目次
- 安全書類の一覧は「入場前に出す一式」|まずこの11種類を押さえる
- 安全書類(グリーンファイル)とは何か、なぜ様式が統一されているのか
- 安全書類の一覧表|全建統一様式11種類を何のための書類か・誰が作るか・いつ出すかで整理
- 何枚いるのかを数える|作業員の人数・下請の社数・機械の台数で変わる
- 先に作ると後がほとんど埋まる順番|作業員名簿から始める
- この順で作ると、書き写しがどこで減るか
- 入場前・機械の持ち込み前・現場が動き出してから
- つまずきやすいところ|差し戻しの原因になりやすい欄
- 元請によって違うところ|安全書類の一覧は現場ごとに確認する
- 共通項目を1回入れて11種類を出す|SITE BOARD の安全書類の画面
- 明日から始める段取り|安全書類の一覧と自社の固定情報を1か所にまとめる
現場に入る前に「安全書類を出しておいて」と言われ、前の現場のファイルを引っ張り出していませんか。安全書類の一覧といっても、どれが自社で作るもので、何枚いるのかは書式集を見ても書いてありません。この記事では、全建統一様式の11種類を「何のための書類か・誰が作るか・いつ出すか」の表で整理します。作業員5人・二次下請2社・重機1台の現場で合計何枚になるかも数え、先に作ると後が埋まる順番まで示します。読み終えたときに、自社の現場で「どの書類を、誰の分、何枚」用意すればよいかが手元で数えられる状態を目指します。
安全書類の一覧は「入場前に出す一式」|まずこの11種類を押さえる
元請の「安全書類を出しておいて」が指しているのは、ほぼ全建統一様式の一式です。一般社団法人全国建設業協会がまとめた様式で、綴じたファイルの色から現場では「グリーンファイル」と呼ばれています。種類は11種類あり、このうち下請の立場で自社が作るのは主に9種類です。
| 立場 | 作る書類 |
|---|---|
| 下請(自社) | 作業員名簿、新規入場者調査票、新規入場時等教育実施報告書、再下請負通知書、下請負業者編成表、工事安全衛生計画書、持込機械等使用届、持込機械届済証、持込機械等使用届(電動工具) |
| 元請 | 施工体系図、施工体制台帳 |
施工体系図と施工体制台帳は元請が作ります。下請は、自社と自社が使う会社の情報を元請へ返す立場です。返す情報の中身は、再下請負通知書に書いたものとほぼ同じになります。ですから下請としては、まず9種類を用意できれば足ります。
提出の期限を「初日の朝に持っていけばいい」と考えていると、たいてい間に合いません。元請の担当者が内容を確認し、不備があれば差し戻されます。差し戻しから直して再提出するまでを見込むと、入場の3〜5日前に一度出しておくのが実務上の目安です。元請によっては「1週間前まで」と決めている現場もあります。最初の打ち合わせで期限を聞いておくと、夕方の作業が読めるようになります。
差し戻しの原因で多いのが、前の現場のファイルを写したときの直しもれです。工事名称、工期、宛名の作業所長名、現場代理人。この4つは現場ごとに必ず変わります。会社名や許可番号は合っているのに、宛名が前の所長のままで返される。作業員名簿の入場日が前の現場の日付のまま残っている。こうした止まり方は、書類の中身ではなく写し方の問題です。
まずは11種類の顔ぶれを確認し、そのあとで枚数の数え方と作る順番に進みます。
安全書類(グリーンファイル)とは何か、なぜ様式が統一されているのか
グリーンファイルという呼び名は、これらの書類を綴じるファイルの表紙が緑色だったことに由来する現場の通称です。正式な法令用語ではありません。元請の担当者が「グリーンファイル一式」と言えば、この記事で扱う安全書類のまとまりを指しています。
安全書類が求められる理由は、大きく2つあります。
ひとつは、元請の統括安全衛生管理です。同じ現場に複数の会社の作業員が混ざって働くとき、元請には現場全体の安全衛生を統括する立場があります。誰が、どんな資格を持ち、どんな健康状態で入ってくるのか。どんな機械が持ち込まれ、いつ点検されたのか。これを把握していないと、混在作業の危険を判断できません。作業員名簿・新規入場者調査票・教育実施報告書・持込機械の届は、この目的で出す書類です。統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者の選任、混在作業での措置の考え方は、厚生労働省が公表している労働安全衛生関係の資料で確認できます。
もうひとつは、施工体制の把握です。元請から一次、二次、三次へと契約がつながるとき、誰がどの工事をどの契約でやっているのかを明らかにしておく必要があります。建設業法では、一定の条件にあたる工事で元請に施工体制台帳の作成と施工体系図の掲示が義務づけられています。下請が出す再下請負通知書は、その台帳と体系図をつくるための材料です。作成が必要になる金額の基準や細かい取り扱いは改正されることがあるため、国土交通省が公表している最新の情報で確認してください。いまの金額基準と数え方は、施工体制台帳の金額基準の記事で金額例つきで整理しています。
つまり、グリーンファイルの中身は「労働安全衛生のための書類」と「建設業法上の施工体制のための書類」が混ざっています。目的が違うので、提出のタイミングも違います。同じ日に全部そろえなければいけない、というものではありません。
様式が統一されている理由は単純です。元請ごとに様式がばらばらだと、下請は同じ内容を何度も別の紙に書き写すことになります。全国建設業協会の統一様式(全建統一様式)が広く使われているのは、その負担を減らすためです。実際、多くのゼネコン・工務店がこの様式をそのまま採用しています。
様式には「様式第◯号」と「参考様式第◯号」の2種類があります。番号だけの様式は本体の位置づけで、たいていの現場で求められます。参考様式は補助的な位置づけで、元請によって求める・求めないが分かれます。新規入場者調査票(参考様式第4号)や電動工具の届(参考様式第6号)がこれにあたります。「参考」とあっても、求められれば出す書類です。逆に、元請が不要と言えば作らなくて済みます。この違いを知っておくと、最初の確認で聞くことが決まります。
安全書類の一覧表|全建統一様式11種類を何のための書類か・誰が作るか・いつ出すかで整理
11種類を1つの表にまとめます。「いつ出すか」は現場によって前後しますので、目安として読んでください。
| 書類名(様式番号) | 何のための書類か | 誰が作るか | いつ出すか |
|---|---|---|---|
| 作業員名簿(様式第5号) | 現場に入る作業員の氏名・生年月日・資格・保険・健康診断を元請へ知らせる | 下請(自社) | 入場前 |
| 新規入場者調査票(参考様式第4号) | 作業員1人ずつの経歴・健康状態・資格を本人分まで確認する | 下請(本人記入欄あり) | 入場前〜入場当日 |
| 新規入場時等教育実施報告書(様式第7号) | 自社で行った新規入場時教育の日時・内容・受講者を報告する | 下請 | 教育を行った後、入場前 |
| 再下請負通知書(様式第1号-甲) | 自社がさらに下請を使うことを元請へ通知する | 下請(再下請を使う会社) | 再下請と契約したらすみやかに |
| 下請負業者編成表(様式第1号-乙) | 自社の下に付く会社の並び(次数のつながり)を一覧にする | 一次下請(元請が作る場合もある) | 入場前 |
| 工事安全衛生計画書(様式第6号) | 方針・目標・工種別の期間・リスクアセスメントをまとめる | 下請 | 着工前に現場ごと1回 |
| 持込機械等使用届(様式第9号) | 移動式クレーン・車両系建設機械の持ち込みを届け出る | 機械を持ち込む会社 | 機械の搬入前 |
| 持込機械届済証(様式第10号) | 受理された機械に貼り付け、届出済みであることを示す | 下請が作成し元請が受付欄を記入 | 機械の搬入前 |
| 持込機械等使用届 電動工具(参考様式第6号) | 電動工具・電気溶接機の持ち込みを届け出る | 機械を持ち込む会社 | 工具の搬入前 |
| 施工体系図(様式番号なし) | 元請から下請までのつながりを図にして現場に掲示する | 元請 | 着工後、工事期間中は掲示 |
| 施工体制台帳(様式第3号) | 各社の許可・保険・技術者などを記載し現場に備え置く | 元請 | 着工前に作成、変更のつど更新 |
人に関する書類が、作業員名簿・新規入場者調査票・新規入場時等教育実施報告書の3つです。この3つは中身が重なっています。名簿に書いた氏名や資格が調査票にも出てきますし、名簿の受入教育実施年月日は教育実施報告書の実施日と同じ日付になります。入場前にセットでそろえる書類だと考えてください。作業員名簿の書き方そのものは、次の記事でも手順を追って説明しています。
作業員名簿の作成手順と工事請負契約書|建設会社の書類管理ガイド
作業員名簿の作成や工事請負契約書、協力会社への注文書づくりに夜まで追われていませんか。案件から書類をつないで入力を1回で済ませる手順、全建統一様式第5号の出し方、印紙税額の確認まで、事務担当がその日から試せる流れをまとめました。
記事を読む
再下請負通知書と下請負業者編成表は、自社が下請を使うときの書類です。自社の職人だけで施工する現場では、元請から求められないこともあります。一人で入る現場なら、ここは省ける場合があります。
工事安全衛生計画書は、作業員の人数や機械の台数とは関係なく、現場ごとに1回です。工種別の工事期間とリスクアセスメントを書く欄があり、11種類の中ではいちばん手が止まりやすい書類でもあります。方針と目標は会社で決まった文言を使い回せますが、工種ごとの期間と危険の見積りは現場ごとに考える欄です。
持込機械の3種類は、提出のタイミングが人の書類と違います。入場前ではなく、その機械を搬入する日に合わせて出します。名簿を出した1週間後に重機を入れることになった、という場合は、そのときに届を追加で出せば足ります。
何枚いるのかを数える|作業員の人数・下請の社数・機械の台数で変わる
安全書類は「11種類=11枚」ではありません。1現場に1枚でよいものと、人数・社数・台数に応じて増えるものがあります。ここを分けて数えると、必要な部数がすぐ出ます。
| 枚数の考え方 | 書類 |
|---|---|
| 1現場に1枚(人数が多いと2枚目) | 作業員名簿、下請負業者編成表、工事安全衛生計画書、電動工具の届(1枚に10台程度まで) |
| 人数・社数・台数で増える | 新規入場者調査票(1人1枚)、持込機械等使用届(1台1枚)、持込機械届済証(1台1枚)、再下請負通知書(1社1枚)、施工体制台帳(下請1社1枚・元請が作成) |
再下請負通知書が1社1枚になるのは、様式の作りに理由があります。A3横の紙の左半分が自社(報告下請負業者)、右半分が再下請負業者1社ぶんの欄です。2社に出しているなら、左は同じ内容のまま右だけ変えた紙が2枚になります。施工体制台帳も同じで、左が元請、右が下請1社の作りです。下請が3社なら3枚です。

新規入場時等教育実施報告書は、同じ日に同じ内容で教育した5人をまとめて1枚に書けます。ただし受講者ごとに氏名の欄があり、様式には「受講者に氏名を自筆させること」と書かれています。入場日が分かれるときは、教育の回ごとに紙が増えます。
例1:作業員5人・二次下請2社・重機1台の現場
自社が一次下請で、二次下請を2社使い、重機を1台持ち込むとします。下請として自社が用意する枚数を1つずつ足します。
- 作業員名簿 … 1枚
- 新規入場者調査票 … 5人×1枚 = 5枚
- 新規入場時等教育実施報告書 … 1枚
- 再下請負通知書 … 2社×1枚 = 2枚
- 下請負業者編成表 … 1枚
- 工事安全衛生計画書 … 1枚
- 持込機械等使用届(電動工具) … 1枚
- 持込機械等使用届 … 1台×1枚 = 1枚
- 持込機械届済証 … 1台×1枚 = 1枚
合計は 1+5+1+2+1+1+1+1+1 で14枚です。順に足すと、1、6、7、9、10、11、12、13、14 になります。種類は9種類でも、紙は14枚です。
このほかに元請側で施工体制台帳が2枚(下請2社ぶん)作られますが、これは自社が作る紙ではありません。自社は、その材料として再下請負通知書に書いた情報を返す立場です。
例2:作業員3人・下請なし・電動工具だけの現場
自社の職人3人で入り、下請を使わず、重機も入れない現場です。この場合は再下請負通知書と下請負業者編成表が要りません。
- 作業員名簿 … 1枚
- 新規入場者調査票 … 3人×1枚 = 3枚
- 新規入場時等教育実施報告書 … 1枚
- 工事安全衛生計画書 … 1枚
- 持込機械等使用届(電動工具) … 1枚
合計は 1+3+1+1+1 で7枚です。同じ11種類の中から選んでいるだけなのに、紙の枚数は14枚と7枚で倍近く違います。「安全書類一式で何枚必要か」を先に数えておくと、印刷と押印にかかる時間も読めます。
先に作ると後がほとんど埋まる順番|作業員名簿から始める
作る順番を変えるだけで、書き写しの量が目に見えて減ります。おすすめの順番は次のとおりです。
- 作業員名簿(様式第5号)
- 新規入場者調査票(参考様式第4号)
- 新規入場時等教育実施報告書(様式第7号)
- 再下請負通知書(様式第1号-甲)
- 下請負業者編成表(様式第1号-乙)
- 工事安全衛生計画書(様式第6号)
- 持込機械等使用届 電動工具(参考様式第6号)
- 持込機械等使用届(様式第9号)
- 持込機械届済証(様式第10号)
- 施工体系図(元請のみ)
- 施工体制台帳(元請のみ)
作業員名簿を先頭に置く理由は、この1枚に後続の書類が使う情報がほとんど入っているからです。氏名、フリガナ、生年月日、職種、資格、保険の加入状況、健康診断の受診日、雇入年月日、新規入場年月日。新規入場者調査票は、この内容を1人1枚の形に並べ替えたものです。名簿が固まっていないうちに調査票から書き始めると、あとで名簿を直したときに全員分を直すことになります。
教育実施報告書との関係も同じです。作業員名簿には「受入教育実施年月日」の欄があり、教育実施報告書には教育の実施日を書きます。この2つがずれていると、元請の確認で止まります。名簿の日付を先に決めてしまえば、報告書にはその日付をそのまま書くだけです。教育を2回に分けたときは、名簿の日付も人によって変える必要があります。
4番目と5番目は、下請の情報を1回そろえれば両方が埋まる組み合わせです。会社名、代表者、住所、電話、建設業の許可番号、保険の加入状況、工期、担当工事内容、そして「その会社に注文した会社はどこか」。この9項目を会社ごとにメモしておくと、再下請負通知書の右半分と編成表の枠が同時に埋まります。順番を逆にすると、編成表を見ながら通知書を書くことになり、抜けに気づきにくくなります。
機械は「使用届が先、届済証が後」です。届済証は、使用届に書いた機械名・規格・運転者を転記した小さな証紙で、独立した情報はほとんどありません。届済証から書き始めると、使用届を書いたときに食い違いが出ます。電動工具の届を重機の届より先に置いているのは、どの職種でもたいてい持ち込むもので、機械の台数に関わらず1枚で済むからです。
この順で作ると、書き写しがどこで減るか
11種類に何度も出てくる項目があります。先に1か所へ集めておくと、あとは見ながら埋めるだけになります。
毎回同じところに書く共通項目
- 工事名称、現場名、現場の住所、工事内容、工期
- 元請会社名、作業所名、作業所長名
- 自社の会社名・住所・電話・FAX・代表者
- 建設業の許可(業種・許可番号・許可年月日。様式の欄は2件ぶん)
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況と事業所整理記号、営業所の名称
- 建設キャリアアップシステムの事業者ID
- 退職金共済制度(建退共・中退共・その他・無)
このうち許可番号、保険の加入状況、事業者ID、退職金共済は、会社単位で決まっていて現場ごとに変わりません。現場のファイルから写すのではなく、自社の台帳から持ってくるのが安全です。前の現場のファイルを写す方法だと、許可を更新したあとも古い許可年月日が残り続けます。
現場ごとに必ず変わる項目
- 現場代理人
- 安全衛生責任者
- 主任技術者(専任か非専任か、資格内容)
- 新規入場年月日、受入教育実施年月日
- 宛名の作業所長名
この5つは最後にまとめて確認します。人の配置は直前に変わることがあるため、書類を作った日と入場日が離れているほど食い違います。提出の前日に、この欄だけを全部の書類で見比べる時間を5分とってください。安全書類の一覧をチェックリストにして、欄ごとに横串で見ていくと抜けが見つかります。
入場前・機械の持ち込み前・現場が動き出してから
提出のタイミングは3つに分かれます。
入場前にそろえるのは、作業員名簿・新規入場者調査票・教育実施報告書・再下請負通知書・下請負業者編成表・工事安全衛生計画書です。前述のとおり、元請の確認と差し戻しを見込んで3〜5日前を目安にします。
機械の搬入日に合わせて出すのが、持込機械等使用届・持込機械届済証・電動工具の届です。届済証は元請が受付年月日と受付番号を記入してから機械に貼るので、当日の朝に持っていくと搬入が止まることがあります。前日までに渡しておくと待たずに済みます。
現場が動き出してからも作業が残ります。教育実施報告書の受講者氏名は本人の自筆を求める様式なので、事務所で打ち出す段階では空欄のままにしておき、教育の場で本人に書いてもらいます。ここを先に印字してしまうと、元請から書き直しを求められることがあります。
作業員が途中で増えたときは、作業員名簿を差し替え、増えた人の新規入場者調査票を追加し、その人向けの教育実施報告書を出します。名簿は追加の1枚ではなく、全員が載った新しい名簿に差し替えるのが一般的です。応援を1人呼んだだけでも、この3点セットは必要になります。下請を1社追加したときは、再下請負通知書を1枚足し、編成表を差し替えます。元請側では施工体制台帳と施工体系図も更新されるため、追加が決まった時点で早めに伝えておくと現場が止まりません。
作業員名簿から始める順番を、実際に11種類を作り終えるまでの手順として追いたい方は、次の記事もあわせて読んでください。名簿を起点に、全建統一様式の書類を1種類ずつ埋めていく流れを、作業の順に確かめられます。
グリーンファイルの作成手順|作業員名簿から全建統一様式11種を出す
元請から安全書類一式を頼まれ、会社名や許可番号を様式ごとに打ち直していませんか。グリーンファイルの作成を、SITE BOARD(サイトボード)で共通項目を1回入れ、作業員名簿から施工体制台帳まで全建統一様式11種類をPDF・Excelで出す手順で解説します。
記事を読む
つまずきやすいところ|差し戻しの原因になりやすい欄
差し戻しは、書類の中身が難しいから起きるのではありません。決まった欄で、決まった止まり方をします。よくあるものを挙げます。
「権限及び意見申出方法」を空欄にしてしまう
現場代理人や監督員の欄の隣にある、細長い欄です。何を書けばよいか分からず空けたまま出す例が多いのですが、空欄だと返されます。実務では「契約書記載のとおり」と書くのが一般的です。欄が狭いので、長い文章を書こうとすると入りません。
次数を取り違える
一次・二次・三次の書き方は、安全書類でいちばん間違いが多いところです。基準は「元請から数えて何番目の契約か」です。元請から直接注文を受けた会社が一次下請、一次下請から注文を受けた会社が二次下請になります。再下請負通知書の宛先は元請ではなく、自社に注文した会社(直近上位の注文者)です。自社が一次下請なら、直近上位の注文者は元請と同じになります。自社が二次下請なら、宛先は一次下請の会社であって元請ではありません。ここを元請宛てにすると、体系図のつながりと合わなくなります。
作業員名簿の資格欄からはみ出す
名簿の「教育・資格・免許」の欄は狭く、1つの欄に入るのはおよそ4行、1行あたり全角5文字ほどです。持っている資格を全部書こうとすると、文字が潰れたり枠から出たりします。その現場の作業に関係する資格を選んで書くのが基本です。玉掛け、足場の組立て等作業主任者、高所作業車運転など、その工事で必要になるものを優先します。
健康診断と保険の情報が古いまま
前の現場のファイルを写すと、健康診断の受診日が1年以上前のまま残ります。定期健康診断は1年以内ごとに1回とされているため、受診日が古いと元請の確認で止まります。社会保険の加入状況も、入社したばかりの作業員は前の勤務先の情報のまま写されていることがあります。名簿を作る前に、作業員ごとの受診日を一度洗い直してください。
持込機械の点検日と保険の期限
持込機械等使用届には、定期自主検査の実施日、特定自主検査の日、性能検査や自動車検査証の有効期限、任意保険の期間を書く欄があります。有効期限が工期の途中で切れていると、そのままでは受理されません。機械ごとに更新日をまとめておくと、現場が決まったときに確認するだけで済みます。
宛名が前の現場のまま
作業所長名の欄は、新規入場者調査票・持込機械等使用届・再下請負通知書・作業員名簿など複数の書類に出てきます。1か所だけ直して他が前のままになる、という止まり方が多い欄です。書類まわりのつまずきは、書類・安全管理のコラム一覧でもテーマごとに扱っています。
ここで挙げた資格欄・健康診断・保険・宛名は、どれも作業員名簿にそろって出てくる欄です。様式第5号の欄を1つずつ、何をどう書けば差し戻されないかを記入例で確かめたい方は、次の記事を名簿づくりの手元に置いてください。
作業員名簿の書き方と記入例|全建統一様式第5号を欄ごとに解説
作業員名簿の書き方を、全建統一様式第5号の欄ごとに記入例つきで解説します。健康保険・年金・雇用保険の書き分け、一人親方や高齢者の書き方、保険番号や技能者ID、※印の付け方まで分かり、元請からの差し戻しを減らせます。
記事を読む
元請によって違うところ|安全書類の一覧は現場ごとに確認する
全建統一様式を使っていても、求められる書類の範囲は元請によって違います。同じ11種類をいつも全部出すわけではありません。
参考様式は、その代表です。新規入場者調査票(参考様式第4号)や電動工具の届(参考様式第6号)は、求める元請と求めない元請があります。逆に、統一様式にない書類を追加で求められることもあります。
| よく追加される書類 | 出す場面 |
|---|---|
| 工事用車両届(通勤・搬入車両の届) | 現場に車両を乗り入れるとき |
| 火気使用届 | 溶接・溶断・グラインダーなど火気を扱うとき |
| 危険物・有害物持込使用届 | 塗料・シンナー・ガスボンベなどを持ち込むとき |
| 送出し教育実施報告書 | 自社の作業員を送り出す前に教育したとき |
| 高齢者・年少者就労届 | 該当する作業員がいるとき |
これらは元請の独自様式であることが多く、統一様式のファイルには入っていません。着工前の打ち合わせで様式をもらってください。
紙ではなく電子での提出を指定されることもあります。労務安全書類の電子サービスを使っている元請では、紙の様式を作るのではなく、その画面へ入力する形になります。この場合、自社側でも利用の登録が必要になり、会社情報や作業員情報を先に登録しておく手順が入ります。紙で作ってから「電子でお願いします」と言われると二度手間です。最初に必ず確認してください。
建設キャリアアップシステムの事業者IDと技能者IDも、書類に求められる場面が増えています。施工体制台帳の会社名の欄に事業者IDを書く様式や、作業員名簿に技能者IDの欄がある様式が使われています。元請によっては、現場に入る全員のカードリーダー登録を求めることもあります。自社の事業者IDは会社で1つですから、控えを手元に置いておくと毎回調べずに済みます。
最初に元請へ聞いておきたいのは、次の3点です。
- 提出する安全書類の一覧 … 11種類のうちどれが必要か。追加の独自様式はあるか
- 様式 … 全建統一様式か、元請の独自様式か、電子の仕組みか。電子なら何を使うか
- 提出期限と提出先 … 何日前までに、誰へ、どの方法(持参・メール・電子)で出すか
この3点を最初の打ち合わせで押さえておけば、夕方に書類を作り始めてから「様式が違った」と気づく事態を避けられます。メモは案件のファイルに残し、次に同じ元請の現場に入るときに見返せるようにしておくと、2回目からは確認が短く済みます。
共通項目を1回入れて11種類を出す|SITE BOARD の安全書類の画面
ここまでの「共通項目を先に集める」「作業員名簿から順に作る」というやり方を、そのまま画面にしたのが SITE BOARD(サイトボード)の安全書類の機能です。
サイドバー「書類管理」>「安全書類」を開くと、上に共通項目のカード、その下に書類ごとのタブが並びます。共通項目に入れるのは、工事の情報(工事名称・現場名・工事内容・工期・発注者・作業所長)、自社の情報(許可・保険・事業者ID・退職金共済・現場代理人や主任技術者)、そして下請会社です。ここを1回入れれば、どの書類にも同じ内容が入ります。

タブの並びは、この記事で示した作る順番とそろえてあります。いちばん左が作業員名簿、その右が新規入場者調査票、新規入場時等教育実施報告書と続き、再下請負通知書・下請負業者編成表・工事安全衛生計画書・電動工具の届・持込機械等使用届・持込機械届済証の順です。自社が元請のときだけ使う施工体系図と施工体制台帳は右端にあります。
入力が要らないタブがあるのも、書類どうしのつながりを使っているからです。作業員名簿のタブで現場に入る作業員にチェックを付けると、新規入場者調査票は入力なしで1人1枚ぶん出せます。名簿に入れた「受入教育実施年月日」は、教育実施報告書の実施日にも入ります。持込機械等使用届で機械を登録すれば、持込機械届済証も入力なしで出せます。再下請負通知書と下請負業者編成表は、共通項目の「下請会社」から作られます。

教育実施報告書のタブでは、教育の種類・実施日・時間・実施場所・教育方法・教育内容・講師・資料を入れます。受講者氏名の欄は空のまま出ます。様式に自筆させるよう書かれているためで、現場で本人に書いてもらう前提です。
差し戻しの原因になりやすい欄も、共通項目でまとめて扱えます。権限及び意見申出方法、事業者ID、許可2件、監督員、安全衛生推進者、登録基幹技能者、退職金共済、持込時の点検日といった欄が用意されています。自社情報に登録しておけば、新しい現場を作るときの初期値になり、前に作った現場でも「自社情報から取り込む」ボタンで許可・保険・事業者ID・営業所の名称・退職金共済を入れ直せます。現場代理人や主任技術者は現場ごとに変わるため、この取り込みには含まれません。下請会社は協力会社マスタから選ぶと、会社の情報・許可・保険がまとめて入ります。下請の行の左には「1次下請」「2次下請」と表示されるので、次数の取り違えをその場で確かめられます。
作業員名簿の資格欄がはみ出す問題にも対応しています。作業員の行の「教育・資格・免許」から様式に載せるものを選べて、入りきらない欄は赤く表示され「枠に入りきらない」と出ます。チェックを外しても作業員マスタの登録は消えません。
出力は、配られている様式ファイルそのものに流し込む形です。SITE BOARD が独自に作った様式ではないので、元請にそのまま出せます。PDF は Excel と同じ見た目になります(Excel のダウンロードは本登録後に使えます)。11種類をまとめて1通のメールで送ることもできます。

各タブの下には「過去に作った○○」の一覧があり、その書類を作った現場が新しい順に並びます。現場名を押すとその現場が読み込まれます。前の現場のファイルを探して開く、という手間はここでなくなります。
明日から始める段取り|安全書類の一覧と自社の固定情報を1か所にまとめる
最後に、今日から順に手をつけられる形にまとめます。
今日やること:自社の固定情報を1枚に書き出す
現場ごとに変わらない情報を、1枚の紙かファイルにまとめます。項目は次のとおりです。
- 会社名・住所・電話・FAX・代表者名
- 建設業の許可(業種・許可番号・許可年月日)を2件まで
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況、事業所整理記号等
- 営業所の名称
- 建設キャリアアップシステムの事業者ID
- 退職金共済制度(建退共・中退共・その他・無)
- 雇用管理責任者の氏名
この7項目は、11種類のうちほとんどの書類に出てきます。ここを1か所にまとめるだけで、前の現場のファイルを開く回数が減ります。あわせて、許可の更新日と保険の情報が最新かを確認してください。古い情報のまま何現場も写していた、という状態はここで断ち切れます。
次の現場で試すこと:作る順番を変える
作業員名簿から先に作り、そこから新規入場者調査票と教育実施報告書を埋める順番に変えてみてください。名簿に入場日と受入教育実施年月日を入れた時点で、後続の2種類に書く日付が確定します。書き写す方向が一方通行になるので、途中で戻って直す作業がなくなります。下請を使う現場では、その次に下請会社の情報(会社名・代表者・住所・電話・許可・保険・工期・担当工事内容・上位の会社)を9項目そろえてから、再下請負通知書と編成表に進みます。
元請へ聞くこと:4つ
- 必要な安全書類の一覧(参考様式を含むか、独自様式の追加はあるか)
- 様式(全建統一様式か、独自様式か、電子か)
- 提出期限と提出先、提出の方法
- 建設キャリアアップシステムの登録を求められるか
この確認は、着工前の打ち合わせのついでに5分で済みます。聞いた内容は案件のメモに残しておくと、同じ元請の次の現場で使えます。
共通項目を1回入れて11種類を出す流れを実際の画面で試したい方は、無料で使い始められるので安全書類の画面を開いてみてください。料金は料金プランに掲載しています。