○○県知事許可(般-○)第○○○○○号 | 足場は屋根工事の許可ではない |
| 二次 主任技術者 | 一級とび技能士 高橋 四郎 | 資格と氏名をセットで |
| 二次 安全衛生責任者 | □□工業 職長 伊藤 五郎 | 足場の架設・解体時に常駐する人 |
| 二次 担当工事内容 | 足場工事(仮設足場の架設・解体) | 工種が分かる言葉で |
| 二次 工期 | 9月3日〜9月28日 | 元請の工期の内側 |
| 特定専門工事の該当 | 非該当 | 足場工事は対象外 |
一次下請が2社あり、片方だけが再下請を使う場合も考えてみます。たとえば破風板と軒天の塗装を、◇◇塗装(塗装工事、9月22日〜9月26日)に元請から直接頼んだとします。9月22日〜9月26日も、元請の工期の内側です。配置は次のようになります。
- 上の段:元請の欄 → △△板金(一次) → □□工業(二次)
- 下の段:元請の欄 → ◇◇塗装(一次)。右の二次の位置は空ける
◇◇塗装の右を空けておくと、「この会社は再下請を使っていない」と一目で分かります。
二次下請の情報は、一次下請が集めた再下請負通知書から写します。この例なら、△△板金が□□工業から受け取った通知書が写す元です。写し終えたら、会社名・許可番号・工期の3点を、通知書と体系図で1行ずつ照らし合わせてください。
差し戻されやすい記入ミス
施工体系図には、法令で決まった様式はありません。必要な項目がそろっていれば、元請や団体の様式で構いません。国土交通省が公開している様式例は、国土交通省の公式ページで確認できます。
- 下請の工期が、元請の工期からはみ出している。 例:足場の解体日を10月2日と書き、元請の9月30日を越えている。工期表と照らし合わせて直す
- 許可業種と担当工事が合っていない。 例:屋根工事の許可しかない会社の担当工事に、足場工事と書いている。実際に足場を組む会社を箱に分ける
- 主任技術者が空欄、または台帳と別の人になっている。 体系図だけ直して台帳を直し忘れると起きやすい
- 会社名が略称や旧社名のまま、代表者が交代前の名前のまま。 前の現場のファイルをコピーしたときに起きやすい
- 掲示用の体系図が、下請の追加前の古い版のまま。 事務所の控えは新しいのに、現場の掲示だけ古いことがある
- 担当工事内容が「内装一式」「土木工事」のように大ざっぱ。 「屋根葺き替え工事」「足場の架設・解体」のように、何をする会社かが分かる言葉で書く
下請として施工体系図の提出を求められたときの準備
下請の立場で提出を求められたら、まず元請に確かめることがあります。求められているのが「自社部分の情報」なのか、「配られた様式への記入」なのかです。前者なら情報を一覧にして渡せば足ります。後者なら、元請の様式に自社の箱を書き込んで返します。
どちらの場合でも、自社と再下請先の情報を1か所にまとめておけば対応できます。元請ごとに様式が違っても、転記で済むからです。
一次下請の場合は、下請負業者編成表も同じ情報で作れます。編成表は一次下請が作る書類です。自社から下の会社のつながりを書くため、中身は体系図の下請部分とほぼ同じ形になります。
再下請負通知書の欄ごとの書き方は、ここでは扱いません。体系図に必要な情報を、どう集めておくかに絞って説明します。
元請に渡す情報のチェックリスト
自社分を1枚、再下請先も会社ごとに1枚、同じ形で用意します。現場ごとに「工期」と「担当工事」だけを書き換えれば使い回せます。
| 項目 | 記入例(△△板金の場合) | 確かめる書類 |
|---|---|---|
| 会社名・代表者 | △△板金 代表取締役 鈴木 次郎 | 登記の内容 |
| 許可業種と許可番号 | 屋根工事 ○○県知事許可(般-○)第○○○○○号 | 建設業許可通知書 |
| 主任技術者と資格 | 一級建築板金技能士 鈴木 次郎 | 合格証書・技能士証 |
| 主任技術者の専任・非専任 | 非専任 | 元請に確認 |
| 専門技術者 | なし | 置いているときだけ書く |
| 安全衛生責任者 | 職長 田中 三郎 | 現場の人員配置 |
| 担当工事内容 | 屋根葺き替え工事一式 | 注文書 |
| 工期 | 9月5日〜9月25日 | 注文書・工程表 |
再下請先の□□工業についても、同じ8項目で1枚作ります。主任技術者が専任か非専任かは、工事の内容と請負金額で決まります。判断がつかないときは、自社で決めずに元請へ確認してください。
再下請先から情報を早く集めるコツ
情報集めで時間がかかるのは、現場が決まってから許可証や資格証を頼むときです。相手も現場に出ていて、写しが届くまで数日かかることがあります。
- 取引を始めたときに1回もらう。 許可証の写しと主任技術者の資格証の写しを、会社ごとのフォルダに保管しておく
- 年に1回、確認する日を決める。 建設業の許可は5年ごとに更新が必要です。更新すると「(般-○)」の数字が変わることがあります。代表者の交代も、このときにまとめて聞く
- 現場ごとに聞くのは2つだけにする。 工期と担当工事なら、電話1本で足ります
毎回Excelで一から作ると、手間とミスが出やすい場所は決まっています。前の現場のファイルをコピーすると、古い工期や交代前の代表者名が残りがちです。許可番号を手で打ち直すと、数字の打ち間違いが起きます。体系図と通知書を別々のファイルで直すと、片方だけ新しくなります。同じ情報を何か所にも打たない形にしておくと、これらはまとめて減らせます。
施工体系図を現場ごとに作り直さない方法|SITE BOARD(サイトボード)の安全書類
体系図を毎回作り直さないための考え方は、シンプルです。協力会社や自社の情報を一度登録しておき、現場ごとに入れるのは工期や担当工事など変わる部分だけにします。
手書きやExcelでも、この考え方は実行できます。選択肢の1つとして、SITE BOARD(サイトボード)の安全書類の画面を紹介します。
サイドバー「書類管理」>「安全書類」を開くと、上に「共通項目」のカード、その下に書類ごとのタブが並びます。

共通項目に工事・自社・下請会社の情報を1回入れると、各タブから次のような書類を出せます。施工体系図、施工体制台帳、再下請負通知書、下請負業者編成表などです。どの書類も、配られている様式ファイルにそのまま流し込む仕組みです。SITE BOARDが独自に作った様式ではないため、元請にそのまま出せます。施工体系図は様式番号の印字が無い様式なので、画面のタブも「施工体系図」とだけ表示されます。
協力会社マスタから下請会社を入れる
共通項目の「+ 下請会社を追加」を押し、「協力会社から選ぶ」で会社を選びます。会社名・代表者・住所・電話・FAX・事業者IDに加え、登録済みの許可・保険・退職金共済などがまとめて入ります。協力会社マスタに許可や保険を入れておくと、現場ごとに打ち直さずに済みます。

二次下請を入れるときは、「上位: 自社」の欄を使います。「自社」のままなら一次下請です。ほかの行を選ぶと、その会社の下の二次・三次下請になります。例なら、□□工業の行で上位に△△板金を選びます。行の左に「1次下請」「2次下請」と表示されるので、つながりをその場で確かめられます。工期や工事内容は、「欄を開く」から会社ごとに入れます。
つまずきやすい点が2つあります。会社名が空の行は、保存のときに消えます。また、現場を切り替えると入力中の内容は保存されません。切り替える前に「保存する」を押してください。
施工体系図タブで入れるのは会長・元方安全衛生管理者・副会長だけ
施工体系図のタブで入れるのは、元請の欄の会長(統括安全衛生責任者)、元方安全衛生管理者、副会長だけです。それぞれ会社名・職名と氏名を入れます。そのほかの欄は、共通項目から入ります。会長と元方安全衛生管理者を空にしたときは、自社の現場代理人と安全衛生責任者が入ります。
出力される様式は、左が元請の欄、右が4列×4段の会社の箱です。列が次数で、左から1次・2次・3次・4次と並びます。1社目の下請は上位の会社と同じ段の右の列に、2社目からは下の段に置かれます。前の章の例なら、上の段に△△板金と□□工業、下の段に◇◇塗装という配置です。4段に入りきらないときはページが増えます。5次より下の会社は載りません。
箱の左の縦長の欄には、その会社の許可業種(例:屋根工事)が入ります。特定専門工事の該当は、会社の欄の設定が反映されます。出力は保存した内容から作られます。入力を直したら、先に「保存する」を押してから出力してください。
自社が下請のときの施工体系図
共通項目の「自社の立場」で下請を選ぶと、元請会社名と直近上位の注文者の欄が出ます。この場合、体系図の左の欄は元請会社名になります。自社は、自分の次数の列に置かれます。元請の監督員や技術者は自社では分からないため、空のまま出ます。元請に様式を埋めて返す場面では、元請に見てもらう下書きとして使えます。
出力は、PDFなら無料期間中も使えます。Excelのダウンロードは本登録(ご契約)後になり、無料期間中はボタンが「Excel(本登録後)」と表示されて押せません。料金は料金プランのページで確認できます。作業員名簿から全11種類の安全書類を出す流れは、コラムの「グリーンファイルの作成手順」の記事で説明しています。
明日の事務所でやること
体系図は、情報がそろっていれば短い時間で埋められる書類です。次の現場で慌てないために、明日の事務所で次のことを試してみてください。
- 元請に確認する。 次に体系図を求められる現場について、「自社部分の情報を渡せばよいか」「様式に記入して返すか」を電話で聞く
- 自社の情報を1枚にまとめる。 許可業種と許可番号、主任技術者の氏名と資格、安全衛生責任者を、チェックリストの形で書き出す
- よく使う再下請先を確かめる。 許可証の写しが手元にあるか、「(般-○)」の数字と代表者名が最新かを見直す
- 作る順番を決めておく。 元請の立場なら、再下請負通知書→台帳→体系図の順で作る
- 掲示の場所を決めておく。 詰所がない現場なら、昇降口付近などの見やすい場所とクリアファイルを準備する
1と2は、夕方の30分あれば終わる作業です。これだけでも、次に依頼が来たときに去年のファイルを探す時間はなくなります。
現場ごとにExcelを作り直している場合は、協力会社の情報を一か所に登録しておく方法も選択肢になります。SITE BOARDを試してみたい方は、無料で使い始めるから始められます。